ほっつき歩記山記録 (祖母・傾山系)No.1 縦走路上の山々
山行一覧に戻ります 尾平トンネルから祖母傾縦走路を歩く

登山日 : 2004年5月22(曇り)、23日(晴れ)
コース : 1日目
 尾平トンネル北登山口→尾平越→古祖母山→障子岳→祖母山→障子岳→古祖母山→尾平越→尾平トンネル北登山口
2日目
 尾平トンネル北登山口→尾平越→ブナ広場→本谷山→笠松山→前笠松山→本谷山→ブナ広場→尾平越→尾平トンネル南登山口
登山口 : 尾平トンネル登山口
大分県緒方町から宮崎県高千穂町へ抜ける県道7号線が祖母・傾の稜線下を越えるところに尾平トンネルがある。このトンネルの北と南の両側に祖母・傾縦走路への登山口がある。
所要時間: 1日目 約9時間45分(休憩は含まず) → 詳細
2日目 約6時間50分(休憩は含まず)

(注)この鳥瞰図は「国土地理院のウォッちずで提供されている2万5千分の1地形図」を使用してカシミール3Dで作成したものです。

 以前、祖母傾の縦走を試みたが、初日に登山靴の底が剥がれるというアクシデントが発生し断念したことがある。それ以来、なぜか祖母・傾山系へ足が向かなくなってしまっていた。その後、膝を痛め、テント山行ができなくなり、車をベースにした日帰り山行を繰り返してきたが、何とか祖母・傾縦走路を歩いてみたいと思い、何区間かに分割して歩くことを考えた。九折-坊主尾根-傾山-九折越と尾平-宮原-祖母山-黒金尾根のコースは過去に歩いたことがあるので、九折越-黒金尾根分岐までが残っている。
今回は縦走路をなるべく長く歩く為に、縦走路への距離が一番近い尾平トンネルから祖母山往復と笠松山往復を計画した。
前日(5月21日)の夜、尾平トンネルの北側登山口で車中泊した。

1日目(尾平トンネルから祖母山往復)  写真
 午前5時20分に北登山口を出発。天気予報では晴れの予定だが、辺りはガスっている。ガスが晴れるのは遅くなりそうだ。
尾平トンネルからの登山道は北側と南側の2コースがあるが、今日は北側のコースを取る。北側のコースは杉林の急登から始まり、途中トラバース気味に沢をいくつか横切って、最後の急登で「尾平越」に飛び出す。尾平越はP1214の西側の鞍部にある。北側のコースから登ってくると、右側(西側)が祖母方面、左側(東側)が傾方面である。
 祖母方面へ緩やかな尾根道を登って行く。少し坂が急になり、尾平から上ってきた尾根に合流すると、なにやら三角点らしきものがある。帰ってから調べたら四等三角点で「コシキ岩」という地点らしい。ここから南西方向へ向きを変え、尾根道を登って行く。途中スズタケが濃くなるところもあるが、歩くのに影響しない程度の幅は刈られている。
P1426の手前に展望の利く露岩がある。北側の展望が得られ、大障子岩の突き出たピークがガスに霞んでいる。鹿でも居たのか、辺りには獣の臭いがプンプンしていた。
 古祖母山の手前で2人組の登山者に追いつかれた。中年の男性と雄城台のユニフォームを着た高校生くらいの男の子で、中年の男性の方は無線機を持っているようだった。ペースが速そうなので先に行ってもらった。
古祖母山の手前はちょっとした岩場になっており、ハシゴとロープが掛けられている。ハシゴを上るとやがて二俣になり、右側は「展望よい」と書かれたプレートが掛かっている。どちらのコースを取っても山頂にいけるが、まだ、ガスが晴れておらず、展望は得られそうにないので左側を行くことにした。ここから、道は南へ方向を変え、北側から古祖母山山頂へ飛び出す。

古祖母山の山頂は南側に展望の利く露岩があり、北西へ祖母山への縦走路、北へ傾山への縦走路が降っている。東側には三角点と山頂表示があり、その右手からクマザサの中へ踏み跡が付いている。
山頂では先ほどの2人組が休憩していた。後の行動があるので障子岳まで行って引き返すとの事である。山頂から南へ延びる尾根がガスに霞んでいい感じである。写真を撮りながら、ガスが晴れないかとしばらく待ってみたが、晴れそうにないのであきらめて障子岳へと向かう。

古祖母山から鞍部までは緩やかな歩きやすい道が続く。鞍部の手前辺りで天狗岩と祖母山の岩峰が見えていた。鞍部から障子岳までは第一展望台から、第七展望台までそれぞれ名前がつけられた岩場が連続して現れる。最初の二俣を右に行くと第一展望台である。第一展望台の入口から右の踏み跡を降るとすぐに水場があり、水量は多くはないが冷たいおいしい水が得られる。第一展望台からは右手に古祖母山の山頂と本谷山、傾山へと続く稜線が一望できる。また、左手には第二、第三と続く展望台の岩場とエボシ岩、天狗岩などが見える。ガスのせいか、天狗岩に隠れているのか、祖母山の山頂は見えなかった。その後、第二、第三展望台と第七展望台は確認できたが、第四、第五、第六展望台は入口を見逃したのか、表示がなかったのかはっきりしなかった。
途中で土呂久分岐を左に見送り、さらに進むと第七展望台に着く。第七展望台からはすぐ側に「らくだ岩」が迫り、エボシ岩、天狗岩、祖母山と重なって見える。
障子岳山頂手前は展望の良い広い岩場(「見晴台」と言うらしい)になっている。山頂は岩場から南西へ少し入ったところにある。山頂には中央に「熊の社」と彫られた本を半開きにして立てたような石碑がある。この辺りは昔、熊が多く生息したらしく、南西にある「親父山」の名前は熊をオヤジと呼ぶところから付けられたそうである。山頂にはミヤマキリシマがわずかに咲き始めていた。満開まではまだしばらくかかりそうだ。
北に祖母山、南東に古祖母山が見える。また、南西には親父山、黒岳と続く尾根が延びており、そちらへ登山道が降っている。

祖母山への縦走路は山頂から少し戻り、北へ降っている。行く手に、祖母山が大分近くなってきた。障子岳山頂から10分程降ったところに「エボシ岩」の入口があり、入口から約5分でエボシ岩の展望台に着く。エボシ岩からは「ミヤマ公園」の向こうに「天狗岩」が大きく見える。国土地理院の2万5千分の1の地図ではミヤマ公園の位置がエボシ岩となっている。

エボシ岩を過ぎて、笹とツツジの潅木の斜面を登って行くと「ミヤマ公園」に着く。もうすぐミヤマキリシマが咲き誇るであろう場所である。笹に囲まれた中に岩が点在し、休憩に適している。
ミヤマ公園から降り、天狗岩の付け根を降る。天狗岩は帰りによることにして、先を急ぐ。天狗岩の付け根から少し降ると「黒金尾根コース」の分岐がある。10年ほど前、初めて祖母山に登った時にこのコースを降ったが、かなりの急坂であった記憶がある。今日も何組かのパーティーが登ったり、降ったりしていた。少し前に登ってきた集団が「ウラ谷岩鼻」の絶壁の上で休憩していたので、ウラ谷岩鼻はパスすることにした。

「ウラ谷第二岩鼻」もパスしていよいよ祖母山頂に向かって登って行く。祖母山の山頂直下は岩壁になっており、どこを登るのだろうかと不安になる。途中に「1600m」、「1700m」の表示がある。「1600m」の表示があるところからは右へ分岐がある。どこへ向かう分岐かは分からない。山頂への最後の登りは、少し降った所にあるハシゴから始まる。いくつかのハシゴを上り、岩の間を登って、最後のガレ場を登ると山頂に着く。
時刻は12時半になろうとしていた。山頂では竹田高校のパーティーが休憩していた。後から日田高校のパーティーも登って来た。そういえば古祖母山で出会った2人組の若い方も雄城台高校のユニフォームを着ていた。インターハイか何かの大会かもしれない。山でこれだけの若者を見るのは久しぶりだ。他に若い女性のグループもいる。さすがは祖母山、人気の山だ。

慌しく写真を撮って降りにかかる。岩場とハシゴを慎重に降り、山頂を振り返ると竹田高校のパーティーが降りてきている。途中、「ウラ谷第二岩鼻」と「ウラ谷岩鼻」による。「ウラ谷岩鼻」で簡単に昼飯を食べる。足元は切れ落ちており、風が強い時には来たくないところである。右下の縦走路を竹田高校のパーティーが降って行き、対面の岩の上で後から来た女子グループに声を掛けている。黒金尾根を降るようだ。とにかく元気だ。

「天狗岩」にも寄ってみた。思ったよりは簡単に先端に着いた。この先にアゴ岩と呼ばれる岩峰があるが、あいにくそこまで行く技術も、体力もない。下のほうを高校生たちが降っていくのが見える。オレンジ色の帽子が行儀良く並んで歩いていく。

日暮れ前にはトンネルに着きたいので先を急ぐ。ミヤマ公園のくだりで一人登ってきた。縦走しているようだ。障子岳でも二人組の縦走者に会った。尾平から上り、傾山まで縦走するそうだ。今日はブナ広場辺りにテントを張るらしい。かなりの健脚で最後まで追いつかなかった。障子岳山頂で阿蘇方面の景色に見とれて長居をしてしまった。障子岳から古祖母山までは第一展望台の水場で水筒とペットボトルを満たしただけで、展望台をすっ飛ばして急ぐ。古祖母山からの降りは疲れが出たのか長く感じた。特に尾平越からトンネルの降りは疲れた膝に追い討ちをかけるかのようだった。
午後6時19分、なんとか陽が暮れる前に下山することができた。

長かったが、充実した山歩きができた。

2日目(尾平トンネルから笠松山往復)  写真
 昨日、祖母山まで往復した疲れが残っていた。どうしようか迷いながら5時頃起きだすと、今日は天気がよさそうな気配だ。もったいないので本谷山まででも往復しようと決めて準備をしていると車が一台やってきて男の人が一人登っていった。

午前6時50分、北側登山口を出発。昨日登ったコースを尾平越へと向かう。しばらく杉林の急登が続き、斜面を横切るようになると沢をいくつか渡る。ガレ場を過ぎると最後のひと登りで尾平越に着く。

尾平越は林の中の鞍部でテントを張るスペースもあるが、周りにはごみが目立つ。尾平越からは西へ祖母山、東へ傾山方面への縦走路が横切っている。また、北と南の両方へ尾平トンネルへの道が降っている。北側は急坂だが、南側はなだらかな降りのようだ。

今日は本谷山を目指すので東の方へ向かう。P1214までは背丈の低い笹の中の急坂を登る。P1214からブナ広場までは起伏の少ない尾根道を気分良く歩く。ブナの巨木も見られ、新緑が陽に輝いている。登山道が北東から東へ方向を変える辺りで、北側の尾根から男の人が一人登ってきた。尾平のキャンプ場から調査のために登ってきたそうで、とても通れるような道はないらしい。その後、南側の展望が得られる場所を過ぎるとやがてブナ広場に着く。

ブナ広場には大きなブナの木が何本か立ち並び、木々の間の平坦な場所はテントサイトになっている。南側へ1、2分降ったところには水量豊かな水場があり、テントサイトとして申し分ない。また、南東側斜面は広い樹林帯となっており、その辺りを歩くだけでも楽しそうである。

ブナ広場からは緩やかな樹林帯の登りが続く。道はしっかりと踏まれていて、不明瞭なところはない。8時半頃に男の人が一人、本谷山方面からやってきた。大きなザックを背負っているが足取りも軽く、涼やかな顔をしている。今日は祖母山まで行き、明日、又、九折まで引き返すそうだ。感心するというよりうらやましかった。本当は自分もテントを背負って縦走してみたい。。。
P1334.2を過ぎた辺りの南東側には大きなカエデの木がある笹の原っぱがある。帰りに気付いて覗いてみたら、鹿が一匹逃げていった。この辺りは鹿の通り道になっているらしく、はっきりとした道ができていた。
P1388の手前には巨大なブナの木がある。周りに木が多いため全体像は捕らえづらいがかなり大きい。P1388から降った鞍部のあたりは左側(北側)が崩れ落ちたような谷になっている。すぐに、また登りになるが、右側に古い窪んだ踏み跡があり、左側にスズタケを刈った新しい道が作られている。赤いテープがやたらと木に巻いてあり、いささか目障りだ。おそらく古い道を歩かないようにつけているのだろう。
登りきってやや平坦になったあたりに根元から何本もの枝を広げた木がある。まるでタランチュラのようだ。そこからすぐのところの南側に展望の利く露岩があり、岩戸あたりの谷と二ッ岳が見える。西側には古祖母山の山頂が、東側には本谷山の山頂がわずかに覗いている。
P1475を過ぎた辺りは上が開けており、明るい空き地がある。空き地を囲む木々の新緑が空に映えて美しい。空き地の左手には障子岳と祖母山が覗いている。空き地から少し行くと登山道の正面に露岩が現れる。道は露岩の右側にもついているが、露岩を直接越えても行ける。露岩の上からは西側の展望が良くて、古祖母山から障子岳、祖母山と続く昨日歩いた稜線が一望できる。エボシ岩や天狗岩も顕著である。

露岩を過ぎて明るい新緑の尾根を登って行くと本谷山の山頂に着く。本谷山の山頂は笹と潅木に囲まれていて狭く、展望はない。。三角点の側には、消えかけた古い木の山頂表示と、その下にはプラスチック板の表示が置いてあり、赤白のツートンカラーの杭が2本立っている。遠くから眺めたときの大きな山体からは想像できない地味な山頂だ。祖母山や傾山の人気の影に隠れて不遇な山なのであろうか。木さえなければすばらしい展望が得られそうなのだが、残念である。

時刻は10時30分、お昼までには時間があるし、調子も出てきたので、当初の予定通り笠松山まで足を延ばすことにした。本谷山から1、2分で左に水場の表示がある。帰りに覗いてみたが水は充分に流れており、沢を渡った笹の中にはテント1張り分ぐらいの空間もある。
本谷山から笠松山までは緩やかな降りで、スズタケもきれいに刈ってある。中間地点を少し過ぎた辺りに「トクビ展望台」がある。入口から入ると手前に岩場があり、遠く九重連山まで見える。また、祖母山から大障子岩、障子岩と続く稜線が見える。少し奥に行くと正面に傾山が見えるポイントがある。三つ坊主、二つ坊主から傾山山頂への尾根、山頂から九折越へ降る尾根、山頂から杉ヶ越へ降る尾根が見える。

縦走路へ戻り、笹の間の道を約25分で足元が荒れたところから右へ急登を登ると笠松山山頂に着く。三角点があるが、「笠松山」とい書いた小さな木のプレートがかかっているだけで他には山頂表示らしきものは無い。山頂は木立に囲まれて狭く、わずかに傾山と本谷山が見える。良く見るとすぐ北側にも尖ったピークが見えている。地図を見ると確かにもうひとつのピークがある。今居るピークは地図上の三角点がある地点で確かに笠松山であるが、山頂表示が質素である。ひょっとしたら向こうのピークを笠松山としているのかもしれないと思い、足を延ばしてみることにした。
5分程でピークへの登りとなる。縦走路はピークを右へ巻いているようだ。正面の道を登るとプレートが掛かっていて、正面へ「前笠松」、左へ「西展望台」と書かれている。とりあえず正面の急登を行く。山頂付近は岩稜になっており、山頂手前の岩場からは西と南の展望が得られる。山頂には露岩があり、岩の上に松の木が生えていて、松の木に「笠松山」とかかれたプレートが掛かっている。正確には、このピークは「前笠松山」でさっきの三角点ピークが「笠松山」であろう。雰囲気はこちらのほうがいいような気がする。

山頂で正午になった。昼飯を食って下山にかかる。降る途中で西展望台に寄ってみた。岩の上には松の木が生えていて、本谷山の鈍頂の右側に古祖母山から障子岩までの稜線が一望できる。前笠松の西側は岩場になっていてこのピークが岩峰であることが分かる。

前笠松を出て、途中で鹿の居る笹の原っぱとブナ広場の水場により、尾平越に着いたのは午後3時58分であった。
尾平越からは南側の登山道を降ってみることにした。南側の登山道は北側に比べて傾斜が緩やかである。最後のほうで少し荒れているが、膝への負担も軽く、降りはこちらを通ったほうがいいようだ。降りついたところは未舗装の土呂久林道で広い駐車スペースがあり、北側より開けていて明るい。すぐ左にはトンネルの入口があり、舗装された車道と合流している。道の脇にはトイレもある。ここから暗いトンネルを約10分歩いて北側の駐車場に着いたのは午後4時37分であった。



その他
  • 祖母傾縦走路はスズタケがきれいに刈られており、思った以上に快適であった。祖母山9合目小屋の小屋番さんはじめ、ボランティアで登山道の整備をしてくれる方々のおかげである。感謝します!!
  • 古祖母山辺りを境に縦走路の雰囲気が変わる。岩と展望の西側(祖母山側)と豊かな自然林の東側(傾側)、どちらも山の醍醐味を堪能できた。
  • 今回の山行で祖母傾の縦走路は残すところ九折越-前笠松間のみとなった。いつか、この区間も埋めようと思うが、やはり通しで歩いてみたいというのが本音である・・・・
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