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砥石山南西尾根と鬼岩(2009年4月23日) → 写真集


 昭和の森から宇美林道(14支線)を峠まで歩き今屋敷からのコースと合流して砥石山へ登るコースは、このHPでは「砥石山直登コース」として紹介しているが長い林道歩きが難点である。しかし、林道を歩かずに昭和の森から峠まで尾根沿いに登るルートがある。峠の西側の649.3mピークから南南西へ降る尾根を登るルートで登山口は宇美林道から分岐する作業道の突き当たりにある。もちろん一般的な登山道ではないが、今日はこのコースで宇美林道の峠へ登り、林道を少し進んだ所から鬼岩へ立ち寄って砥石山へ登ろうと思う。


登山コース

昭和の森バンガロー駐車場(10:25) − (12:10)宇美林道峠 − (12:45)鬼岩登山口(昼食)(13:15) − (13:40)鬼岩分岐 − (13:45)鬼岩(14:20) − (14:25)鬼岩分岐 − (14:50)砥石山山頂(15:00) − (15:20)宇美林道峠 −(16:45) 昭和の森バンガロー駐車場

MAP

鬼岩登山口まで
昭和の森バンガロー駐車場 → 登山口 → P649.3 → 宇美林道峠 → 鬼岩登山口(昼食)

 桜は散ってしまい、シャクナゲ園の花も終わりに近付いている。キャンプ場の藤棚には紫とピンクの2種類の藤が咲いていて、その下でご婦人達がお茶を飲んでいる。今日もバンガロー駐車場の上の段は満杯だ。駐車場の下の段に車を停め、宇美林道へ向かって出発する。三郡山への道を右に分けて欅谷を渡り、林道をしばらく行くと東屋の手前にゲートがあって一般車は入れなくなっている。ゲートの手前には「一本松林道終点」の標柱が立っている。ここから宇美林道14支線が始まるのかと思っていたら数m先の東屋の横に「宇美林道14支線(基点より280m)の表示がある。

川を渡る所の右側には赤茶けた立派な堰堤がある。何か特殊な成分が含まれているのか左下の岩も赤く染まっている。林道は堰堤の前で左へ曲がり、少し進むと今度は右へ曲がっている。この右へ曲がる所で左の方へ作業道が登っているが、これは数十m先で行き止まりになる。草に埋もれて分かりづらいがこの下にもう一本作業道が通っていて、こちらの作業道の終点に今日登るコースの登山口がある。荒れ果てた作業道は一旦降ってから緩やかに登って行く。足元には草花が可憐な花を咲かせている。小さい花もよく見みると意外と綺麗な作りをしている。

作業道の突き当りには何の木か分からないが巨木が枝を広げている。右手の崩れた斜面と林の境目に「飯塚六四会」の標識が掛かっている。最近、この会の標識をあちこちで見かけるが、どれも正規の登山道ではないようなので標識まで取り付けるのはチョッと行き過ぎの感がしないでもない。そんなことを思いながらも、おそらく彼らが付けたのであろう目印を辿り始める。林の中を登って尾根に出ると右側へは明るい植林帯が降っていて、木の間越しに宝満山も見えている。左へ尾根を登って行くと最初はヒノキの植林帯でそのうち自然林の中へと入って行く。所々に岩が露出しているがルートは思ったより分かりやすい。

傾斜が急になったり緩やかになったりを繰り返しながら登って行く。20分程経った所で狭い尾根を溝が横切っているが、自然に出来たものなのか人工的なものなのかは分からない。溝を越えてしばらく行くと露岩があり、その間を抜けると平らな岩が幾つか並んでいる。右側に見える崩壊地は下の方でいくつもの堰堤が作られている谷であろうか?

アップダウンの少ない尾根は展望は無いが、所々で新緑が陽に輝いて鮮やかな色を見せている。時々、足元にギンリョウソウも顔をのぞかせている。尾根が合流する辺りでは進行方向が変わるので降る時は注意が必要だ。登山口から1時間10分程で四等三角点のある649.3mピーク(以降P649.3と表記)に到着する。林の中の狭い山頂に三角点がポツンと設置されていて、近くの木の枝には「飯塚六四会」の標識が掛かっている。

P649.3から少し行くと登山道(今屋敷コース)が通っていて標識が立っている。左へ今屋敷、右前方へ砥石山の表示がある。標識に従って砥石山方面へ向かうと1、2分で林道へ飛び出す。途中で左側が明るくなっているのは、すぐ下を最近出来た作業道が通っているからだ。林道は昭和の森から登ってきた宇美林道(14支線)で、ここがちょうど峠になっており、ここからさらに砥石山の山腹を横切って鬼岩谷の中腹まで延びている。林道へ出た所には小さなベンチと標識がある。曲がり角の広くなっているところには災害復旧のときに出たものか、それとも伐採の為の作業道を作る際に出たものだろうか、大量の土砂が盛られている。

林道の反対側の土手に踏み跡がついていて標識がぶら下がっている。標識には「砥石山登山口50m先右側」の表示がある。確かに林道を砥石山方面へ少し行った所の右側の土手からも登山道へ入れるようになっているが、元々はこの土手から砥石山登山道(砥石山直登コース)に取り付いていた。最近はここではなく、もう一方を登山口としているようだ。

今日は鬼岩を経由して砥石山へ向かうので林道を歩いて鬼岩への登山口へ向かう。新緑の季節や秋の紅葉の季節は林道歩きも結構楽しい。陽が差して萌黄色に輝く新緑を下から見上げるととても美しい。足元にはハルリンドウだろうか小さな花が咲いている。林道は水害で荒れていたが、途中までは復旧が終わり、土砂も取り除かれて綺麗になっている。最近は伐採作業が行われていて、途中で真新しい作業道が何本か分岐しているのを見かける。最後に作業道が左下へ分岐している所を過ぎると、その先は以前のままで荒れている。路面には草が茂り、崩壊して積み重なった岩を越えて行く所もある。

峠から30分程で壊れたプレハブの作業小屋が現れると、その先の土砂が崩れた所を曲がった辺りに鬼岩への登り口がある。登山口には何の標識も無く、林に少し隙間が空いているのと、細い木に古いビニールが巻かれているだけである。反対側は谷になっていて正面には若杉山が見えている。コンクリートの護岸の上で這い回る蟻をを気にしながら遅めの昼飯にする。

(写真:表:P649.3の四等三角点 裏:新緑)


宇美林道から鬼岩を経て砥石山山頂へ
鬼岩登山口 → 鬼岩 → 砥石山山頂

 宇美林道から鬼岩へ立ち寄って砥石山へ登るコースは、初めて砥石山山頂から鬼岩を訪ねた時に白いビニール袋の切れ端の目印が降っているのを見つけ、好奇心に駆られて辿った結果宇美林道のこの場所へ降りついたことがあり、それから何度か降ったことがあるが、登りに使うのは今日が始めてである。踏み跡はほとんど無くて古い目印があるだけなのでうまく辿れるかチョッと心配ではある。

林道から林の中へ入ると正面へ踏み跡がついているように見えるがそちらへは進まず、入ったらすぐに右へ登って行く。少し進んでから左へ折れて林の中に延びるわずかな空間を辿っていく。所々に古いレジ袋が木に結んである。木漏れ日に輝く新芽や落ち葉の上に広がる椿の花に心が癒される。

林道から12、3分登ると正面に巨岩が現れる。これを右から巻いて先へ進むと林の中に石楠花の花がスポットライトを浴びて輝いていた。数は少ないが綺麗に咲いていてなんだか得した気分になる。左の方へ斜面を登って行くと尾根上に出るが、ここが鬼岩への分岐点である。これといった目印は無く、細い木の幹に白のビニールと黄色いテープが巻いてあり、その先にチョッと大きな木が立っている。その木の近くの細い木には黄色のテープとピンクのリボンが付けてある。

鬼岩へは尾根の突端まで行き、やや左側へ降って行く。最近付けられたのかピンクのリボンが尾根を降っている。傾斜が緩やかになると前方へ露岩のやせ尾根が延びている。鬼岩はこの尾根の突端から少し降った所にある。鬼岩へは後で行って見ることにして、露岩の手前から左側へ降って尾根の先の方へ進み、岩の隙間を抜けると尾根から突き出た岩の上に出て展望が開ける。

ここは鬼岩の上部で、2、3個の岩が細長く突き出ていて西側の展望が得られる。右側には若杉山が東へ延びる長い尾根を見せている。眼下には、左の四王子山から乙金山、井野山、博多の森と続く丘陵の手前に糟屋郡の各町が広がっている。遠くには博多湾や脊振山も見える。岩の間から一本だけ咲き始めたミツバツツジが覗いているが、まだこれからが本番のようだ。

岩の上から引き返す途中で、斜面の下の方にミツバツツジと石楠花が少し咲いているのが見えたので少し降ってみると妙な光景を目にした。木と木を結んで針金がピンと張っているのだが、どちらも木の幹の中心辺りから針金が出てきているのだ。おそらく木が細いときに巻きつけたのが木が大きくなるにつれ幹に食い込んで中心部に残ってしまったのだろう。斜面の下の方へピンクのリボンが降っているが傾斜はかなり急で大変そうだ。過去に一度、林道から谷沿いに鬼岩を目指し、鬼岩の基部をウロウロしたことがあるが、何処へ行っても岩の壁に阻まれてしまう。そのときは鬼岩の横の隙間を木の枝につかまりながら尾根まで登ったが、結局、鬼岩の頂上部を横から眺めただけで岩の上に行くことは出来なかった。今日は尾根の上から鬼岩へ降ってみようと思う。

尾根へ戻って露岩の上を突端まで進む。右側は切れ落ちていて危険だ。尾根の突端には先端が鳥のくちばしのように尖った岩がある。周りは木が茂っていて展望は利かない。ザックをデポしてカメラだけを持ち木につかまりながら降って行くと、下の方に白い岩が突き出ているのが見えてくる。鬼岩だ。鬼岩の上は両側へ斜めに切れ落ちていて先端近くの左側から細いブナの木が生えている。岩の上に跨って少しづつ進めばそこまで何とか行けそうだが、脚が震えそうでその気にならない。今日のところは岩の根元に脚を降ろすだけにしておく。右側には砥石山から鬼岩谷への稜線が見えている。岩の先端越に若杉山が見える。眼下には山腹を通る宇美林道が見えている。岩の先端付近に何かキクラゲのようなものが生えている。岩茸だろうか。一度だけ霧立越の灰木の頭で見たことがあるが険しい岩場にしか生えない珍しいキノコだ。ズームで撮影しておこう。

14:00を過ぎていたので引き返して砥石山へと向かう。尾根を登って行くとまた特徴のある巨岩が現れる。左へ回り込むと岩の間に薄い岩が斜めに聳えているのが見える。砥石山山頂から降ってきて鬼岩へ行くときはこの岩を目印のひとつにすればよい。さらに登って行くと尾根は少しづつ広くなり、自然林の中には点々と巨木も見られるようになる。番号を書いたテープがあちこちの木に貼られている場所がある。おそらく何かの調査の為なのだろうが、ピンクのリボンもあちこちに付いているので迷わないように注意だ。砥石山へは高い方へひたすら登っていけばよい。最後にチョッと急坂をこなして右へ「砥石山直登コース」を分けるとすぐに砥石山山頂に到着する。

(写真:表:鬼岩の上 裏:林の中に咲くシャクナゲ)


砥石山山頂から直登コースを下山
砥石山山頂 → 宇美林道 → P649.3 → 宇美林道 → 昭和の森バンガロー駐車場

 砥石山山頂は林の中の平坦な山頂で東側を縦走路が横切っている。また、山頂の北西側から今屋敷へ降る登山道(砥石山直登コース)が降っている。今日はこのコースを宇美林道の峠まで降って峠から往路を降ることにする。

山頂から登山道へ入るとすぐに左へ折れる。直進すると鬼岩方面へ降るので注意が必要だ。左へ曲がると右側に小さな標識が掛かっている。登山道は砥石山山頂の西側を横切って南の方へ降って行く。踏み跡は明瞭で迷いそうな所は特に無い。

上部は落葉樹が多いので明るくて新芽の黄緑が鮮やかだ。降って行くに従って常緑樹の林になり、そのうち人工林へと変わる。以前は林道へ出る手前で直接峠へ向かう道と峠から50m程砥石山方面へ行ったところへ出る道に分かれていたが、今は峠へ向かう道は分かりづらくなり、意図的にもう一方へ誘導しているようだ。

林道から今屋敷方面への登山道へ入り、P649.3を越えて降って行く。赤テープを辿って降っていたが、途中で登ってきたときとは何か雰囲気が違うのに気付いた。登ってきたときは赤テープの他にリボンのようなものも付いていたはずだ。それにもう少し起伏に変化があったように思う。右側を見てみると林の切れ目からもう一本の尾根が見える。どうやら尾根を一本間違えたようだ。間違えたら分かる所まで引き返すのが鉄則だが、赤テープも付いているし、それほど険しい谷があるわけでも無いのでそのまま降ることにした。

一旦、平坦になった尾根は再び傾斜が急になり、荒れたヒノキの植林帯を降って行く。最後は右側の小谷を降って藪を抜けると岩がゴロゴロした川に出た。川の向うには林道(宇美林道)が通っていて、左上には見覚えのある崩れかけた鉄骨製の堰堤が見える。

川の水で顔を洗い、陽が傾きかけた林道をのんびりと降って行く。道路脇にはオドリコソウやムラサキケマン、カキドオシなど最近覚えた草花が沢山咲いている。どれも皆小さいが美しい作りの花達だ。新しい堰堤の前と古い堰堤の前の2箇所で川を渡り、最後に欅谷を渡るとバンガローの駐車場に到着だ。今日も満杯に近かった駐車場は空っぽで愛車RAV4だけがポツンと待っていた。

(写真:砥石山山頂)


あとがき

 今回歩いたコースのうち砥石山から宇美林道への降り(「砥石山直登コース」)と林道歩きの部分以外は正規の登山道ではなく、目印のテープやリボンを追いかけるコースである。しかし、目印は複数の尾根に付いているようなので、結局、読図とルートファインディングが必要となる。実際、今日はP649.3からの降りで赤テープを追っていたら途中から登った時とは別の尾根を降ってしまった。

今日は途中で鬼岩に立ち寄った。いつもは、鬼岩の上部にある展望の良い岩場に立ち寄るだけだが、今日は思い切って鬼岩まで降ってみた。林の中にシャクナゲとミツバツツジがチラホラと咲いていたが、ピークはまだこれからのようだ。

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