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頭巾山北尾根を辿る(2011年11月3日) → 写真集


 各地から紅葉の便りが聞かれるようになった。三郡山地もそろそろ紅葉の見ごろを迎えるころだ。今日は様子見がてら頭巾山へ出かけてみた。最近は、欅谷から谷を辿って頭巾山山頂まで登ることが多くなっているが、今回は欅谷から尾根を辿ってみることにした。

※このレポートで使用している谷の名前や滝の名前等は便宜上付けたもので正確な名前ではありません。


登山コース

昭和の森(9:35) − (10:15)欅谷Bコース登山口 − (10:35)苔岩の谷入口(10:40) − (11:50)絶壁(昼飯)(12:30) − (12:43)頭巾山 − 縦走路発(13:00) − (13:55)大滝 − (15:20)ナメ滝 − (15:48)昭和の森

MAP

苔岩の谷から尾根経由で頭巾山へ
昭和の森(バンガロー駐車場) → (宇美林道12支線) → 欅谷Bコース登山口 → 苔岩の谷入口 → 北尾根 → 絶壁の上(昼食) → 頭巾山山頂

 今日は、前回「谷を辿れば。。。 欅谷の支谷(2)」でレポートした谷で登りに辿った二つの谷の間の尾根を辿って頭巾山山頂を目指す。便宜上、西側の谷を「苔岩の谷」、東側の谷を「絶壁の谷」と呼ぶことにする。

「苔岩の谷」は苔むした岩で埋め尽くされた広い谷で、その両側を水が流れた跡の窪みが降っている。「絶壁の谷」は「苔岩の谷」の東側の尾根(今日登る尾根)を越えた隣の谷で、下部はゴロゴロとした岩と倒木で荒れており、岩の上にはイバラが生えてブッシュ化が進んでいる。上部は隣の「苔岩の谷」と同じように苔むした岩で埋め尽くされているが、最後は絶壁に突き当たって終わっている。これら二つの谷の間の尾根は頭巾山山頂の西側の端から降って来ていて、下の方は扇形に広がって欅谷へ落ちている。欅谷Bコースの登山道はその裾野を巻くように登っている。

この尾根は裾野が広いので何処から取り付くのが良いのか分からない。また、欅谷Bコースの登山道を歩きながら尾根の様子を観察すると、下の方は植林帯で、木と木の間には下草が生えて露岩も散らばっているので歩きにくそうだ。結局、今まで歩いて様子が分かっている「苔岩の谷」から尾根へ上がることにした。

欅谷Bコース登山口の上を通る作業道から登山道へ入り、尾根を越えて少し行ったところで右側から露岩が迫り出しているところがある。ここが、「苔岩の谷」の入口だ。谷の入口から入ると岩にはさまれた狭い窪みを登って行く。右上には真っ直ぐに伸びる数本の杉かヒノキの向こうにまるで囚われたモンスターのような岩の壁が見える。その左側には崩れた岩の塊が積み重なっていて、さらにその左側を水の流れる窪みが通っている。岩だらけの窪みから離れて左の植林帯の斜面へと向かう。植林帯はすぐに終わって自然林へと変わるが、辺りは露岩が多く、傾斜もかなり急だ。歩きやすそうなところを探して登って行くが、なかなか尾根の上に辿り着かない。この尾根は下の方で広がっていて尾根の中央までは少し距離があるようだ。

木につかまりながら急斜面を登って行くと、木の間を斜めに登る微かな踏み跡が見える。おそらく小動物の通り道なのだろう。これを辿って尾根の上に出ると、尾根の反対側には欅谷上部の尾根と縦走路脇にある反射板が見える。右隅には三郡山山頂のレーダードームの頭も半分ほど覗いている。自然林の尾根は下草もなく、木々の間には十分歩ける隙間がある。一面敷き詰められた枯葉の上を気分良く歩いていくと、丸く窪んだところがある。大木が倒れた跡などに良くこういう光景を見かけるが、大抵、近くに朽ちた木が横たわっている。しかし、ここにはそれらしきものは何もない。ドリーネだとは思われないし、なんだろうか。。。

枯葉の中にはちらほらと赤や黄色の落ち葉が混じっていて、その割合が多くなった辺りで上を見上げると紅葉した木が枝を広げている。右へ色とりどりの落ち葉の斜面が降っている辺りを過ぎると正面に露岩が立ちはだかる。露岩を左から巻くと次第に岩が多くなり、頭上には紅葉した木が多くなってきた。特徴のある露岩が増え、左の谷へ落ちる斜面が険しくなってきた辺りで尾根のすぐ左側に切り立った断崖が見える。露岩の間を通って断崖の上に上がると例のくちばしに似た岩が見える。最初、偶然に立ち寄ってからなかなか場所を特定できずにいたが、最近は確実にここを訪れることが出来るようになった。

木の枝を掻い潜って断崖の端に出ると正面には常緑樹の緑と紅葉の赤や黄色、すでに葉を落とした冬枯れの灰色が入り混じりながら欅谷へと降っている。その向こうには砥石山や若杉山が見えている。砥石山の手前の稜線を雲が越えては消えていく。右側には三郡山山頂付近の落葉樹の尾根がやや赤みを帯びた灰色にかすんで見える。また、はるか左下の方には欅谷Bコース登山口の橋も見えている。

写真を撮ったり、景色を眺めたりしているうちにお昼を過ぎたので昼飯休憩にすると、下の方で人の声が聞こえる。どうやら欅谷Bコースを降ってくる登山者の声のようだ。谷を見下ろすと、倒木が折り重なり、白い岩がむき出しになった辺りを人が降っているのが見える。この前から欅谷を渡るところは見えているのだろうかと気になっていたが、やはり、あそこが渡渉地点だったのだ。

昼飯休憩を終えて頭巾山山頂へ向けて尾根を登って行く。急な尾根を約10分で頭巾山コースの登山道に出る。後は左へ1、2分で頭巾山山頂に到着だ。

(写真:落葉の尾根道と紅葉)


草ヶ谷を降って下山(地図は省略)
頭巾山山頂 → 縦走路 → 支谷を降って草ヶ谷へ → 三俣 → 倒木の二俣 → 大滝 → イバラの谷の二俣 → 岩の上の巨木3(左岸) → 岩の上の巨木2(右岸) → 岩の上の巨木1(右岸) → 樋の滝 → 岸壁通り → 斜め滝 → 尾根分岐 → ナメ滝 → 二俣 → 林道 → 昭和の森(バンガロー駐車場)

 頭巾山山頂近くの縦走路を少し歩いてみたが、辺りの木は紅葉のピークを過ぎたのか葉を落としている木が多い。しかし、谷間にはまだ紅葉が残っているようなので、宝満山方面へ少し進んだところから草ヶ谷目指して谷を降ることにする。急斜面を降って行くと辺りは紅葉した木々で満たされてくるが、ピークが過ぎて散り始めている木やこれからピークを迎えようとしているものが入り混じっている。全体的には黄色が多いようだ。

頭巾山山頂方面から降ってきた谷が右から合流すると、谷は深くえぐれて荒々しくなってくる。左岸は露岩が剥き出しになっているので、右岸から回り込んで谷へ降り、左岸へ渡って尾根を横切るように降って行く。しばらく降ると左側に岩で埋まった林が現れる。この辺りは三俣になっていて左から谷が2本降ってきている。この2本の谷はどちらも上部を通っている縦走路へと登りあげている。

三俣から少し盛り上がったところを降って行くと、露岩と倒木で荒れた感じのところに出る。ここは左から谷が合流していて、谷の入口は倒木で塞がれている。右側は植林帯で、こちらからも谷が降ってきているが、倒木で荒れていて様子がよく分からない。露岩は濡れて滑りやすいので注意深く降って行くが、どうやら、ここは右から回り込んだほうが良かったようだ。

露岩から降ると、谷を塞ぐ倒木の下から左側の露岩の壁の横を降って行く。右側には幾つかの谷が合流して荒れた様相を見せているが、その下には広い岩盤が斜めに降っていて、さらにその下で滝を作っている。滝の前には以前から倒木が一本横切っている。さらに降ると大滝の上に着く。

いつもは、大滝の上でゆっくりするのだが、陽も短くなってきているので大滝の下へ降ることにする。登るときは滝を眺めながら滝のすぐ横を登るのだが、降りはチョッと危ないので左から大きく巻いて降る。尾根のすぐ左には隣の谷が見えている。大滝の上段の滝の下で写真を何枚か撮ってから、さらに左の尾根を降って行く。右手に大滝の中段の流れが斜めに流れていて、すぐ下で下段の滝となって落ちている。下へ降りると二俣になっていて、振り返ると左側に大滝の下段の滝が覗いているが、滝の前には倒木が数本入り乱れていて全体は見渡せない。右の谷にも岩と倒木が散らかっていて、奥の方に滝のような流れが見えている。また、右の谷の入口の左岸には炭焼き窯の石組みが覗いている。

大滝の下からは谷の右岸に新しい赤テープが付いている。いつもは左岸を通っていたが、倒木で少し荒れているので今日は右岸を降ってみたが、こちらの方が歩きやすそうだ。しばらく降ると右から倒木とイバラで荒れた広い谷が合流する。この谷は頭巾山山頂の西側の鞍部から降ってきている谷で上部は植林帯になっている。この先、右岸には崩壊地があってイバラで荒れているので、ここからは左岸を降ることにする。この辺りは巨木が多いところで、左から合流する谷の入口付近には巨木が数本立っている。岩の上に立っている2本は特に見栄えが良い。しかし、反対側の右岸にはもっと迫力のある巨木が2本あることを知っていたのでそちらへ向かう。

右岸へ渡るとすぐ目の前の巨岩の上に巨木が枝を広げている。岩の高さがあるので巨木の全体は見えないが、かなり低い位置から枝を広げているようだ。岩の上に少しだけ覗いている幹もかなり太そうだ。右岸を少し進むと、そこにも岩の上に巨木が枝を広げている。こちらの方は岩が低い位置にあるので木の傍へ近寄ることが出来る。この木の幹は本当に太くて蔦が何本か絡まっている。岩の上を太い根が這い回っていて、岩の側面を降りていく根は平べったく広がって岩に張り付いている。この谷で見た中では一番太い木だ。葉っぱはぶなに似ているが葉の周りについている鋸状のギザギザがチョッと違うようなのでケヤキかもしれない。

巨木巡りを堪能して先を急ぐ。この谷の左岸には、途中不明瞭なところもあるが、古い踏み跡がついている。いつも流れを辿って登ってくるので、尾根分岐から斜め滝まではこの踏み跡を辿ったことはないが、今日はこれを辿って降ってみる。しかし、途中でやはり気になるので「樋の滝」と「斜め滝」だけは覗いていく。岩がが多くて踏み跡が消えているところもあるが、歩けるスペースはあるので気にせずに降って行く。左岸の踏み跡に沿ってやはり新しいテープが付けられている。しかし、この踏み跡を辿ると流れの中にある景色を見落としそうなので、各ポイントを把握するまでは流れに沿って登ったほうがよいかもしれない。左岸の踏み跡を辿るとひときわゴロゴロした岩が広がっているところに出る。この辺りは左から荒れた谷が合流しているところで、左の谷の左岸の尾根は露岩の突端となって切れ落ちている。その尾根の上から河原谷方面へ踏み跡がついているので、私はこの地点を「尾根分岐」として把握している。

さて、ここからしばらくは藪の下を潜るような踏み跡が続くのだが、これも以前に比べると大分歩きやすくなっていた。この辺りは右側から谷が合流していて、堆積した岩の上に木や蔓が茂ってブッシュ化している。踏み跡は谷の左端に付いているので、とにかく谷の左端に沿って降って行く。ブッシュ帯を抜けると踏み跡ははっきりしてくる。やがて、踏み跡は堰堤の左端に出るのだが、この堰堤の手前辺りが倒木で歩きにくい。ここは、一旦、右の河原に降り、堰堤の上を左端まで進んで踏み跡へ戻ると良い。堰堤から降ると左側には炭焼き窯の跡があり、そこから少し降って右の流れを覗くとナメ滝がある。ナメ滝は今日も優美な曲線を見せながら流れていた。

ナメ滝から踏み跡へ戻り、ひたすら降ると倒木に突き当たる。少し右へそれてから倒木を越えると二俣の上に出る。以前は、もっと左側の露岩の上から降って支谷を横切っていたのだが、今は、この二俣から対岸へ渡り、少し降ってから左上へ上がる赤テープが付いている。上へ上がるとすぐに林道へ出る。支谷を横切る方はブッシュ化が進んでいるので、二俣からの道を通ったほうが良いだろう。

林道から杉林の中を降って沢を渡ると一本松林道の終点に出る。これを左へ進み、草ヶ谷ダムの貯水池の縁を通って昭和の森のバンガローの駐車場へと帰る。

(写真:源頭部の紅葉と岩の上の巨木)


あとがき

 今日は紅葉を期待して尾根を登ったが、尾根よりも谷のほうが良かったようだ。尾根にも1、2箇所紅葉した木が数本集まっているところがあったが、降りに通った草ヶ谷の源頭付近が一番綺麗であった。また、久しぶりに草ヶ谷を歩いみて、やはり、この谷の大滝と巨木たちは見応えがあると思った。草ヶ谷は、最近、歩く人が増えたのか以前より歩きやすくなったような気がする。

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