ほっつき歩記山記録 (九州脊梁山地)No.11 | 積岩山・蕨野山・鷹の巣山 |
積岩山・蕨野山・鷹の巣山 |
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※地図をクリックすると詳細なルート図が表示されます。 | |||||||||
(注)この鳥瞰図は「国土地理院のウォッちずで提供されている2万5千分の1地形図」を使用してカシミール3Dで作成したものです。 | |||||||||
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久連子に足を踏み入れたのは初めてだ。前日に久連子荘から先へ延びる林道周辺を調査した。この林道は久連子荘の所から始まり「林道菊池人吉線」というらしい。全舗装の立派な林道で、新しい地図の終点よりさらに上部まで延びている。おそらく石楠越辺りを越えて水上村まで延びているのだろう。この林道は石楠越への破線と交わる辺りにゲートが設けられて立ち入り禁止になっていた。あたりは工事の土砂で埋め立てられていた。久連子ももはや秘境ではなくなってしまった。 石楠越への登山道がないか調べたが結局分からず、鷹の巣山(地図では蕨野山)への登山口らしいテープが2、3箇所見られたが、どこが正解か分からなかった。この日は積岩山の登山口のある林道(林道日添線)脇の空地で車中泊した。 |
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● | 駐車ポイントから積岩山 写真 | ||||||||
翌日は朝からどんよりとした空だ。午前5時55分、空地に車を置いて林道を上って行く。地図の破線が始まっている辺りは伐採の作業場のようになっている。とりあえずここを見送って先へ進むと林道の終点に「積岩山登山口」の小さなプレートが木にかかっていた。雨が降ってきた。 ヒノキに挟まれた割と広い平坦な道を進んでいく。やがて、左側に堰堤が現れた。この堰堤は谷いっぱいの広さで、コンクリートの壁が右の方まで続いている。堰堤を右から乗越し、ガレた杉林へ入っていく。ガレた沢沿いに登っていき、やがて二俣に差し掛かる。ここは左の沢を登る。滝が現れる。この辺で道は怪しくなってきた。滝を左から巻いて上に出る。谷の右岸沿いに登る。左岸はガラガラだ。 谷を詰めるのが厳しくなった頃、左手杉林の方へ踏み跡があったのでそちらへ行ってみる。杉林の中に道がついていた。おそらく谷の途中からこの尾根に入るところがあるか、最初から、あの伐採作業場辺りからこの尾根に道がついているのかもしれない。 杉林の尾根道はすぐに急登になる。間伐した跡の切り株の上に石が置いてある。道標だ。始めて見る。この辺りは石がゴロゴロしているからできるのだろう。しばらく休憩して、登りにかかる。石の目印に沿って急登を登って行く。 杉林の急登を30分程登ると、露岩のやせ尾根の急登になる。さらに10分程で急登は終了し、自然林のなかを5分程で稜線に出る。 出たところは分岐になっており、西から東へしっかりした踏み跡がついている。今登って来た方へ「久連子神社へ」、東の方へ「積岩山20分、蕨野山・スズタケ少々」の小さな表示が木にかかっている。西のほうへは何もなかった。ここは「岩茸越」ではなさそうだ。帰ってから確認すると、「岩茸越」はここから西へ約250mの地点にあるようだ。ちょっと行ってみればよかったと後悔するが、そのときは余裕がなかった。 東の方へ踏み跡をたどる。分岐に書いてあった「スズタケ少々」が気になった。雨の日のスズタケは厄介だ。スズタケの中で道を探しながら進んで行く。大きなブナの木も雨にかすんでいる。南の方が少し開けているのでそちらへ行くと、そこが積岩山の山頂であった。三角点と金属の標識がある。雨でなかなか写真が撮れない。それでも、小降りになるのを待って記念撮影だけする。山頂から東へ続く尾根の南側は自然林を間伐したようになっており、明るい自然林になっている。山頂から南の方へ踏み跡がついている。ちょっと覗いてみると先の方で怪しくなっていた。また、尾根の南側に沿って広い道が続いている。おそらく伐採の作業道跡であろう。 |
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● | 積岩山から蕨野山 写真 | ||||||||
作業道跡を東の方へ進む。車でも通れそうな幅がある。南側は樹の間から見通しが利きそうだが、あいにくガスっていて何も見えない。作業道は尾根の南側を進み、一箇所だけ右側が崩れて狭くなっている。道は次第に南のほうへ降っていく。変だと思い、地図を確認すると蕨野山から南へ延びる尾根沿いに降っているらしい。蕨野山はここから北へ登った辺りにある。尾根に上り、北へ向かう。木は切られてまばらになっており、間には馬酔木であろうか白い花が鈴なりになっている木が多い。 途中で滑って手を竹で突き刺してしまった。結構深い傷で一瞬あせったが、水で傷口を流し、血を少し出してからバンドエイドを貼り、タオルを裂いて巻いた。幸い傷みはあまりない。どうしようか迷いながらとりあえず蕨野山まで行く。稜線に出て少し西へ戻ったところに「蕨野山」の小さな標柱が立っていた。東西へ倒木の多いなだらかな尾根を持つ山頂で、地図上のP1438にあたる地点だ。標柱には「九州100山峰著者渡部智倶人一行十名 蕨野山」と書かれている。ネットなどで見るとここを「蕨野山」、地図上の蕨野山を「鷹の巣山」と呼んでいるらしいが、なぜなのかは分からない。 |
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● | 蕨野山から鷹の巣山 写真 | ||||||||
手の怪我が気になって気分は落ち込んでいる。辺りは相変わらずガスっている。どうしようか考える。左手が無理できないので、登ってきた道の状況を考えると引き返すのも気が重い。鷹の巣山まで行って林道へ降った方が標高差も少なくよさそうに思えたので、当初の予定通り東へ向かうことにする。 蕨野山から開けたところを降っていくと方向が南東に向かっている。辺りをうろうろして道を探すがはっきりしない。途中に柄の入った布のリボンが一箇所あったが、そこから先がはっきりしない。大きなブナがある辺りから強引に稜線に出て、稜線上をスズタケを掻き分けながら進むことにする。幸いスズタケは葉をつけておらず、何とか前進できる。ガスの中に時々ブナの巨木が現れる。 蕨野山からあちこち道を探しながら約40分、広い鞍部に着く。一面ガスが立ち込めている。ここから広い斜面が南のほうへ広がっている。ついそちらへ向かいそうだが、また、南へ降ってしまいそうなので、方向を確認して尾根の北側を横切って行く。斜面をジグザグしながら進む。尾根の上に道があるのではと気になるので、途中尾根上に登ったりするが、スズタケに阻まれてしまう。途中で大きな枯れ木にサルノコシカケが沢山付いていた。倒木にキノコも沢山生えている。また、白い花が咲いている木もあるが、あいにく何の花かは分からない。バイケイソウは先週とは違い完全に葉を開いていた。 ガスは完全に晴れて青空が覗いてきた。後方(北西)には保口岳方面の景色が見える。そろそろ鷹の巣山の近くだと思い、尾根に登り、折れた木と潅木の茂みを越えて東へ行くとすぐに鷹の巣山山頂に出た。 鷹の巣山山頂には木が一本生えており、曲がりくねった枝の向こうに三角点と山頂標識がある。標識は2本あり、1本は三角点の横に「蕨野山」と打ち出された金属の標識で、もう一本は「鷹の巣山(蕨野山地図上)」と書かれた木の標識である。どちらが正しいのか分からない。山頂の近くにはブナの木があり、やっと葉が開き始めていた。後1、2週間でこの辺りも緑で溢れるのだろう。 三角点の近くにプラスチックの化粧品のビンの様なのが置いてあり、中にはメモが2枚入っていた。しかし、中は水浸しである。蓋をしっかり閉めていても水が入ってしまうのだ。時雨岳にも同じようなビンがあったが、やはり、中は水浸しであった。 いつの間にか完全に晴れ上がった。ここで昼食にすることにした。コーヒーを入れて、食パンにジャムを塗って食べる。手を怪我していることもあり、パンを焼くゆとりはなかった。木の間から南東方面がかすかに見える。高塚山の手前の山腹を林道が横切っている。地図よりももっと北の方まで延びてきている。おそらく久連子からの林道と繋がっているのだろう。ついに石楠越も車で越えられるようになってしまった。ということは、南山犬切と鷹の巣山の間も林道を挟んで簡単に登れるようになるのかもしれない。 |
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● | 鷹の巣山から下山 写真 | ||||||||
鷹の巣山山頂から石楠越へ続く尾根への道を探してみたが、見つからなかった。手の怪我もあり、ここから先は危険だと思い、北東についているテープのほうへ進む。多分、下の林道へ降るはずだ。すぐに北西へ方向を変え、広い斜面を赤いテープを目印に降っていく。 ちょっと平坦になったあたりで白いリボンが現れ、目の前のポコに向かっている。赤いテープはポコの左(西)の方へ進んでいる。ポコのほうへ行ってみると、基準点のような石柱の横に白いテープを巻いた木の枝が立ててある。ここから左(西)へスズタケを刈った跡を行くとまた、赤テープに合流し、杉林へと入っていく。林の中の木を伐った跡を降っていくと、右(北東)のスズタケの方に白いテープが付いている。道は斜面をぐんぐんトラバースして鷹の巣山の北東の谷に出る。谷の上部に向かってテープが付いているので直登も可能なようだ。 ガレた谷を降っていくと左手に水場がある。石の間から流れ出る水を2本のパイプで受け、下のバケツに溜めてある。ここでカッパの上を脱ぎ、顔を洗って、さらに降って行く。道は足の置き場に困るくらいの急な斜面を谷沿いに下っていき、昨日、鷹の巣山登山口として当てをつけていた地点のひとつに降りついた。そこは林道が左にカーブしているところで、北側が広場になっている。広場には大きな木が何本か横たわっており、入口には「不適合品置き場」の標識が横たわっていた。また、南側には青いシートを掛けた工事の資材のようなものが並べてある。木の上で休憩していると作業者の車が降っていった。 後は、昨日車で走った道をひたすら歩くだけだ。ここから久連子神社の分岐まで約5K、標高差約500m、久連子神社から駐車ポイントまで約2K、標高差約250mある。長いが、怪我した左手を使うこともなく、道に迷うこともないので、気長に歩くことにする。 林道からは岩宇土山が眼前に大きく迫り、その上部に山犬切から上福根、茶臼山へと続く稜線とその山腹を横切る林道が良く見える。降っていくにつれて、道路の上に見える岩宇土山は圧巻だ。久連子大橋の手前にもうひとつ橋がある。橋の名前は「カキコバ谷橋」となっている。右側には木で作った堰堤があり、その奥に滝が見える。覗いてみたい衝動に駆られる。 久連子大橋を渡り、久連子荘を過ぎると川のほうからカジカの声が聞こえてきた。この辺りの川にはまだ、カジカが生息しているのだ。なんともいい音色である。また、道の両側にはヤマブキの黄色い花が咲き乱れていた。木苺の花に似ているが、木苺よりは少し大きな花できれいだ。山腹には藤の花の紫もちらほらと見える。 途中、狭い道路の両側にへばり付いた様に家が並んでいるところを通り抜けると間もなく「久連子古代の里」に着く。この辺りで見かけた唯一の観光施設で、門のすぐ左に「久連子鳥」の小屋がある。ちょっと失敬して写真を撮る。この近くの川からもカジカの声が聞こえてきた。川の水は上から見ても底の石が見えるほど澄んでいる。 「久連子古代の里」の反対側には久連子神社があり、木の鳥居が立っている。久連子神社のところで左へ分岐する車道を登って行く。この先には家が何軒かあり、生活の匂いがする。どこの庭も花で溢れており、鶏の鳴き声も聞こえる。私が生まれた頃の故郷もこんな感じの所であった。家の間を抜けていくと道路わきに「林道日添線」の標柱がある。最後の一軒を過ぎ、左へ大きくカーブするとやがて未舗装の道路に変わる。さらに、右へ大きくカーブしてどんどん歩いていくと、次のカーブのところに愛車RAVちゃんが止まっていた。午後5時12分、11時間17分の山行であった。 |
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● | その他 | ||||||||
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