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谷を辿れば。。。ナメ滝経由頭巾山(2010年2月24日) → 写真集


 昨日あたりから鼻がグズグズしだしている。今年も、また、花粉症の季節がやってきたようだ。ドラッグストアで花粉をガードする薬を探すが、目的のものは売切れてしまっていた。先日、テレビで紹介していた鼻の周りに塗るとイオンが発生して花粉をガードしてくれるというものだが、やはり、テレビで紹介されるとすぐに売切れてしまうようだ。仕方ないので、ノーガードで出かけることにする。

今日は久しぶりに昭和の森の草ヶ谷ダムの上流にあるナメ滝を見に行こうと思う。そのまま谷を遡って頭巾山まで行って見るのもよいだろう。この谷は何度か入ったことがあるが、途中から尾根を横切って河原谷の宝満山登山口まで行ったり、谷を遡って左の支谷から頭巾山コースの途中へ出たりで、まだ、最後まで抜けたことはない。できれば今日は最後まで登りきってみたいものだ。この谷の下部にはきれいなナメ滝がある。硬い岩の上にできたウォータースライダーのような斜面を水が流れ落ち、滝壺はきれいなポットホールになっている。2008年の4月に初めてこの谷へ入ったときに偶然見つけたのだが、小さいながらも美しい曲線を描いて流れ落ちる滝の姿に感動して何枚も写真を撮ったものだ。その後、沢登りのHPでこの谷の記録を見つけ、上部にかなり大きな滝があることを知って、いつか見てみたいと思っていた。


登山コース

昭和の森ゲート(10:45) − (11:40)ナメ滝(12:00) − (12:25)尾根分岐(昼飯休憩)(13:00) − (13:20)斜滝 − (14:20)大滝(14:38) − (14:52)二俣 − (15:30)縦走路 − (15:35)頭巾山 −<頭巾山コース>− (16:30)頭巾山登山口 − (16:55)昭和の森ゲート

MAP

ナメ滝を経て尾根分岐まで
昭和の森ゲート駐車場 → 河原谷林道三叉路 → 支谷横断 → 大釜 → えん堤 → ナメ滝 → えん堤 → 尾根分岐(昼食休憩)

 草ヶ谷ダムの湖畔の林道が工事で通行止めになっているので一本松公園入り口のゲートの手前の駐車場に車を停めて河原谷方面へ向かう。谷の対岸では随分前から斜面を削ってなにやら工事をしている。杉林を抜けて宇美新道(猫目新道)の登山口を右に見送ると、えん堤の手前の三叉路を左へ入る。左の杉林へ下る道(草ヶ谷ダム方面への道)を見送って植林帯の中を伸びる林道を進む。藪に突き当たる手前で左へえん堤工事用の作業道ができている。杉の倒木を左側から越えて藪の中の踏み跡を辿ると荒れた沢に突き当たる。ナメ滝へ行くにはこの沢を渡って、対岸の岩の上に上がらなければならない。踏み跡は右側へ回り込んで沢底へ降っているが藪が茂って分かりづらい。対岸の岩の上には杉の倒木が横たわっているが、この倒木を越えると割としっかりした踏み跡が続いている。

踏み跡を辿って少し行ったあたりで左側の沢を覗くときれいな水を湛えた場所がある(地図上では「大釜」と記載)。さらに先へ進んで行くと左側に古いえん堤が現れる。目指すナメ滝はこのえん堤の上の方にある。ナメ滝の上にもえん堤があるので二つのえん堤に挟まれた場所にあることになる。えん堤を越えて少し沢から離れたあたりで沢の方へ行ってみると上流にナメ滝が現れる。左岸の岩の縁を通って滝壺の手前まで行ってみると、岩に開いた風呂釜のような滝壺が見える。滝の流れと、その水流に翻弄され続けた石が作った見事なポットホールだ。以前来たときは滝の横にへばりついていた倒木も、滝壺の上を横切っていた枯れ木もなくなっていて、残骸が滝壺に浸かっていたので取り除いてから写真を撮る。滝を流れ落ちる水や、その水に磨かれた岩肌、そして岩に生えた苔に木漏れ日が当たってきれいだ。しかし、残念ながら、私の腕ではこの美しさを写真に写し撮ることができない。

ナメ滝で20分程写真を撮ってから踏み跡へ戻り、谷の上部へと進んでいく。右側に炭焼窯の跡を見ると、すぐに、もうひとつのえん堤が現れる。これを右側から越えてさらに進む。崩壊箇所があったり、岩が多くなったり、木の枝がうるさかったりで、次第に踏み跡も不明瞭になってくる。岩がゴロゴロしてその上が藪状態になっているところでは上が開けて対岸の尾根の上に青空が見えている。谷が合流している所のようだが藪になっていて状況がよく分からない。右側から藪を抜け大きな岩の塊を見ると、岩がゴロゴロしたあたりで赤テープが2本ずつ上下2箇所に巻いてある木が見えてくる。左側には岩で埋め尽くされた沢がある。ここで昼飯休憩にする。この谷へ来たときはなぜかここで休憩することが多い。ここも谷の合流地点で、岩や木で埋め尽くされているが結構広いところである。ここから南へ尾根の斜面を横切って河原谷の宝満山登山口まで続く踏み跡が付いているのだが余程の物好きでなければ歩かないだろう。。。

(写真:ナメ滝と少し手前にある大釜)


大滝を経て頭巾山へ
尾根分岐 → 斜滝 → 大滝 → 二俣 → (尾根を登る) → 縦走路 → 頭巾山

 昼飯休憩を終えて谷の左岸の林の中を進む。右側には次第に大きな岩や岸壁が多く見られるようになる。15分程進んだところで、ゴツゴツとした岩の上を樋状に流れる滝が現れた。滝の下には広い水たまりができている。さらに、この滝の上の方には水が流れるところが赤く色づいた岩が並んでいる。滝を右から巻いて行くと林の中に炭焼き窯の跡がある。右から迫って来る巨岩の下を恐る恐る通って行くと赤テープが現れた。おそらくこの谷沿いには昔から道が付いていたのだろう。そういえばこの谷の遡行記録のHPに「だごしゃん道」と書いた標識があったと書いてあった。。。

岸壁に岩の柱が寄りかかっている所を通ったり、岩を抱え込むように根を張っている巨木に出会ったり、小さな滝をいくつか見ながら登って行くと二俣を過ぎたところで遂に大滝が出現した。何メートルあるのだろうか、水量は少なく、滝というよりは絶壁の岩の割れ目を水が流れ落ちているといった感じであるが、この岸壁の上へと谷が続いているので滝であることは間違いない。大雨の後だと結構迫力ありそうであるが、そんな時にこの谷へ入るような無茶はできない。どうやって滝の上へ上がろうか考えていると、右側の岩の手前に赤テープが見えた。その岩の下を通って右側の斜面を高巻いて何とか滝の上へ上がる。こわごわと下を覗いてみるが、足を滑らせでもしたら命はなさそうだ。

大滝に出会った感動の余韻に浸りながら、さらに、上流へと登って行く。途中にも滝が現れるが、さっきの大滝のせいかあまり感動しなくなっている。そうこうしている間に二俣に突き当たり、どちらへ進むべきか悩んでしまう。右の谷はなだらかそうだが頭巾山から遠ざかりそうだし、左の谷は傾斜が急でちょっと荒れた感じがする。どちらを進んでもあと少しで縦走路に出るはずであるが、時刻は15:00をまわっている。早く縦走路へ出たかったので、悩んだ末、二つの谷の間の尾根を登ることにした。
冬枯れの尾根はかなり急で、ところどころにイバラがあったが何とか登ることができそうだ。途中には、葉を落として枝をいっぱいに広げたぶなの巨木が見られ、その向こうには頭巾山の稜線が見えている。急な尾根を30分ほど頑張ると、何とか縦走路に飛び出した。

出たところは頭巾山南側の縦走路で、やせ尾根の東側が少し崩れているところだ。西側には気持ちよさそうなぶな林の谷が降っている。二俣から左側の谷を登って来ればよかったと後悔するが、後の祭りだ。木漏れ日が美しい影を落とす道を頭巾山方面へ少し進むと土止めの階段があり、それを上がるとすぐに頭巾山山頂への分岐が見えてくる。分岐を左へ入ると2、3分で頭巾山山頂(901m)に着く。

(写真:大滝と木漏れ日の縦走路)


頭巾山コースを下山
頭巾山山頂 → (頭巾山コース) → 昭和の森

 頭巾山山頂は縦走路から少しそれている。以前は宝満山や三郡山に比べ登山者の姿もあまり見かけなかったが、最近は昭和の森からこの山頂を通って縦走路へ出る登山道(頭巾山コース)を利用する人も増えてきたようで、山頂西側の林の中にあるちょっとしたスペースで休憩している登山者を見かけることがある。山頂は小さな露岩を木立が囲んでいて、古い木製の山頂標識がある。最近は新しく金属製の標識が設置されている。設置した方には申し訳ないがこの山にはちょっとそぐわない感じがする。山頂から西側へ尾根が延びていてこの尾根沿いに昭和の森へ降る登山道が延びている。山頂付近は冬枯れの林に囲まれていい雰囲気だ。木の間越しに仏頂山や宝満山、反対側には砥石山が見えている。また、木の枝の隙間に三郡山山頂のレーダードームも見え隠れする。

頭巾山山頂から昭和の森へ降る登山道は山頂から冬枯れの細い尾根道をしばらく進むと急坂を降り始める。途中に2箇所露岩の塊を見て、さらに降ると小鞍部に着く。ここからは両側へ谷が降っていて正面には5、6mほどのこぶがある。ちょっと不思議な感じの地形である。登山道は直接こぶを乗り越えていく道と左から巻いていく道に分かれていて、こぶを越えたところで再び合流する。こぶを越えると尾根は北西と南西に分岐している。登山道は南西の尾根を降っていて、足場の悪い急な所にはロープが張ってある。急坂を降り終えた辺りには露岩が多く、左の谷は植林帯になっている。露岩の下に一本だけぶなの巨木があるが、稜線のものとは違って幹がまっすぐに伸びてかっこいい!少し降った所の右側にもぶなの巨木が2本あるが1本は枯れているようだ。長い尾根道を降って山頂から1時間弱で頭巾山登山口に着く。登山口から左へ林道を少し降ると欅谷側のバンガローがある。バンガローからさらに降って一本松公園に差し掛かると遊歩道脇には紅白の梅の花が咲いている。入り口のゲート付近には椿の花が落ちていてこちらもきれいだ。

(写真:頭巾山山頂と一本松公園の紅梅)


あとがき

 今回辿った谷は明瞭な踏跡がある所もあり、赤テープも点在する。谷の所々に炭焼き窯の跡が残っているので、昔はこの谷沿いに道がついていたのであろう。ネットで見かけた「だごしゃん道」というのがその道だったのかも知れない。しかし、今では正確なルートはわかないので、ただひたすら谷の左岸を辿ってみた。前回歩いたときは途中から谷の右岸を歩いて頭巾山コースへ向かう小谷へ入ってしまったので今回は左岸を歩いてみたが、こちらの方が歩きやすかった気がする。それでも二俣に出くわすとどちらを辿ったほうがよいか迷ってしまう。やり過ごした谷の先に素敵な景色が待っていたのではないかと思ってしまうのだが、この気持ちを満足させるにはすべての谷を歩くしかなくなってしまう。

この谷は、所々に大小さまざまな形の滝が現れ、飽きることなく辿ることができた。特に最初に現れるナメ滝と途中で見た岩の上を滑り落ちる斜滝、そして最後に現れる大滝の絶壁は圧巻であった。また、赤く染まった岩や、岩を抱え込むように根を張った巨木も印象に残っている。最後まで谷を辿れなかったのがちょっと残念であるが、いつかまた訪れたい谷である。

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