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谷を辿れば。。。 欅谷の支谷(1)(2011年3月〜10月) → 写真集


 昨年末から右手に痺れがでてリハビリ通いが続いているこの頃であるが、それでもチョコチョコと三郡山地へは出かけている。最近は谷歩きにはまっていて、谷を登って別の谷を降るということもある。今年は欅谷へ南から合流する支谷を頭巾山北面から三郡山西面にかけて何回か歩いた。今回はその内の幾つかを少しレポートしてみようと思う。なお、使用している写真は季節が混在している。


登山コース

(共通)昭和の森 − 欅谷Bコース登山口 − 谷の入口 − 大滝の二俣

(1)大滝の二俣から右俣を辿る(3月27日登り、8月31日降り)
   大滝の二俣 −(右俣)− 縦走路(頭巾山分岐近く)

(2)右俣の途中から頭巾山山頂を目指す(9月25日登り、10月2日降り)
   大滝の二俣 −(右俣)− 分岐1 − 頭巾山山頂

(3)左俣から三郡山へ(3月30日、10月10日)
   大滝の二俣 −(左俣)− レーダー局下 − 三郡山山頂

MAP

谷の入口まで
昭和の森 →(宇美林道12支線) →  欅谷Bコース登山口 → 堰堤作業道 → 谷の入口

 休日にはバンガローの駐車場が満杯になるほど昭和の森から登る登山者が多くなった。一人で登る人、気の合う仲間とグループで登る人、ばっちりと決めた登山スタイルの人、軽装備のハイキング姿の人、さまざまな登山者が、各々、内ヶ畑、欅谷、頭巾山、河原谷の各方面へと出発して行く。

私も準備を整えて昭和の森のバンガローから三郡山方面へ向かう林道(宇美林道12支線)を欅谷Bコースの登山口へ向かう。頭巾山コースの登山口の手前辺りからは正面に三郡山山頂のレーダードームが見える。9月に歩いた時には前方を4人組の若い女性のグループが楽しそうに歩いていた。中高年の登山者が多い中、若者の姿を見かけると自然と心が和んでくる。

林道脇には季節ごとにいろんな花を見かける。今年はアケボノソウやツルニンジンの花などを見かけた。昭和の森から約40分で欅谷Bコースの登山口に着く。登山口には欅谷Bコースと欅谷Aコースを指し示す標識がある。夏場は草に埋もれそうになっている道を一段上がってから右の林の中を登って堰堤作業道へ出る。正面には削られた尾根の突端が迫っている。堰堤作業道を右へ少し降ったところの左手に登山道の入口がある。入口には標識が立っている。

登山道は林の中の谷沿いに登って行き、尾根を越えると欅谷の左岸沿いに進む。以前は倒木などもあったが今は処理されて歩きやすくなった。左手には常に崩壊した欅谷の様子が見て取れ、豪雨のすさまじさが伺える。登山道の途中で右側から幾つかの支谷が降ってきている。登山道脇に大きな岩があるところ(岩の谷入口)もそのひとつで、この谷を辿ると頭巾山山頂から昭和の森側へ少し降ったところにある露岩の近くに出る。今回の目的の谷はそこよりもっと先で、登山口から30分ほどの所でロープの急登を越えたところにある。

(写真:欅谷Bコースの登山口へ)


谷の入口から大滝の二俣まで
谷の入口 → 大滝の二俣

 谷の入口は土砂と倒木で荒れ果てていて、最初は足を踏み入れるのをチョッと躊躇する。谷の入口から倒木と岩を跨ぎ流れに沿って登ると、程なくして倒木に遮られるので右側の林との境を登って行くが岩が積み重なっていてなかなか歩きづらい。岩と岩の隙間を落ち葉や木の枝が隠しているので踏み抜かないように慎重に足場を選んで歩く。右手の林の奥には岩の壁が連なっているのが見える。

谷の入口から12、3分登ったところで杉の倒木を潜って再び流れに降りると、上が開けて大きな岩や倒木が積み重なっているところに出る。ここは、ふたつの谷の出合いになっていて、左の谷の入口には岸壁を流れ落ちる滝が立ちはだかり、かなり険しい様子を見せている。滝の上の方は急傾斜の壁になっていて、下の方は斜めに樋状の流れが降っている。滝の下には倒木が散らかっている。さらに上の方にも滝があるのだが険しくて簡単には近づけない。この谷は三郡山山頂の西側のレーダードームの下辺りから降ってきている。一方、右の谷は赤茶けた岩の斜面を一筋の流れが降って来ている。こちらの谷は頭巾山山頂付近から天の泉辺りにかけての縦走路から幾つかの谷が集まってきている。

今回は、まず、この二俣から右俣を辿って頭巾山近くの縦走路まで、次に、右俣の途中から頭巾山山頂へ向かう支谷、最後に、左俣を辿って三郡山山頂までレポートしてみよう。

(写真:大滝)


(1)大滝の二俣から右俣を辿る
大滝の二俣 → 段々に落ちる滝 → 分岐1 → 分岐2 → 分岐3 → 縦走路

 まずは、大滝の二俣から右の谷を頭巾山近くの縦走路まで辿ってみる。

赤茶けた岩の流れに沿って登って行くと、段々に落ちる滝に突き当たるので、滝の上までは左の杉林を登って行く。滝の下の左岸へ急な谷が降ってきているのが見える。滝の上から少し登ったところでも右側からガレ谷が降って来ている(分岐1)。入口を大きな岩が塞いでいて岩の向こう側に細い流れが見られる。この谷は頭巾山山頂から降ってきている谷で下部は崩壊したガレ谷、上部はゴロゴロとした苔むした岩の斜面になっている(下のレポート参照)。

左に草が生え始めた崩壊地を見ると、また、二俣が現れる(分岐2)。左は天の泉辺りから降ってきた谷で、入口付近には急傾斜の岩肌が見えている。右の谷を登って行くとさらに二俣がある(分岐3)。二俣近くの左岸には炭焼き窯の跡が見える。左の谷は縦走路を天の泉から頭巾山側へ少し行ったところから降ってきている。右の谷の入口には木の枝が散乱しているので、これを避けて谷の右岸を登って行く。

水が涸れたころ、谷の上部に枝を広げたブナの木が見えてきて、やがて縦走路へ飛び出す。出た所は三郡宝満縦走路の頭巾山分岐から三郡山方面へ少し降ったところの平坦地(「三郡山頂まで 五〇〇M」の標柱があるところ)である。谷の降り口には立ち姿の良いブナの木が2本並んでいる。

(写真:大滝の二俣の右俣)


(2)右俣の途中から頭巾山山頂を目指す
大滝の二俣 → 段々に落ちる滝 → 分岐1(ガレ谷入口) → ガレ谷終点 → (苔むした岩の谷) → トンガリ岩 → 頭巾山山頂

 次に、大滝の二俣から右俣を辿り、その途中から頭巾山山頂へと登っている谷を辿ってみる。

大滝の二俣から右の谷へ入り、段々に落ちる滝を越えて少し登ると、右側に大きな岩が現れる。この岩の上部にはガレ谷が見えている。地図を見るとこのガレ谷は頭巾山山頂付近から降ってきているようだ。谷の入口には僅かに水の流れが見られるが、谷の様子から見ると上部はおそらく伏流水になっているのだろう。

崩れやすいガラガラした所を登って岩の上に出ると崩壊した浅い谷が一直線に降ってきているのが見える。最初の内は僅かな水の流れが見えたが、涸れてコケが生えた岩が現れると積み重なった岩の壁に突き当たる。谷はここから崩壊したようで、上に上がると苔むしたゴロゴロとした岩の林が広がる。苔や羊歯に覆われた大きな岩や小さな岩が複雑に積み重なっていい雰囲気を作っている。辺りの木々も陽に照らされて緑が綺麗だ。苔むした岩の間を足場を選びながら登って行くと正面に三角形に尖った白い岩が立っている。緑の岩の中にひときわ目立つトンガリ岩だ。

広い林の左の方に涸れた流れの痕跡が残っていて、その左の尾根には露岩が立ち並んでいる。露岩の上に登ると木の間越しに三郡山山頂のレーダードームが意外なほど近くに見える。苔むした岩群を過ぎると谷は三つに分かれて頭巾山山頂へと向かう。左は頭巾山山頂の東側の平坦な尾根から降っていて上部に崩れた後が見られる。真中は頭巾山山頂の東側の鞍部(反対側は草ヶ谷へ降っている)から降って来ていて谷の入口付近には露出した岩が見える。一番右側の谷は頭巾山山頂の少し西側の林の中に小スペースがある辺りへ登りあげている。どれを辿っても頭巾山山頂まではほんの僅かである。

(写真:苔むした岩の斜面とトンガリ岩)


(3)大滝の二俣から左俣を三郡山へ
大滝の二俣 → 大滝の上 → 2段の滝 → 岩の段差手前の二俣 → 平坦な二俣 → 最後の二俣 → 階段 → 縦走路 → 三郡山山頂

 ここでは、大滝の二俣から左俣の谷を三郡山山頂直下まで辿ってみる。この谷は前半に滝や倒木、崩壊した岩などがあり、右俣に比べるとかなり歩きにくいのでそれなりの経験が必要である。

大滝の上へは右の尾根から高巻いて登る。途中で大滝のすぐ上に通じる岩棚があるが、狭くて手前へ傾斜しているうえに右側から岩壁が斜めに張り出しているので通れそうにない。仕方がないので、右からさらに高巻いてもう一段上へ上がる。杉林の中の倒木は緑の苔でびっしっりと覆われて、あちこちから「苔の花」が伸びている。上から覗くと、大滝の上部は赤茶けた岩の段差を2段くらい落ちた後、やや斜めに岸壁を流れ落ちている。大滝の上にももう一段小さな滝があり、その上に上がると上流には谷を横切る杉の倒木が何本か見えている。

倒木の向こう側に見え隠れする流れは、かなり急な岩の斜面を流れ落ちているように見える。枯れた杉の葉に悩ませられながら倒木を潜り抜けると、やはり、目の前に滝が現れた。上下2段の滝で、1段目はやや斜めに流れ落ち、2段目は少し傾斜が急になっている。上下合わせると10m以上ありそうだ。倒木がなければかなり迫力のある景色が見れそうである。下の滝は左右どちらからか越えて、上の滝は右から越えて行く。10月に登った時は、滝の途中にユキノシタ(ではなくジンジソウだったようだ)が可憐な花を咲かせてゆらゆらとゆれていた。滝を慎重に越えると、傾斜はやや緩やかになるが、またまた、前方に杉の倒木が枯れた枝の盛り上がりを見せている。

倒木の周りには大きな岩がゴロゴロしていてブッシュ化が進んでいる。イバラに苦戦しながら何とかブッシュ帯を突破すると、こんどは岩で埋め尽くされた谷が現れ次第に傾斜が急になっていく。ここは谷の出合いになっていて左が本流で大きな岩が積み重なっている。右の方へは浅い谷が登っているが、水は涸れて草が生えてきている。

左の谷のゴロゴロとした岩の段差を越えると傾斜は次第に緩やかになるが、やはり倒木が谷を塞いでいる。右から倒木地帯を越えると傾斜は益々緩やかになり、細く浅い谷が左右へ分かれていく。その真中を進むと草に埋もれかけた炭焼き窯の跡があり、その背後から尾根が盛り上がっている。右の谷は小谷を幾つか合わせながら緩やかに登っているようだ。左の谷を進むと、こちらは左手から細い小谷を2本ほど合わせて、最後に再び左右へ分かれて行く。3月に来た時は冬枯れの気持ちの良い場所だと思ったが、10月には木の枝が茂ってなんだか荒れた様相を呈していた。

左の谷にはコンクリートの段差が見えている。ふたつの谷の間の尾根はちょうど九州自然歩道の案内板とベンチがある辺りへ登っているものと思われ、その右側を気持ちよさそうな、なだらかな谷が登っている。左の谷を辿りコンクリートの段差の上へ上がると、やはりコンクリートで固められた斜面があり、その上の左手を階段が登っている。谷は階段の右側で航空監視レーダー局の建物に突き当たって終わりとなる。左の階段を登って専用道路の下で左へ折れ、レーダードームの下を回り込んで登山道へ出る。登山道を右へ折れて突き当りからひと登りで三郡山山頂に着く。

一方、右の谷を辿ると九州自然歩道のベンチから頭巾山方面へ降った鞍部あたりの登山道へ出る。レーダードームの下をウロウロすると不審者に間違われかねないので、右の谷から登山道へ上がったほうがよいだろう。登山道への出口付近にはブナの木が何本か立っていていい雰囲気である。

(写真:レーダードーム直下の景色)


あとがき

 今回辿った谷は欅谷Bコースの途中から入っていくので、草ヶ谷に比べると谷の中を歩く距離は短い。しかし、大滝の二俣から三郡山方面へ登る谷は倒木が多くて結構厳しい登りである。一方、頭巾山方面へ向かう谷は倒木も少なくて割と歩きやすかった。また、右俣の途中から頭巾山山頂へ向かう谷は苔むした岩と木々の緑がとてもいい雰囲気を作っていた。このほかにも、頭巾山方面へ登る谷で苔むした岩の斜面が続く谷があるのでいつかレポートしよう。。。

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