ほっつき歩記山記録 (九州脊梁山地)No.10 南山犬切・七辺巡り・上福根山
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登山日 : 2004年4月12日
コース : 営林署小屋跡→水上越登山口→分岐→水上越1→岩峰→七辺めぐり→南山犬切→七辺めぐり→山犬切峠→山犬切→上福根山→林道→山犬切峠→営林署小屋跡
※水上越1=地図上の「水上越」から西へ約500m地点の新しい標識のある水上越
登山口 : 林道川口線の営林署小屋跡
 林道川口線入口から約14K地点 道路脇に壊れたプレハブの小屋が3棟立っている。水上越登山口まで約1K、山犬切峠まで約1.5K
所要時間: 約5時間30分(休憩含まず)

(注)この鳥瞰図は「国土地理院のウォッちずで提供されている2万5千分の1地形図」を使用してカシミール3Dで作成したものです。

営林署小屋跡から水上越まで  写真
 林道川口線の水上越登山口があるアンドウゴヤ谷から、さらに1Kほど山犬切峠方面へ行った所に荒れ果てたプレハブ小屋3棟が建っている。この近くには2本の水量の豊富な沢が流れており、キャンプに適している。今回はここで車中泊して、水上越登山口まで林道を歩き、水上越から上福根山を歩き、上福根山直下から林道を歩いてここまで周回するコースを計画した。

 営林署小屋跡から林道を水上越登山口まで約1K歩く。この辺りは崩壊がすすでおり、あちこちに落石の痕跡がある。約15分で水上越登山口に着く。水上越登山口からアンドウゴヤ谷を水上越分岐まで谷沿いに行く。昨日、白鳥山まで往復したときに通った道なので不安は無い。(「水上越から白鳥山往復」参照。)
水上越分岐から上福根山方面へは
  @地図上の「水上越」(上の地図の「水上越2」)へ出て稜線を西へ向かう
  A右(西)の谷の途中から新しい「水上越」(上の地図の「水上越1」)へ出て稜線を西へ向かう
  B右(西)の谷を最後まで行き、七辺めぐりから南東へ延びている尾根に出て七辺めぐりへと登って行く
が考えられるが、今日はAの「水上越1」から稜線沿いに行くことにした。
分岐から右(西)へ向かい、残雪のある池を過ぎて、谷沿いに歩いて行く。谷とはいっても緩やかで南側はすぐ稜線になっている。谷の中間地点辺りの稜線が近くなったところで、稜線上に上がるとそこが「水上越」で標識が立っている。


水上越から七辺めぐり     写真
 「水上越」からは稜線上を西へ向かう。稜線の左(南)側は球磨川源流帯で傾斜が急であり、所々断崖になっている。露岩や倒木が多いところもあるが特に歩きにくいということはない。所々、南側の展望が得られる。西へ進んできた尾根が七辺めぐりから南東へ延る尾根と合流する辺りで登山道は北西へと方向を変える。左の方へまだ尾根が続いているが、スズタケで良く見えない。ちょっと覗きに行ってみたら尾根の突端は岩場になっており、すばらしい展望だ。眼下には球磨川源流地帯の深い谷が見える。
西へ目を転じるとすぐ近くに大絶壁をを持つ岩峰がある。近くまで行くと何とか登れそうなので、行ける所まで登ってみようと思ったら一番上まで登れてしまった。岩峰の上は狭くてさすがに足がすくんでしまった。景色を眺める余裕も無く早々に降りて、しばらく岩峰の下をウロチョロして登山道へ引き返す。登山道から岩峰の方を振り返ると木の間越しにわずかに頭の部分が見えている。おそらく葉が茂る夏場は気付かないだろう。

 登山道は七辺めぐりに向かって緩やかに登って行く。スズタケはきれいに刈ってある。感謝である!!七辺めぐりの山頂は広い樹林帯で、スズタケなどもなく実に穏やかな雰囲気である。三角点はなくて、木のプレートが1,2枚と道標が2本立っているだけである。1本は「水上越(白鳥山)」、もう1本は「山犬切(水上)⇔上福根」の表示がある。山犬切は俗に言う南山犬切のことである。山頂からは、北へ上福根山方面、南西へ南山犬切方面、南東へ水上越方面の道が降っている。どれも緩やかでゆったりとした道である。


七辺めぐりから山犬切峠まで   写真
 七辺めぐりから南山犬切へは山頂から南西方向につけられた赤いテープを目印に、緩やかな広い樹林帯を降っていく。鞍部辺りからは右の木の間越しにもうひとつの山犬切から上福根山へ続く稜線と、その山腹を横切る林道が垣間見える。鞍部から緩やかに登って、道が北西方向へ曲がるとすぐに南山犬切の山頂に着く。七辺めぐりから約20分かかった。

 南山犬切山頂(1562m、三等三角点)は樹林とスズタケに囲まれて狭い。三角点の傍に「南山犬切 一五六二米」と書かれた赤と白のツートンカラーの標柱が立っている。南西の方が少しスズタケがまばらになっている。おそらく、石楠越(しゃくなんごし)へ向かう道であろうがなかなか厳しそうだ。その向こうにわずかに高塚山が見えている。

 南山犬切から七辺めぐりへもどり、今度は、北の上福根山方面へ向かう。七辺めぐりから山犬切峠までは、一旦、鞍部に降りてP1553を越えて行く。七辺めぐりの山頂から少し降ったところに、見事なサルノコシカケが付いている枯れ木がある。また、P1553の北西側は石灰岩の露岩が多く結構楽しいところだ。七辺めぐりから約25分で山犬切峠に着く。


山犬切峠から上福根山   写真
 山犬切峠は七辺めぐりから上福根山へと続く稜線を林道が越えるところにあり、車道の峠としては九州で1番高いところにあるそうだ。ここは、上福根山と七辺めぐりの登山口になっており、時々、登山者の車を見かける。峠の北と南側は緩やかな樹林の斜面になっており、トリカブトの群落が見られる。この日もトリカブトの若葉であろう、バイケイソウの鮮やかな黄緑とは対照的に深い緑色をした葉が樹間を埋め尽くしていた。

 上福根山へは林道を横切り北の広い巨木の尾根を登って行く。やがてスズタケの間の道になり傾斜も急になってくる。稜線に出ると傾斜も緩やかになり山犬切との分岐点に着く。ここから東へスズタケの中を5分ほどで山犬切に着く。山犬切の山頂は東へ延びる岩稜の奥のほうにある。山頂表示のプレートがあるだけで三角点等はない。

 登山道は山犬切分岐から北へ向かいすぐに西へと方向を変える。木の間越しにわずかに上福根山が見える。道はほぼ尾根沿いにつけられている。前回来た時は途中で広い斜面を横切った記憶があるが、今回はP1610を巻く以外はほぼ尾根上を歩いていた。また、途中に「前福根山」、「中福根山」、「下福根山」と3つの山頂標識が設置されていた。あまりピークらしくない所もあるが・・・

 やがて登山道脇には石楠花の群落が現れ、露岩も目立ってくる。「下福根山」を過ぎ、ブナの巨木が現れると5分ほどで上福根山の山頂に着く。上福根山山頂は狭い露岩のピークで、周りはシャクナゲの群落になっている。山頂からは南西へ久連子、北西へ樅木横平、そして南東へ山犬切峠への道が降っている。久連子からの道は花の季節に岩宇土山と絡めてよく登られているようだ。


上福根山から営林署小屋跡    写真
 今日は久連子方面へ降りて、林道に出たところから林道の様子を見ながらを歩いて帰ることにした。久連子方面へ降る道はかなり急なところがあり、シャクナゲの木の根に注意しながら降る。途中で七辺めぐりと南山犬切方面、また、上福根山から茶臼山への稜線が見える。(茶臼山は稜線の上にわずかに見えるだけである。)

 約25分の降りで林道が大きくカーブする広い場所に降りる。林道を横切って真直ぐ行けば岩宇土山を経て久連子へ降りる。この林道はここで大きくカーブして尾根の西側を北へ向かい、谷の奥で終わっている。まだ先へ延ばすつもりなのかどうか分からないが、谷の奥はかなりの崖になっており、難工事になりそうだ。

 林道を山犬切峠へと向かう。林道は上福根の南の谷、下福根の南の谷とくねくねしながら延びている。途中で大きな山犬に出会った。バフッバフッと鼻息でこちらを威嚇しながら悠然と歩いていった。また、その先でも2匹の親子連れらしい山犬を遠くに見かけた。大声を出すと逃げていった。辺りで犬の遠吠えも聞こえちょっと緊張した。林道を歩くこと約40分で山犬切峠に着く。山犬切峠から約15分で車を停めてある営林署小屋跡に到着した。
山犬切峠から上福根山まで1:25(山犬切へ寄った分を差し引くと1:17)、上福根から林道経由で山犬切峠まで1:08で大差ないなと思った。


その他
  • 今回は林道川口線の途中にある営林署小屋跡(?)でキャンプ(車中泊)した。ここは沢の水が豊富だし、駐車スペースもあるので便利である。また、水上越登山口のあるアンドウゴヤ谷と山犬切峠のほぼ中間地点にあるので、水上越−七辺めぐり−上福根山などを絡めて歩くのにも適している。ただ、この日は一人だったためかなり怖かった・・・
  • 今回は木々が葉をつける前の、割と見通しの良い季節の山行だったが、夏場のスズタケの状態や登山道の状態はまた変わってくると思う。基本的には稜線沿いに道がついているので、稜線を大きくはずさないように歩けばよいと思う。
  • 所要時間は休憩時間を除いた実質歩行時間であるが、「年齢48歳、最近膝の調子が悪く、登りも降りも大して時間が変わらないような状況」なので参考程度にしていただきたい。
  • 林道川口線は水上越登山口のあるアンドウゴヤ谷手前辺りから山犬切峠の間は崩壊が進んでおり、落石には充分注意が必要である。
    また、椎葉や五家荘の道は狭くてカーブが多いので安全運転を心がけてほしい。ライトの点灯は常識である!!

    最後にこのコースのスズタケを刈り、整備してくださった方々に感謝!!
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