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小河内農道終点から三郡山(2008年12月27日) → 写真集


 先日、小河内から三郡山地の縦走路へ登るコースを歩いたが、そのとき登山口へ向かう道路の分岐に標識があり「農道経由三郡山」の表示があった。標識の示す方には果樹園があり、その上を回り込むように農道が延びている。この農道は地図にも記載されているが、そこから先に登山道らしい破線は載っていない。ネットで検索しても情報は少なく、唯一見つけたHPの情報ではどうやら三郡山山頂直下に林立するアンテナ群の所から降っている道がここへ辿り着くようだ。コース図が載っていないのでルートがハッキリしないがとりあえず挑戦してみることにした。


登山コース

小河内農道終点(8:37) − (9:45)尾根コース分岐 − (渓流コース)−(10:47) 尾根コース合流(10:53) − (11:35)三郡山山頂(12:55) − (13:20)渓流コース分岐 − (尾根コース) − (14:08)渓流コース合流 − (15:00)小河内農道終点

MAP

小河内登山口まで
 太宰府方面から県道65号線で米ノ山峠を越え、途中で茜GCへの表示にしたがって左折して県道90号線に出る(出た所の正面には「河野産業」の看板がある)。ここを左折して道路が一瞬狭くなる橋の手前(右側にふれあいバスの「車屋橋」停留所がある)で左折する。道(この道路はまだ国土地理院の地図には載っていないようだ)なりに進み、大分八幡宮方面から来た道路に合流すると左へ進んで切畑の集落を抜け、ふれあいバスの「中畑」停留所の十字路を左折して小河内を目指す。中畑のバス停から西の方を望むと山の手前に霞がたなびいて綺麗だ。

小河内橋のところで左折(直進は行き止まり)して橋を渡り、巨大な堰堤を左に見ながら進むと道路は狭くなり、左に果樹園(梅らしい)が現れたところで右へ作業道が分岐している。この作業道は高圧線鉄塔へ向かう作業道であるが、鉄塔の下には三郡山と砥石山の中間辺りへ登る登山道の登山口がある。今日は分岐を曲がらずに直進して果樹園の上の農道終点から三郡山をを目指す。何処まで車が入れるか分からないので、果樹園の下の道路が沢を渡る手前の路肩に車を停めて農道を歩いて行くことにする。

果樹園のスピーカーからは今日もラジオの音が流れている。果樹園の入口にはコンクリート作りの家が1軒あるが、煙が出ているので人が住んでいるようだ。果樹園の上からは龍王山や福智山が見えている。果樹園を過ぎると道は草が生え細くなるが、すぐに広い場所に出る。ここが農道の終点のようだ。奥に堰堤が見えるので堰堤工事の作業用に作られた道かもしれない。草で底を擦りそうだが何とかここまでは車で入れそうだ。

(写真:中畑からの景色)


尾根・渓流コース分岐まで
農道終点 → 堰堤 → 滝 → 尾根・渓流コース分岐

 農道の終点からは細い道が堰堤に向かって延びている。正面にはスリット型の大きな堰堤が見えている。その手前にもコンクリート製の堰堤があり、道はその左側を越えている。スリットの間を抜けると谷は三つに分かれていて、それぞれの谷の入口にも堰堤が作られているが、一番左の堰堤はスギの木に隠れて見えにくい。ネットで検索した情報によれば左右2ヶ所に堰堤があり、左側の堰堤を右側から越えて谷へ入るようになっていた。写真も付いていたが左側の堰堤とは明らかに真中の堰堤を指していたようだ。しかし、現実には堰堤は三つある。。。

さてどうしたものか。。。
とりあえず一番左の堰堤を見に行ってみると、堰堤の右端を越える所の細い木に赤テープと青いビニール紐が付いているのが見えた。真中の谷にもルートがあるのかもしれないが、今日はここから入ってみることにした。

堰堤を越えると杉林の中を渓流沿いに道が付いている。思ったより明瞭な道なので少しホッとした。左の沢は所々流木が溜まり荒れているが、水は綺麗だ。登山道にも時折倒木が横たわっているが難儀するほどではない。堰堤から10分程行った所で左に滝が現れる。岩の隙間を段々に流れ落ちる滝で、すぐ上には岩尾根が迫っている。写真を撮っていると滝の下に何か小動物が現れた。狸にしては細長い。イタチだろうか。こちらに気付いていないようなので写真を撮ろうとしたが暗くてピンボケになってしまう。そうこうしているうちに岩陰に隠れてしまった。動くものを写すのは苦手だ。

滝の右側から上に出たところでルートが分からなくなった。沢は岩がゴロゴロしていて上の方には流木が溜まっている。ふと右側を見るとスギと岩の間にテープを巻いた木の枝がある。ここから右の斜面を高巻くのだろうか。。。
何処まで沢沿いに行くのか分かっていないので常に尾根の方にも気を配りながら歩かねばならない。とりあえず、右へ登って様子を見る。何とか斜面を横切って先へ進めそうであるが目印が無いのが気になる。右から荒れた小沢が降っているところを渡ると左下の沢に流木が溜まっているのが見える。やはり、こちら側を進むのが正解だったのか? と思ったが、帰りに間違いに気付いた。本来の道は滝の上で沢の右岸に渡り、反対側を通っていたのだ。

再び沢に降りて沢沿いに登って行く。時々、「三郡山」の標識が木にかかっている。沢を右岸へ渡り、しばらく行くと崩壊地を横切る。この谷にはあちこちに炭焼き窯の跡が残っている。人工的な石垣は全て炭焼き窯の跡のようだ。昔の人は炭の材料となる木を求めて谷深く分け入ったのだろう。谷のあちこちから白い煙が立ち昇る風景を思い浮かべてみる。今なら山火事と間違えられそうだ。

左から小谷が何本か降って来るが本流は右へ右へと進む。岩がゴロゴロしたところを過ぎ、岩の横を越えると炭焼き窯の跡があって石組みの上に標識が立っている。標識には、右の沢を渡って尾根に向かう方へ「尾根経由三郡山」、前方へ沢沿いに進む方へ「渓谷経由三郡山」の表示がある。ここで尾根コースと渓流コースに分かれているようだ。

(写真:岩の間を流れる滝)


渓流コースから三郡山へ
尾根・渓流コース分岐 → (渓流コース) → 尾根コース合流 → 三郡山アンテナ群 → 三郡山山頂

 尾根コースを行くか渓流コースを行くか迷うところである。どちらを行くにしても帰りはもう一方を通ることになるだろうが、この谷の状況を考えると渓流コースを降るのは避けたい。ここは、渓流コースを登り、尾根コースを降ることにする。

分岐から先、谷はゴロゴロとした岩が増え、あまり歩かれていないのか踏み跡も不明瞭になる。それでも谷の上は開けて明るくなり、前方には丸みを帯びた尾根の一部が見えている。途中で右の植林帯へ入るが、すぐに沢沿いの道になり、黄色いペンキの目印に従って沢を渡り右岸を辿る。荒れた谷をブルーのビニール紐を辿り最後は炭焼き窯の中を通って植林帯の斜面を登って行く。広く浅い谷が上の方へ続いているが、途中で右の尾根の方へブルーの紐が付いている。このまま谷を詰めて見ようかと行きかけたが、初めてのコースなのでやはり忠実に目印を追うことにして尾根へ向かう。

踏み跡のハッキリしない斜面を登って尾根へ上がると目印がさらに右の尾根へ向かってトラバースしている。これを辿ると隣の尾根を右から登ってきたコース(尾根コース)に合流する。合流地点には木の幹に黄色と赤のテープが巻いてあり、その上に白い紐が結んである。その白い紐に「(右)渓谷コース」の文字が見て取れる。また、良く見ると近くの木の幹に「尾根コース」や「渓流コース」と書かれている。

尾根コースとの合流点から南へ尾根道を辿る。道は明瞭で次第に左の方へ斜面をトラバース気味に登って行く。左へ降る谷はさっき渓流から尾根へ向かう前に登っていた谷だ。谷の広さや傾斜から見て谷を詰めても問題なさそうである。自然林の斜面には霜柱が残っていて、落ち葉の間からギンリョウソウの若い芽が覗いている。左隣の尾根へ上がると右へ方向を変えて尾根沿いに進む。この尾根にはブナの木が目立つ。足元にはツルシキミが赤い実をつけている。

笹の密生した所を抜けると前方に三郡山山頂直下のアンテナ群が見えてくる。三郡山の山頂一帯には航空監視レーダーのドームをはじめ、テレビ局のアンテナや反射板が乱立していて、特に小河内へ降るコースの入口付近に集中している。登山道はアンテナ設備の壁にぶつかると壁沿いに右へ進み、左から作業道を合わせて縦走路へ飛び出す。正面はアンテナ設備の金網で、右手に「三郡山案内図」が立っている。左側の足元には小さな標識がある。標識のある角を左へ曲がって突き当たりの土手を登って行くと三郡山山頂に着く。

時計を見ると農道終点を出発してから3時間になろうとしている。初めてのコースだったので慎重に歩いたのと、写真を撮りながら来たので結構時間がかかってしまったようだ。普通に歩けば2時間もあれば何とかなりそうだ。ただ、尾根が三郡山山頂へ向かって曲がっていて縦走路のある稜線が近付いてもなかなか辿り着かないので長く感じる。

(写真:渓流コースの景色)


尾根コースを下山
三郡山山頂 → 渓流コース分岐 → (尾根コース) → 渓流コース合流 → 滝 → 農道終点

 三郡山山頂には先客が2人いた。山頂標識の裏の温度計は3度を示しているが風が無いせいかそれほど寒く感じない。今日は天気も良く空気が澄んでいるので遠くまで見渡せる。北東に皿倉山から福智山、牛斬山、香春岳と続く山並みが見え、東には犬ヶ岳、英彦山、岳滅鬼山と連なり、その右手前に馬見山、屏山、古処山の三山が見えている。南東には未納連山が壁を作り、その左側遠くには九重連山も薄っすらと見える。

山頂の東側から登ってきた方を見ると高圧線の鉄塔が龍王山の方へ連なっているのが見える。新しい送電ルートを作っているようであちこちで送電鉄塔の工事を見かけるが、新しい鉄塔は昔のと違ってやたらに大きい。この新しい送電線は国土地理院の地図にはまだ載っていないようなので、古い送電線と間違わないように注意する必要がある。


写真を撮りながら景色を眺めているとポツポツと登山者が登ってくる。「独りで登っている人が多いな」と思っていたら、中学生だろうか野球のユニホームを着た連中がどっと登って来てしばらくすると降りていった。ランニング変わりに登ってきたのだろうか。そのうち、子連れの人や夫婦連れの姿も現れた。宝満山ほどではないが、最近三郡山も登山者が増えてきたようだ。三郡山はレーダードームやアンテナがあるし山頂まで車道が通っていて興ざめだと言う人もいるが、「まあ、そう言わずにこの展望を楽しんでください」と言ったところだ。人工物が嫌いならチョッと山頂を離れると木漏れ日の中を快適な縦走路が延びている。何度か登っているうちにレーダードームのある山頂の景色に愛着さえ感じて来るに違いない。

のんびりと昼飯を食べてから山頂を後にする。
登って来た方とは反対側へ降り、山頂の西側をぐるっと周って登って来た方へ戻る。案内板の手前を右へ曲がり小河内コースへ入る。二又を左へ進みアンテナ設備の壁のところから左へ降って行く。笹の道を抜けて尾根から左へ降り渓流コースの分岐まで進む。

渓流コースの分岐を直進して3分ほど尾根を辿ると正面に赤ペンキでバッテンを書いた木が見えてくる。右側には「下山道(小河内へ)」と書いた標識が木にかかっている。登山道はここから右へ少し降ってから尾根の右斜面を通って再び尾根上に出る。特に険しい尾根でもなさそうなので、なぜ尾根を直進しないのか不思議に思いながら先へ進む。左下には広く浅い谷が見えていて、時折水音も聞こえる。地図を見るとこの谷は農道終点の真ん中の堰堤へ降っているようだ。コブへ登る手前で右へ斜めに降り、右側を巻いて尾根に合流する。途中、朽ちかけた倒木が2本横たわっているが、何とか下を潜って先へ進む。しばらく行くと再び、コブの手前で右へ斜面をトラバースして植林帯の尾根へ出る。このコブの先で尾根が分岐しているようで、直進する尾根上にも踏み跡が付いている。

植林帯の尾根にはイノシシだろうか、餌をあさった跡があちこちについている。4、5分進むと今度は明らかに右へ降って行く。降り口には木の幹に赤いペンキで目印がしてある。また、前方の木の幹には赤いバッテンが見える。ここから沢へ降って渓流コースに合流するようだ。登山道はすぐに南へ折り返して斜面を降って行く。ロープを張った箇所を過ぎると赤テープのところで左へ降るが、ここは前方へも踏み跡らしきものがあり分かりづらいので注意だ。沢へ降る道も荒れてハッキリしないが、とにかく沢へ降りて対岸の標識のある炭焼き窯を探せばよい。

渓流コースと尾根コースの分岐点からは今朝登ってきた道を降って行く。沢の水は冷たそうで暑い時期ならば顔でも洗いたいところだが、夏場は草が茂って歩きにくいかもしれない。例の滝の上の流木が溜まっているところでルートを確認すると、今朝辿った左岸の斜面ではなく右岸の方へ目印が付いている。右岸の岩と流木の間を抜けて滝の上を左岸へ渡るのだ。滝の上には岩尾根が迫っており、岩の割れ目に根を張った木が幹を延ばして取り囲んでいる。

最後に堰堤を左から越えて、スリット型の堰堤を潜り農道終点に辿り着く。農道を降り、車のところで帰り支度をしていると果樹園の方から男性が独り降りてきたのでチョッと言葉を交わす。この果樹園の人で果樹園の中にあるコンクリート製の家に住んでいるそうだ。上の方は梨で下の方(鉄塔への作業道が分岐している所)は梅を作っていると言っていた。以前からどんな人が住んでいるのだろうかとチョッと恐々だったが、結構人懐っこそうな顔をしていて気軽に話をしてくれた。

太陽が三郡山の山の端に隠れる頃、気になっていたコースを確認できたことに満足しながら帰途についた。

(写真:表:三郡山山頂、裏:仏頂山、宝満山へと続く稜線)


あとがき

 今回歩いたコースの良いところは直接三郡山山頂へ登っているところであろう。コースの大半はヒノキやスギの植林帯であるが沢沿いのコースなのでそれほど気にならない。途中で渓流コースと尾根コースに分かれているが、渓流コースは荒れ気味なので天気が悪いときや降りには使わない方が良いだろう。地形図を見ても分かるとおり、三郡山山頂から降る尾根は途中で多くの枝尾根を派生させ、その数だけ谷もある。中には地図上でハッキリしない小さな尾根や谷もあるのだ。コース上には赤テープや青のビニール紐が付けられているが、しっかりとしたルートファインディングが必要である。特に渓流コースから谷を離れて尾根コースへ向かう辺りは分かりづらいので注意が必要だ。

 今回歩いた農道終点からのコースと鉄塔から登るコース、または内住峡コースを組み合わせて三郡山と砥石山を縦走するのも良いかもしれない。



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