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谷を辿れば。。。 気になる空間2(2011年4月6日) → 写真集


 欅谷Bコースを登るたびにいつも気になっている空間がある。欅谷の北側の斜面を降っている支谷の上部にかなり大きな白い岩が見えるのだ。岩のある谷は崩壊した跡に草木が茂ってきたようで、緑の植林帯の中に灰色のスロープを描いている。その岩は谷と植林帯の境に衝立のように立っていて今にも転げ落ちそうに見える。先日、パソコンでGoogle Earthを起動して三郡山地を見ていたらこの岩が衛星写真にも写っていたので、ますます気になってきた。この岩へ辿り着く方法としては欅谷Bコースの谷を渡って尾根へ上がったところにあるテーブル状の岩の所から、北へ斜面をトラバースして行くのが最も簡単そうである。しかし、今回は欅谷から谷沿いに辿ってみようと思う。どんな景色が見られるか楽しみだ。


登山コース

昭和の森(10:15) − (10:50)欅谷Bコース登山口 − (11:00)谷入口(11:15) − (12:30)気になる岩(14:00) − (14:12)縦走路 − (14:50)内ヶ畑コース入口 − (15:50)昭和の森

MAP

谷を辿って気になる岩へ
昭和の森バンガロー駐車場 → 欅谷Bコース登山口 → 堰堤作業道 → 谷入口 → 滝 → 二俣 → 岸壁 → 三俣 → 気になる岩

 昭和の森の桜は見ごろを迎えて綺麗に咲いている。しかし、バンガロー付近の桜は枝を処理してあるせいかいまひとつボリュームがなくなってしまった。バンガローの駐車場に車を停めて欅谷方面へ向かう林道をゆっくりと歩き始める。正楽池の手前の斜面にはちらほらとツツジが咲き始めている。時折見かけるタラの芽はまだ少し早いようだ。山腹に見える白い花はコブシであろうか、あちこちに咲いている。コブシに似た花でタムシバというのもあるが、遠目ではどちらかわからない。

駐車場から約35分で欅谷Bコースの登山口に着く。ここから林道を離れて登山道へ入り、上の方を通っている堰堤作業用に作られた道路へ上がる。欅谷Bコースは作業道を右へ少し下ったところから左の林の中へ進んでいるが、今日はそちらへは向かわずに反対の左側へ作業道を進む。作業道の右側は崩落して路面には落石がゴロゴロしている。目的の岩のある谷を確認して谷の入口を探す。谷の入口は欅谷Bコース登山口から3つ目の堰堤の上にある。上部にもうひとつ堰堤があり、作業道はその堰堤の方へ向かっている。上部の堰堤まで行って、そこから降ってきてもよいのだが、少し距離があるので、作業道から直接谷の入口近くの堰堤へ降ることにした。しかし、これが間違いで、イバラや棘のある木で散々な目にあってしまった。急がば回れである!

それでも、何とか堰堤の上へ降りついて、谷の入口へ向かう。谷の入口付近には倒木(流木?)が何本か横たわっている。それらを乗り越えて、ゴロゴロとした岩の間を進むとゴツゴツとした岩盤の上を斜めに水が流れている。岩盤は数十メートル先まで続いていて、その突き当りにはゴツゴツとした岩の溝を流れ落ちる滝が現れる。滝壺はなく、まだしっかりとした滝の形状をしていないが、高さは十メートル以上ありそうだ。滝の上へ上がって振り返ると滝の下から緩やかな渓流が続いているのが見える。

滝の上にもむき出しの岩盤が続き、その先には岩と倒木が積み重なっている。岩の上に上がると右側に崩壊跡が見える。積み重なった岩や倒木はこの崩壊地から崩れ落ちてきたものであろう。辺りにはイバラが茂り始め、ブッシュ化が進んでいる。さらに上部にも露出した岩盤の傾斜が続き、時々、大きな段差があったりする。登れそうなところを探して三点確保で登って行く。今日は谷が険しいかもしれないと思い、いつもの三脚は持ってこなかったので両手が自由に使える。最初の二俣の近くには大きな岩がゴロゴロしている。正面に左俣が真っ直ぐ登っていて、岩の上へ上がると右手に右俣が見える。左俣には大きな岩が数個見え、上部は崩壊しているのか明るいように見える。右俣は少し先に倒木が数本重なり、その向こうに岩の急斜面が見えている。

一瞬、どちらへ進むか悩んだが、水流や谷の明るさからここは当然右俣を進む。倒木(流木)の先には大きな岸壁が立ちはだかっている。何メートルくらいあるだろうか、かなりの高さの岸壁で水は左の溝を流れている。水流が少ないので苔が生えたり、草木が生えはじめている。登れそうなところを探して岸壁の上へ上がると後には福岡の市街地が見えている。岸壁の上にも倒木や岩が積み重なっていてイバラが生えており、右側に崩壊跡が見られる。谷の上部は変わらず岩盤がむき出しであるが、明るく開けていて水流もほとんどなくなってきた。上が開けているせいかイバラが増えてきたように感じる。

さらに上流へ登って行くとゴツゴツと盛り上がった苔むした露岩がある少し広い場所に着く。辺りを良く見るとどうやら谷の出会いになっているようだ。それも左右と真中のあわせて三つの谷が合流しているように見える。露岩の上にはあちこちにフキノトウが生えている。しかし、食すには少し育ちすぎているようだ。辺りには草やイバラ、潅木が茂り始めていて三つの谷の様子は見通せない。林の上の方の切れぐあいでそこが谷になっているようだと見当が付く。左の谷はやや崩壊しているように見える。真中の谷が一番大きそうなのでそちらへ進むことにする。

岩の間を登って行くと前方に明らかに人工的な石造りの壁が見えてきた。綺麗に加工した石を組んで堰堤のようなものが作られている。堰堤と違うのは高さが低いのと水の流れ道がないことで、多分谷の崩壊を止めるために作られたものであろう。近づいていくと、石組みの壁はひとつではなくて上部にいくつも連なっているようだ。辺りには巨岩が目立ち始め、目的の岩がないか気をつけながら石組みの壁を幾つか越えると、目の前に谷をふさぐように連なる巨岩の壁に突き当たった。そしてついに、その右端に高く聳える岩塔を見つけた。

岩の周りには木が茂っているので全体像が分かりづらい。果たしてこれが気になっていたあの巨岩なのか確信できないままとりあえず、岩の下で昼飯休憩にした。食事をしながら岩を見上げるが、太陽の光が射してよく見えない。麓から見た時はほぼ四角い面が見えていたように思ったが左下から見ると上の方が尖って見える。

(写真:気になる岩)


縦走路に出て内ヶ畑コースを下山
気になる岩の下 → 気になる岩の上 → (北側の尾根と谷を探索) → 縦走路(ぶなの巨木) → 内ヶ畑コース入口 → (内ヶ畑Bコース) → 昭和の森バンガロー駐車場

 食事を済ませて、岩塔の上へ上がるルートを探す。左側の岩の間を登って右へ回り込むと、何とか岩塔の上に上がることが出来た。この岩は斜面から突き出るように立っているので、岩の上部は斜面から突き出たテラスのようになっている。潅木の枝や木の根に足を引っ掛けないように気をつけながら岩の上に出ると目の前には絶景が広がる。岩の上はやや左に傾斜しながら何段かの段差が付いている。下を見ると谷の両側は杉やヒノキの植林帯でその中を冬枯れの灰色のスロープが降っている。遠くには福岡の市街地が広がり、背振山も見えている。谷の入口付近には作業道も見えているので、気になる岩はどうやらここで間違いなさそうだ。

目的を達成した満足感に浸りながら、さて、これからどうするかであるが、この辺りには巨岩が多いので近くを少し探索してみようと思い、北側の尾根と谷を幾つか横切ってみた。この辺りの尾根には露岩が多く、谷は傾斜が急である。最後に大きな露岩の塊のところで引き返して、元の谷をつめることにした。

岩塔の上の方にも石組みの壁は幾つかあり、最後のものは真中が壊れてしまったようで岩が露出していた。最後は潅木が煩そうだったので右のヒノキ林へ入って尾根を登って行く。登りつめたところは、丁度反対側を縦走路が通っていて、谷間にぶなの巨木が立っているところであった。縦走路を右へ向かうと欅谷Bコースの入口が近く、三郡山山頂へも僅かな距離であるが、三郡山へは先日登ったので今日は縦走路を左へ向かって、内ヶ畑コースを降ることにした。

木漏れ日の縦走路を気持ちよく歩く。もう少ししたら、登山道脇にはシロモジの黄色い花が咲き乱れるのだろう。ショウジョウバカマの群落がある林の中に雪害で折れた木の枝が散らかっていたのが少し気になった。おそらく、登山道に散らかっていたのを片付けたのであろうが。。。

最近あちこちで見かける南部消防署の標識は内ヶ畑コースにも取り付けられていて、「前砥石山Aコース」の表記がしてあった。Bコースが何処にあるのか気になるところであるが、またまた登山道の名称が混乱しそうである。とりあえず、私のHPでは「内ヶ畑コース」のままにしておくことにする。

内ヶ畑コースは久しぶりに歩くが、以前に比べて歩きやすくなったような気がする。このコースは縦走路の近くで砥石山方面と三郡山方面に分かれていて分岐には両方の表示がしてあったのだが、三郡山方面の表示はなくなっていた。まあ、どちらも大差なかったので、これでよいのだと思う。しかし、赤テープの目印が増えていたので歩く人は歩くのであろうが。。。

途中で林道へ降るコース(内ヶ畑Aコース)と尾根通しに昭和の森へ降るコース(内ヶ畑Bコース)に分かれている。今日は登りが林道歩きだったので左の内ヶ畑Bコースを降ることにする。途中の崩壊地からは三郡山や頭巾山が見える。今日辿り着いた気になる岩も三郡山のレーダードームの左下に見えている。また、所々でコブシ(タムシバ?)の白い花や椿の赤い花が目を楽しませてくれる。

昭和の森へ降り着いたのは15:50。キャンプ場では早くも花見の宴が始まっていた。。。

(写真:木漏れ日の縦走路)


あとがき

 今回辿った谷は水量が少なく、下部に岩盤を斜めに流れる渓流と10数メートルの滝を見ることが出来るが、中盤の水量が多ければ大きな滝になっていそうな岸壁や、崩壊地や谷の出合いの岩が積み重なったところは草や木が生い茂りそうで、今後ブッシュ化が進みそうな様子である。今回は気になる岩を目的に登ったが、谷の上部に突然現れた石組みの壁のほうに驚いてしまった。まさか、あんなところに人工物があると思っていなかったし、ひとつではなく何段もあったのでチョッと感動してしまった。いつごろ、どうやってあんなところで工事をしたのだろうか。。。

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