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谷を辿れば。。。 草ヶ谷滝巡り2(2011年2月23日) → 写真集


 今日は久々に草ヶ谷の滝巡りをすることにした。この谷へ入るのは約1年ぶりになる。先日、昭和の森を訪れた時に出会った人の話では谷の上部には雪が残っているとのことだったが、早めに出かけてゆっくり登れば何とかなるだろう。久しぶりに見るナメ滝や大滝はどんなだろうか。。。


登山コース

昭和の森(8:55)− (9:55)ナメ滝(10:05) − (12:40)大滝(14:05) − (16:00)頭巾山(16:10) − (17:15)頭巾山登山口 − (17:20)昭和の森

MAP

滝を巡って大滝まで
昭和の森・バンガロー駐車場 → 草ヶ谷ダム → 林道 → 堰堤工事用作業道 → (堰堤から沢沿い) → 大釜 → ナメ滝 → 尾根分岐 → 赤い岩1 → 斜滝 → 赤い岩2 → 樋の滝 → 岸壁通り → 巨木巡り → 大滝入口の二股 → 大滝(昼飯)

 平日だからか、先日とは打って変わって昭和の森の駐車場はガラガラだ。今日は最初からロングスパッツを付けて草ヶ谷ダム方面へ出発する。石楠花園のシャクナゲは花芽を沢山つけている。今年もいろんな種類のシャクナゲが咲き乱れるのだろう。草ヶ谷ダムのゲートの横から池の縁を通る林道へ入る。林道の入口辺りは左側の法面が崩壊していて法面の下に黒い土嚢のようなものが沢山並べてある。この林道は永い間災害復旧工事の為に通行止めになっていたが、今は工事も終わって通れるようになっている。林道の終点から今日入る谷の沢を渡って植林帯を通り、河原谷方面から登ってきているもうひとつの林道に出る。この林道を右へ行くとすぐに河原谷の林道に合流する。今日は草ヶ谷へ向かうので左へ向かう。

この林道は150mほど行ったところでヤブに突き当たって終了となる。いつもは林道の終点から藪の中についている踏み跡を辿るのだが、今日は林道終点の少し手前から左へ分岐している作業道を通って真新しい堰堤の所から谷を遡って行くことにする。堰堤の上から岩と倒木が散乱した谷を上流へ向かうと、しばらく行ったところで二俣にぶつかる。右側の谷は林道の終点からヤブの中の踏み跡を辿って行くときに横切って行く谷で、本流は左側の谷である。

谷の左岸には明瞭な踏み跡が付いているはずだが、今日は大釜までは谷沿いに行ってみよう。倒木が数本横たわっているが何とか通り抜けて、しばらく行くと大釜に到着する。大釜というのは勝手につけた名前だが、岩の段差を流れ落ちた水が広い水溜りを作っているところである。この谷で出会う最初の綺麗な景色である。

大釜からナメ滝の間には堰堤があるので、ここからは谷の左岸沿いに通っている踏み跡を辿ることにする。踏み跡へ上がると丁度大釜の入口辺りに黄色いテープで目印がしてあった。踏み跡はやや傾斜が急になり、沢を高巻いて登って行く。しばらく行くと左側に石を積んで作った堰堤が見えてくる。ナメ滝はこの堰堤ともうひとつ上にある堰堤の間にある。ここからはまた沢の中を歩いて行くことにする。堰堤の上は石で埋まっているので容易に沢に入ることが出来る。堰堤から少し行くと前方にナメ滝の上の方が見えてくる。

このナメ滝はおそらくこの谷で一番きれいな滝であろうと思う。岩を削って出来た狭い窪みをウォータースライダーのように斜めに一直線に流れ落ちた水流は、岩に真ん丸いポットホールの滝壺をつくり、そこからS字カーブを描くようにあふれ出て小さな段差を流れ落ちている。水の流れが作る曲線、丸くて深い滝壺、苔むした岩肌がとてもいい雰囲気を作り出している。今日は曇っているが、晴れた日にはこれに光が加わり、冬には雪の白が加わって益々すてきな景色を見せてくれる。

今日は頭巾山まで行くつもりなので、ここで時間を費やすわけには行かない。ナメ滝から踏み跡へ上がるとそこにも黄色いテープがつけてある。踏み跡の右側には炭焼き窯跡の石組みがあり、左側には堰堤が見えている。堰堤の右端を越えると倒木でちょっと荒れているが、すぐに杉林の斜面に付けられた明瞭な踏み跡が現れる。この谷には、かつて「だごしゃん道」という道が通っていたそうで、時々現れる踏み跡がその名残りかもしれない。しかし、歩きやすい踏み跡もそう長くは続かない。谷の右岸に合流するもうひとつの谷との出合付近は、堆積した岩の上がブッシュ化している。踏み跡はその中へ突っ込んで行くのだが、積み重なった岩やその間に生えた樹木、そしてそれに絡みつく蔓類で大変な状態になっている。沢の流れはブッシュの北側を通っていて、沢の中を進むのも結構大変で時間がかかる。ブッシュの中から上を見ると頭上は開けていて明るいのだが。。。

左岸の通れそうな空間を探して左へ右へと進み、何とかブッシュ地帯を脱出すると右上に大きな岩が聳えている。この岩は南から降ってきている尾根の突端で、この岩の向こう側に別の谷が降ってきて合流している。岩がゴロゴロしてルートが分かりづらいが、左よりに進んで行くと沢に出ることが出来る。ここには木の幹に赤テープを2本巻いた目印があり、以前はパッと目に飛び込んできたのだが、今日は木の枝が邪魔をして見つけにくかった。ここから右の尾根へ上がると、尾根の斜面を横切って河原谷の宝満山登山口まで続く踏み跡が付いているのだが、最近歩いていないので今も通れるかは分からない。

出発時間が遅い時はここで昼飯休憩になることが多いが、今日は少し時間が早いので先へ進むことにする。ここからは谷の右岸に踏み跡らしき形跡が残っているのだが、途中で木が茂って歩きづらくなる。一方、左岸の方は岩と倒木の斜面で、こちらを歩くのも結構難儀で知らず知らずに高巻いてしまう。あまり沢から離れるとせっかくの景色を見のがしてしまうので、基本的には沢の中を歩き、どうしても歩けないところだけ高巻いて行くことにする。沢の中は岩がゴロゴロしていて、その間を縫うように水が流れている。この谷の次のチェックポイントは赤い岩である。20分程進むと、その赤い岩が現れる。表面が平べったい赤茶けた岩の上を水が流れ、その上の方で1mほどの段差で水が流れ落ちている。昨年ここを歩いた時は岩の上に赤い椿の花が一輪落ちていたのを思い出した。今日は折れた木の枝が少し邪魔をしている。

次のポイントは斜滝だ。ゴツゴツとした傾斜のある岩を削って流れ落ちている滝で。下の方で流れが左右に分かれて滝壺に落ちている。斜滝を右側から越えると、もう一箇所赤い岩がある。こちらは、少し表面がゴツゴツしていて、上の方で2mほどの高さから水が勢いよくほとばしっている。赤い岩の上は緩やかな傾斜のある露岩の上に細い流れが見えている。右の林の中には炭焼き窯の跡がある。おそらく「だごしゃん道」というのは炭焼きをする人たちが使用した道ではないだろうかと思う。

右側に岩壁が連なっている辺りは沢の中も岩がゴロゴロしていて岸壁の真下を歩いていく。この辺りは右岸の林の中にも岩が連なっていて炭焼窯の跡なども見られる。途中で岸壁に斜めに寄りかかった柱状の岩の下を潜ると、今度はポツンと立ちすくむ岩の横を通り過ぎる。

岸壁が途切れると、しばらくで樋の滝が現れる。この滝は先ほどの斜滝と同じように傾斜のある岩を樋状に削って一直線に水が流れ、末端でほぼ垂直に落ちている。樋状の部分も結構長いようだ。

樋の滝を過ぎるとあたりは巨木が多くなってくる。なかでも右岸の岩の上にある巨木(ぶな?)は、太い根をたこの足のように這わせて岩をがっちりつかみ、太い幹を支えて枝をいっぱいに広げている。この木の少し上流にもやはり岩の上に聳える同じ種類の巨木がある。また、左岸の方には、水量があれば大きな滝になりそうなほど急峻な出口の谷が見えている。この辺りは右岸を進むと崩壊地に突き当たるので岩の上の巨木を見たら左岸へ渡ったほうが良いだろう。

しばらく行くと、今度は左岸の前方に大きな岩が幾つか現れ、その上に巨木が数本立っているのが見えてくる。それらの中には太い蔓が巻きついて蔓の葉でモコモコとしているものもある。この辺りは南から谷が合流していてその出口を大きな岩がふさいだようになっているのだが、合流している谷はひとつではないようだ。地図を見ると、ふたつの谷がこの辺りで合流しているように見える。どちらもP856の西尾根から降っている谷で、ひとつは岩尾根の所から滑り落ちるように降っている谷のようだ。左岸を歩いていると分かりにくいが、この辺りでは右岸の方にも広い谷が降ってきている。広くて明るい谷なので右岸を歩いていると迷い込みそうになるが、谷の入口付近は流木とイバラで荒れているので目安になる。本流はひたすら東へ向かっているが、荒れた杉林などもあってこの辺りから若干分かりづらくなってくる。とりあえず水の流れを追いかけていけばよいだろう。

雪害で大きく折れ曲がった杉林を右手に見るとやがて前方に段差のある幅広い岩が現れる。ここが大滝への入口の分岐点で、この岩の上で谷は二俣になっている。左側の谷には折れた木の枝の上に滝が見えている。この滝は大滝の下段の滝で、その上になだらかな中段と大岸壁の上段の滝が連なっている。下段の滝は冬場は雪で折れ曲がった木の枝で隠れることがあり、左側に谷が分岐していることさえ分からない時がある。実際、まだこの谷に慣れていないころ、雪が降ったときにこの谷へ入って、ここで間違えて右側の谷を辿ったことがある。右側の谷はP856辺りから降ってきている谷で、谷の入口の右手には、炭焼き窯跡の石組みが見えている。

大滝の下段の滝は倒木で見えづらいが近づくと結構高さがあり、その上の方には中段から上段へ続く岩肌が覗いている。最初は左から高巻こうとしたがどうも様子が悪いので、一旦下へ降りて右側から登りなおす。中段の滝はデコボコの岩の上を斜めに流れ落ちていてその奥に上段の滝の絶壁が聳えている。今度は左から越えて上段の滝の下に出る。上段の滝は見上げるような絶壁のゴツゴツとした岩肌を弾けながら水が流れ落ちている。滝の下に少し平坦な場所があるのでそこで滝を見上げながら写真を撮る。しかし、ぬれた岩や落ち葉で隠れた岩は少しの傾斜でも滑りやすいので気が抜けない。しばらく写真を撮ってから滝の上へ向かう。滝の上へは右側の大きな岩の左横を登って行くのだが、途中から眺める景色もまた迫力がある。滝の上には平坦な場所があるので安全な所を探して食事にする。しかし、端の方は断崖になっているので物が落ちないように注意しなければならない。もっとも、一番注意しなければいけないのは自分自身だが。。。

(写真:流麗なナメ滝とダイナミックな大滝)


大滝から頭巾山へ
大滝 → 滝 → 倒木の二俣 → (左俣へ:左側の窪みの水が流れ落ちる平らな岩が目印) → 平坦な二俣2 → (ふたつの谷の間を行く) → 尾根突き当たり → (左股へ:荒れた谷) → 倒木の谷を左から高巻く → 最後は尾根を登って頭巾山へ → 頭巾山山頂

 大滝の上を出発すると右の林の中には岩が目立ちはじめる。倒木の向こうに斜めに流れ落ちる滝が現れる。近づくと割と大きな滝であるが、大滝を見てきた後では感動も薄い。滝の上部は広い岩の斜面になっていて流れが幾筋かに分かれている。もしかするとこの滝の上でも谷が分かれているのかもしれない。滝を右から巻いて大きな岩の横を抜けると、目の前に杉の倒木が何本も横たわった谷の入口が現れる。倒木の先の方は左側の露岩に倒れ掛かっていて、露岩の上の方には杉の木などが立ち並んでいる。一瞬悩むところだが、ここは右の倒木が横たわった谷を見送って、左の露岩へ上がるのが正解だ。ただし、この辺りは滝の上から左の方へ登って行くと様子が違うので注意が必要だ。

露岩の上へ上がると左手には杉の倒木がかなり乱れているのが見える。露岩の上は立ち並んだ木々の間を岩や石が埋め尽くしている。少し進むと左側が窪んできてその窪みを杉の倒木の葉が隠している。その下を掻い潜ると平べったい岩が窪みに蓋をするようにかぶさっていて、その上から水が流れ落ちている。この谷を辿る時の目印のひとつにしていた岩であるが、今では杉の葉に隠れて見えなくなってしまっている。この岩の上からはしばらく段差が急になる。基本的には谷の出合い付近は平坦で広く、ふたつの谷の間の尾根が顕著になってくると傾斜が急になって段差が出てきたりする。

再び傾斜が緩やかになると次の二俣が近づいてくる。最初は左右両側が僅かにへこんでいるだけで、その間に木が生えている。中央の木が生えているところを外さないように進んで行くと左側の窪みが次第に深くなって、最後は尾根がせりあがって行くところにぶつかる。右側を良く見るとそちらの方も浅い谷がふたつに分かれているように見える(後日、真中の谷を辿ってみたらP856と頭巾山の中間辺りの岩の前でぶなの木がくねっている辺りの縦走路に出た)。ここからは左の谷を進むのだが、しばらくは狭く急で、右側には大きな岩がせまっている。前に通った時は谷底を登って行ったが、今日は倒木の枝が邪魔をしているので右から高巻いて行くことにする。大きな岩の上から谷の様子を見ると上流には倒木が多そうだ。根こそぎ倒れている大木も何本かある。谷底を歩くのは難しそうなので、谷を横切って右岸の斜面を高巻いて行くことにする。

斜面をトラバースしながら谷底を覗くと折れた枝が散乱している。途中で左に浅い谷が分岐している。この谷の右岸には大きな岩が連なっていて険しそうだ。左の支谷と右の本谷の間の尾根には苔むした倒木に大きなサルノコシカケが数個付いていた。このまま尾根を登ろうかとも思ったが、やはり、厳冬の冬枯れの景色を見たいので再び谷へ降る。源頭が近づくと辺りの木々はすべて葉を落として冬枯れの景色が広がる。谷の源頭付近は扇形の広がりを見せ、浅い谷が何本か降ってきている。右側から降ってきている谷はどれも三郡山から宝満山へ向かう縦走路へ突き当たる。頭巾山山頂へは左の尾根に沿って進み、左前方に見えてくる崩壊跡を登ればよいのだが、雪で崩壊地の地肌が緩んでいるかもしれないので左の尾根へ上がって山頂を目指すことにする。谷の途中から雪が残っているところを伝って尾根へ上がり、 尾根通しに山頂へ向かう。途中、傾斜が緩やかになった辺りで松の木がぽっきりと折れているのを見かけた。今冬の雪の被害は結構大きいのかもしれない。松の木を過ぎるとすぐに山頂へ到着だ。

頭巾山山頂には結構雪が残っていて、山頂から両方へ延びる登山道も雪に埋もれている。久しぶりに見る岩の上の古い山頂表示が妙に懐かしい。

帰りは雪の残った頭巾山コースをひたすら降る。

(写真:倒木にサルノコシカケ)


あとがき

 今日は久しぶりに草ヶ谷へ入り、滝巡りを楽しんだ。今冬は雪が多かったせいか、折れた木の枝などで少し景色が荒れていたが、ナメ滝や大滝は以前と変わらない感動を与えてくれた。しかし、大滝から先は記憶が定かでなかったのとスタミナ切れでずいぶん時間が掛かってしまった。

 この後も、谷の上部の様子を知りたくて、何回か頭巾山山頂から草ヶ谷へ降り、谷の右岸の斜面をトラバースして頭巾山コースへ出たり、大滝の上の倒木の谷を詰めたり、そのさらに上の三俣(?)の谷を詰めたりしてみたが、この辺りは何処も巨岩が散らばっていて、縦走路近くにはブナ林が広がっているようだ。

 次は、欅谷を少し歩いてみようと考えている。。。

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