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大南窟を探して(2007年6月4日) → 写真集


 町の図書館で「宝満山歴史散歩」(森弘子著)という本を借りた。宝満山中の史跡が詳細に解説してある本で、とても興味深い本である。宝満山は修験道が栄えた山で、山中には多くの坊や五井七窟と呼ばれる水場と窟があったそうだ。七窟のうち幾つかは訪れたが、まだその場所すら知らないものもある。なかでも、大南窟は是非訪れたいと思っていた。


登山コース

 内山林道 − 鳥追峠 − (かもしか旧道) − 新道分岐 − (新旧連絡路) − かもしか新道 − (かもしか新道) − かもしか新道分かれ − (大谷尾根道) − かもしか旧道分かれ − (かもしか旧道) − 新道分岐 − (新旧連絡路) − 大南窟 − (かもしか新道) − 鳥追峠 − 内山林道

MAP

大南窟


 「宝満山歴史散歩」の記述によれば、大南窟は「かもしか新道」の途中から右下へ降った所にあるようだ。かもしか道は鳥追峠から行者道へ入り、すぐに東へ分岐していて、しばらくして「かもしか新道」と「かもしか旧道」に分かれている。かもしか新道の下側をかもしか旧道が通っていて、途中に両登山道を繋ぐ道がある。以前、かもしか新道を歩いたとき、この連絡路の手前辺りが岩場になっていたような記憶がある。今日はかもしか旧道を通って、途中の新旧連絡路辺りを探してみようと思う。

 車で内山林道を登り、本谷池の先のカーブのところに車を停めて、チェーンで閉鎖されている林道を鳥追峠へと向かう。この林道は結構長くて1km弱あり、標高差も150m程ある。峠の少し手前でショートカットの道に入ると、やがて鳥追峠に着く。鳥追峠は宝満山と愛嶽山の鞍部にある峠で大宰府と大石を結ぶ峠道が越えている。峠からは愛嶽山の方へさらに林道が延びている。また、行者道と呼ばれる登山道が宝満山の中宮跡へ登っている。かもしか道は、行者道へ入って、すぐに、右へ分岐している。5分くらい行くとかもしか道は新道と旧道に分かれている。前方へ登って行くのが「かもしか新道」で、右へ分岐しているのが「かもしか旧道」である。今日はかもしか旧道を歩くが、この道はほとんど登らずに水平に山腹を巻いて、最後は大谷尾根道に突き当たる。大谷尾根道に突き当たる手前の谷を渡る所で左へ登る道が分岐している。この道はかもしか新道へ向かう道である。この道へ入り、踏み跡がないか注意しながら登って行くが、何も無いままかもしか新道に出てしまった。

 途中で昼飯を食べて、とりあえず、大谷尾根道へ出る。大谷尾根道との合流点には「かもしか新道分かれ」と書いた標識が立っている。大谷尾根道を登って行けば座主跡のキャンプ場辺りへ出るが、今日はこの道を降って、途中から再びかもしか旧道へ入ろうと思う。10分程降ったところで右へかもしか旧道が分岐している。かもしか旧道へ入ると、谷を横切ったところで来るときに通ったかもしか新道への連絡路が右へ分岐している。もう一度この道へ入って、注意深く見て行くと、中間辺りの岩の下に踏み跡らしい痕跡を見つけた。この踏み跡を辿って林の中の斜面を登って行く。杉の葉に埋もれた斜面を登って行くと前方に船形の岩が見えてきた。上部は岩の斜面になっていて、左の方にも岸壁が見えている。その間の鞍部に向かって登って行く。登りきるちょっと手前で左の岩壁を眺めていると、岩壁の途中の割れ目に石組みのようなものが見える。

 岩棚を伝って石組みの所まで登ってみると、明らかに人工的なもので、左下の岩の上にも石で丸く囲ったものが見えている。大南窟はこの岩の近くにあるに違いない。とりあえず鞍部まで登って左側の岩壁の横に出る。右へ回り込むと岩壁は大きな岩の塊になっていて、いくつかの岩が縦に聳えている。その岩の前には祭壇のような平らな岩があり、その上にも石組みが築かれている。岩の間の窪んだところから上に登ることが出来、岩の上からは南側の展望が開けている。

 岩の周りをもっと調べながら鞍部の反対側へ降ってみると岩の下に穴が開いている。中へ入るとバサバサと羽音が聞こえる。フラッシュを焚いて適当に写真を撮ってみると天井にぶら下った蝙蝠が写っていた。中は暗いが結構広くて立ったまま歩くことが出来る。入口の正面に何か祀ってある。奥の方にも少し隙間があって光が漏れている。ここが大南窟で間違いなさそうだ。

 登山道へ戻る時に気付いたが、杉の葉に埋もれて微かに階段の跡のようなものがある。昔はきちんとした道があったのであろうが、今では入口さえハッキリしない。

(写真:大南窟の岩塔と窟の入口)


あとがき

 このところ気になっていた大南窟に何とか辿り着くことが出来た。そこは、想像していたよりも、もっと感動的な場所であった。宝満山には、まだまだ、こんな場所が隠れているのだと思うと、これからの山歩きが楽しみになってきた。

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