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谷を辿れば。。。 欅谷の支谷(2)(2011年10月16日) → 写真集


 前回、頭巾山と三郡山の間から欅谷へ降っている谷をレポートしたが(「谷を辿れば。。。 欅谷の支谷(1)」)、今回はそれよりもう少し西側の谷を辿ってみよう。この谷は、入口付近こそ岩がゴツゴツして荒れた様相を見せているが、少し登ると崩壊した岩で埋め尽くされた浅い谷が広がり、ゴロゴロとした岩は苔に覆われてその上に草や樹木が生えている。過去に登りと降りで2度歩いたことがあるが、谷の幅が広いので全体の様子は把握しきれていない。また、この谷の上部の東側の尾根には断崖絶壁の岩場があり、これは三郡山山頂付近からも確認することが出来る。今回は、そこも訪ねてみようと思う。


登山コース

昭和の森 − 欅谷Bコース登山口 − 苔と岩の谷入口 − (苔と岩の谷を登る) − 途中から東側の谷(絶壁の谷)へ − 絶壁の下 − 頭巾山山頂 − 頭巾山コースの露岩 − 絶壁の上 − (苔と岩の谷を降る) − 二俣の露岩2 − (西の支谷2を登る) − 頭巾山コース − 鞍部 − (西の支谷1を降る) − 二俣の露岩1 − 苔と岩の谷入口 − 昭和の森

MAP

苔と岩の谷
昭和の森 → 欅谷Bコース登山口 → 苔と岩の谷入口 → 炭焼き窯1 → 二俣の露岩1 → 炭焼き窯2 → 二俣の露岩2 → 東側の谷(絶壁の谷)へ

 欅谷Bコースの登山道は堰堤工事用の作業道から山道へ入ると尾根の右側を谷沿いに登って行く。7、8分で左側に炭焼き窯の跡を見てしばらく行くと左の尾根に出る。尾根沿いに少し登ってから尾根の左側へ入ると、正面には谷を隔てて崩壊した植林帯の尾根と、眼下には欅谷の白い堰堤が見えている。登山道は尾根の左側を進み、「三郡縦走路 約50分」の黄色い標識を過ぎると岩が多い地点に差し掛かる。この岩のところが今日辿る谷の入口である。谷の入口付近からはゴツゴツした岩に挟まれた険しそうな谷が見える。谷の少し上には木の間から岩の壁が見えていて、谷はこの壁の手前で左の方へ曲がっているようだ。

登山道を離れて谷へ入るとすぐに小さな水溜りがある。多少水が流れているようだが、水量はかなり少ない。岩がゴロゴロした窪みを登って行くと右手にはさっき見えていた岩の壁がそそり立っている。この壁はどうやら尾根の突端になっているらしい。岩壁の下には大きな岩が積み重なっている。左の方にも岩が積み重なっていてその間の窪みを細い水が流れている。岩はどれも苔で緑色に染まり、林の隙間から射すスポットライトに輝いている。この辺りはまだ水が流れた跡がはっきりとえぐれて窪んでいる。少し登ると水の流れは消えてゴロゴロした岩だけになる。おそらく伏流水となって岩の下を流れているのだろう。右手にはさっきの岸壁から続くヒノキの尾根が登っている。この尾根は、頭巾山山頂から頭巾山コースを昭和の森方面へ降った鞍部の横にあるコブから降ってきているようだ。一方、左手の尾根の斜面にも林の中に岩が散らばっている。どうやらこの谷は過去に大崩壊が起きたらしい。。。

右側の岩壁が切れた辺りで右上の林の縁に炭焼き窯の跡が見える(炭焼き窯1)。窯跡の石組みの下にもう一段石組みの基礎が築かれているのが見える。谷は次第に窪みが浅くなって右から左へと緩やかなカーブを描き、その中央を苔むした岩が埋め尽くしている。僅かに、大雨の時の水の通り道らしきところだけが苔が生えずに岩肌を見せて、かすかな窪みを作っている。谷の中央には岩がゴロゴロしているのでどうしても谷の右手を登りがちになる。所々で尾根から谷の中央へ向かって苔むした岩の斜面が降っているところもある。

炭焼き窯の下の窪みは右の尾根に沿って登っていて、どうやらこの谷の中央からは外れているようだ。窪みを辿ると正面に尾根の突端らしい岩の壁が現れる(二俣の露岩1)。窪みはこの壁の右側へと消えていくが、左側には広い林が広がっている。どうやらここで二俣になっているようだ。岸壁の下には苔むした岩が散らかっていて、それらの間を通って右へ回り込んでみると確かに細い谷が林の中を登っている。その谷へ少し入って左の尾根へ上がると、尾根の反対側には苔むした岩礫が登ってきた谷の中央へと降っている。

尾根を越えて苔むした岩を横切り、もとの谷へと降ると谷の中央は草木が茂って荒れた感じがする。上を見上げると、その中に石垣の一部が覗いている。ここにも炭焼き窯の跡(炭焼き窯2)が残っていた。辺りの土を見ると黒ずんでいて小さな炭のかけらも見られる。ほとんど草に埋もれたようになっていて、その上の方は倒木とヤブでかなり荒れている。

ブッシュ帯を左から回り込むと左側の尾根へは気持ちよさそうな樹林帯が登って行くが、右側の苔むした岩も気になるのでやはり谷の中央近くへと戻って行く。再び右手に現れた岩の壁(二俣の露岩2)はやはり尾根の突端のようで、回りこんでみるとここでも細い谷が一直線に登っている。ここの岩壁にはかなりひびが入っていて、おそらく、これらが崩壊して谷を埋め尽くしているのだろう。岩壁には苔がびっしりと生えている面とまったく生えずに灰色の岩肌を見せている面がある。光の当たり具合が関係しているのだろうか。また、苔の厚さも、谷の入口付近は岩に緑色のスプレーを当てた程度だったのが、この辺りでは厚みを増してふかふかとしている。苔の下には明らかに土が出来ているようだ。苔が水を吸って養分を蓄え、その上に羊歯や草が生えて、さらには木が茂っていくのであろう。地球上で根気良く再生を繰り返して生き残っていくのは間違いなく植物達なのだろう。。。

二俣の岸壁付近の探索を終えて谷の中央に戻ると、苔むした岩はデコボコと段差を作り、苔の上には羊歯が生えている。岩の間を縫って反対側に出ると左手の尾根には露岩が立ち並んでいる。実はこの谷の近くには三郡山の頂上付近からも見える断崖絶壁があって、過去に2回立ち寄ったことがある。岸壁の下はかなり険しい谷になっているように見えたが、どんな様子なのか気になっていた。今日は少し寄り道をして左手の尾根の向こうにある谷を覗いてみよう。

(写真:苔と岩の谷)


尾根を越えて絶壁の谷から頭巾山山頂へ
東側の谷(絶壁の谷) → 絶壁の下 → 大砲岩のある尾根 → 頭巾山山頂(昼飯)

 露岩の手前で左の尾根へ上がり、反対側へ降って行くと木々の間に苔むした岩が見える。この谷もやはり崩壊した岩が谷底を埋めているようだ。谷の幅は狭いが、岩のひとつひとつがはっきりしていて段差もある。辺りは自然林で紅葉し始めた木々の葉が陽光を浴びて明るい。岩の隙間を踏み抜かないように注意しながら谷の上部へ進むとすぐに壁に突き当たる。林の中に複雑に入り組んだ岩の壁が立ちはだかっている。どうやらここがこの谷の終点のようで、岸壁の基部では苔から水が滴り落ちている。しかし、今日の目的のひとつである例の絶壁とは少し様子が違う。辺りを見回すと、谷の右上の林の中に見覚えのある断崖が見え隠れしている。急な斜面を木にすがりながらそちらへ向かう。

急斜面の林の中なので絶壁の全体は見通せない。絶壁の手前にもうひとつ岩があってその間には向こう側を見通せるくらいの狭い隙間がある。隙間の上の方は手前の岩の出っ張りで2箇所ほど接している。岩の隙間から手前の岩の上に登ってみると、苔の上に木が生えていてその上には絶壁が聳えている。絶壁の下で写真を撮ったり、辺りの地形を観察したりしながら、しばらくウロウロした後、もう一度谷底へ降って反対側の尾根へ登るルートを探す。しばらく悩んでから、結局、谷の突き当たりの岸壁の狭間に足場を探して何とか尾根へ上がる。

尾根の上には岩の上に細長い岩が斜めに乗った大砲のような岩(大砲岩)があり目を引く。また、林の中にちらほらとシャクナゲの木が生えている。最近、テレビでシャクナゲは近くに崖があることを教えてくれると言っていたのを思い出してなるほどと納得する。東側には木の間越しに三郡山山頂のレーダードームが見えている。大砲岩から尾根を辿って6、7分で頭巾山コースの登山道に合流し、登山道を左へ辿るとすぐに頭巾山山頂へ着く。

(写真:絶壁の谷)


頭巾山山頂から谷を降ったり登ったり降ったり。。。
頭巾山山頂 → 頭巾山コースの露岩 → 苔と岩の谷 → 絶壁の上 → ゴジラ岩 → 二俣の露岩2 → (西の支谷2を登る) → 頭巾山コース → 鞍部 → (西の支谷1を降る) → 二俣の露岩1 → 苔と岩の谷入口 → 昭和の森

 頭巾山山頂の林の中で昼飯休憩にする。今日の昼飯は手作りのおにぎり2個とチキンラーメン半分、デザートにりんご2かけらである。おにぎりの具は昆布と梅干でぱりぱりの海苔付だ。チキンラーメンはスープ代わりにいつも半分だけ持って行く。りんごは口がさっぱりしてよいので最近は少しだけ持っていくことが多い。

食事をしながらあたりの木々の様子を眺めると、全体的には紅葉し始めているようだが、中には葉を落としてしまっている木もある。先日、三郡山のレーダードームの横で写したヤマボウシの木の写真を一昨年同じところで撮ったものと見比べてみた。一昨年は10月15日に撮ったもので今年のは10月2日に撮ったものだ。一昨年の写真には緑の葉がしっかりとついて実も赤々とした木が写っていた。一方今年のものは2週間も早いにもかかわらず葉が落ちてしまい、黒ずんだ実が写っている。寒くなったり暖かくなったり、気まぐれな天候に木々も戸惑っているようだ。

食事を終えて頭巾山コースを昭和の森方面へ降って行く。平坦な尾根から急な降りになると、少し降ったところで丸みを帯びた露岩が縦に並んでいるところがある。登山道は露岩の手前で左へ降り露岩を左から巻いて尾根へ戻ると、今度は右から露岩を巻いて降って行く。しかし、今日は登山道を降らずに、露岩の手前から右の林の斜面を降ることにする。今朝辿った苔と岩の谷を登り詰めると丁度この辺りへ登ってきていて、この露岩はこの谷を降る時の目印となるのだ。

斜面を少し降ったところで右の尾根に目をやると、どっしりとした四角い岩が尾根に突き刺さっているのが見える。この岩が絶壁の上へ上がる目印だ。この岩を目指して尾根へ上がり、岩の左側を抜けると右前方の林の中に鳥のくちばしのような岩が見える。その先は断崖絶壁になっている。正面には縦走路が通っている稜線と砥石山、若杉山などが見えている。絶壁の上は横に幅があって、左の方から右遠方を見ると三郡山山頂のレーダードームが見える。眼下には頭巾山北面の色づき始めた斜面が欅谷へと降っている。その谷を右へ追って行くと崩壊して白い岩肌を見せている箇所もある。林の中にいつからあるのか空き瓶が落ち葉に埋もれかけている。こんなところで酒盛りでもしたのだろうか。うらやましい限りだ。。。

再び谷へ降ると何かに見られているような感じがする。辺りを見回すと苔むした岩の向こうから何かが覗いている。ゴジラだ!!  そんなわけないか。。。
平べったい苔むした岩の向こうに細長い三角形のなんともユニークな岩が立っている。その上の方が顔のようになっていて、こちらを睨んでいるように見えるのだ。谷を登ってきたときに絶壁へ上がる位置の目安になる岩である。この岩の右下には岩の下に狭い空間がある苔むした大岩があるのでこれも合わせて記憶しておくと良い。谷の中央辺りから谷の上を見ると露岩の上の林の中に岩が立っているのように見える。そのさらに上には登山道が通っているはずだが、引き返して確かめる気力もなく谷を降って行く。

谷の中央は苔むした岩で埋め尽くされ、その上に草や木が生えている。左側に岩壁が聳えている辺りを少し降ると右の苔むした岩の上に割りと大きい木が2本並んで立っていて、手前の木は根がしっかりと岩をつかんでいるのが見える。どちらの木も根元付近くで幹が分かれている。苔むした岩を避けて谷の左側を降って行く。左の尾根の突端には露岩の壁が立ちはだかっている。尾根の上へ上がって反対側を見ると細い谷が右から左へ登っている。この谷は今朝登ってきたときに覗いた2箇所目の二俣の谷である(二俣の露岩2地点)。まだ時間に余裕があるのでこの谷を頭巾山コースまで辿ってみようと思う。

谷は狭くて上へ行くほど浅くなるが、傾斜は急になってくる。中央に岩が転がっている辺りになると両側の尾根がくっつきそうになり、その間に谷の部分がかすかなカーブを描いている。最後に左の尾根へあがって、露岩の塊を過ぎるとやがて登山道に飛び出す。二俣から登山道まで15分位で登ってきた。登山道を右へ進み、ロープを張った急坂を少し降ると頭巾山山頂西側の鞍部に着く。途中、左手にスナフキンの帽子のような岩がありこのコースを歩くたびに目を引く。

降りきった鞍部は北側と南側へ谷が降っていて南側の谷は草ヶ谷に合流している。鞍部の西側には小さなコブがあって、登山道はその南側を巻いて行くルートとコブを直接越えて行くルートに分かれている。ふたつのルートはコブを越えたところで合流した後、左へロープの急坂を降って行く。頭巾山コースも久しく歩いていないが、今日はこの鞍部から北側の谷を降って、元の苔と岩の谷へ戻ろうと思う。この谷はおそらく今朝登ってきた谷の最初の二俣へ降るはずだ。

鞍部から緩やかなカーブの斜面を降り始めるが、傾斜は見た目よりも急で、木もまばらなのでつかまるところが少なくて転げ落ちそうである。谷底をそれて左側の斜面を降って行くと、左前方に縦に割れた露岩が見える。そこを過ぎると草木の間に倒木と木の枝が散乱して荒れた箇所がある。そこを左から巻きながら、途中からヤブを掻き分け倒木を越えて谷底へ降ると細く浅い窪みが降っているのが見える。次第に岩が多くなり、水が流れ始めるころに右側の尾根は高くなっていき、最後は崖になって終わる。右の尾根の突端を過ぎると右側には苔と岩の谷が広がるが、水の流れた跡の窪みは左の尾根に沿ってさらに下へと降って行く。左の尾根はそのまま下へと降り、谷入口辺りの岩の壁で終わっているようだ。ここは間違いなく、最初の二俣(二俣の露岩1地点)である。

後は、今朝登ってきたルートを苔の岩を眺めながら降って、欅谷Bコースの登山道に合流する。真っ赤な夕焼けを眺めながら昭和の森のバンガローの駐車場へ着いたころには、駐車場は空っぽで今日も愛車RAVちゃんだけがポツンと私の帰りを待っていた。

(写真:ゴジラ岩と絶壁からの景色)


あとがき

 今回は欲張りすぎて谷を登ったり降ったり、横へそれたりしたので、チョッとレポートしづらくなってしまったが、この辺りは大きく3つのエリアに分けることが出来る。

まずはメインとなる苔と岩の谷であるが、入口から最初の炭焼き窯の辺りまでは深くえぐれて岩がゴロゴロしている。その後は谷の中央が苔むした岩で埋め尽くされて木が生えたり、倒木で荒れているところもあるので、中央を避けて右か左のどちらかを登ることになる。今回は主に谷の右手を歩いたが、谷が広いのでどちらを歩くかでかなり景色が変わると思われる。最後は頭巾山コースの露岩が並ぶ尾根へ出る。

次に谷の西側へ合流する2本の細い谷である。これらの谷の合流地点は、どちらも谷の右岸の尾根の突端が岩壁として立ちはだかり、その下には苔むした岩がゴロゴロしている。どちらの谷を詰めても、最後は頭巾山コースの登山道へ登りあげているので安心である。

最後は東側の尾根を越えた隣の谷であるが、この谷は最上部でかなり険しい岸壁に突き当たっている。この谷もやはり苔むした岩で埋め尽くされているが、何処へ降っているのかまだ確認できていない。欅谷Bコースを登って行くと大滝のある谷の入口より少し手前のロープの急坂の手前に谷が1本降ってきているので、おそらくそれであろうと思う。谷の入口付近は倒木でかなり荒れていて下から登るのはチョッと躊躇するが、いつかトライしてみようか。。。


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