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谷を辿れば。。。 草ヶ谷滝巡り(2010年3月17日) → 写真集


 今年の2月に草ヶ谷ダム上流の谷を三郡山縦走路まで辿った。このときは最後の最後で尾根を登ってしまい、目標にしていた頭巾山山頂へ直接出ることが出来なかった。しかし、谷の途中には幾つかの滝や巨木が見られ、十分に満足していたのだが、やはり、谷を最後まで登ってみたいという気持ちが強く、3月の雪が降った翌日にもう一度谷へ足を踏み入れた。しかし、最後の二俣で間違えて右の谷へ進み、雪の急な谷を登りつめて難所ヶ滝コースに合流することになった。間違えた二俣の左の谷には絶壁の大滝があり、それを見れなかったのが残念でならない。記憶が新しい内に、もう一度谷を遡り、今度こそは頭巾山の山頂へ出てやろうと意気込んで昭和の森へ出かけた。


登山コース

猫石バンガロー駐車場(10:40) − (10:57)三叉路 − (11:00)林道終点 − (11:12)大釜 − (11:22)ナメ滝 − (12:00)尾根分岐(12:35) − (12:55)斜滝 − (13:35)巨木1(13:45) − (14:15)二俣1 − (14:25)二俣2 − (14:50)大滝上(15:00) − (15:35)最後の二俣 − (14:25)頭巾山(14:30) − (頭巾山コースを下山) − (17:35)猫石バンガロー駐車場

MAP

尾根分岐まで
猫石バンガロー駐車場 → 河原谷の林道 → 三叉路 → 林道終点 → 支谷横断 → 大釜 → 堰堤 → ナメ滝 → 堰堤 → ブッシュ帯 → 尾根分岐

 草ヶ谷ダムの湖畔を通る道路は工事中で今も通行止めの看板が立っているので、最近は、河原谷方面へ向かうときは一本松池下の駐車場に車を止めて歩き始めるが、今日は猫石バンガローの駐車場から歩き始めることにする。駐車場には先客の車が2台停まっている。河原谷へ向かう林道は人工林の中を通り、路面に木漏れ日が美しい模様を描いている。宇美新道(猫目新道)の登山口を過ぎて三叉路を左手前へ登って行く。左から草ヶ谷ダムの湖畔を通ってきた道が合流して、林道はさらに人工林の中を進んで行くが、左へ堰堤工事の道が分岐すると、そのすぐ先で倒木に突き当たって終点となる。倒木を左から巻いて藪の中の踏み跡へと入って行く。途中何箇所か倒木をこなすと左右へ横切る小谷に突き当たる。谷の対岸の少し右手に岩があり、その上に杉の倒木が横たわっている。踏み跡はその倒木を超えて林の中へ延びているので、まずはその岩の上へ上がらなければならない。右へ回り込んで、一旦谷底へ降りると杉の枝の下を潜って岩の上へ上がる。左の方から倒木を越えると踏み跡に合流する。少し行ったところで左の沢を覗くと大きな水溜りが出来ているところがある。仮に「大釜」としておこう。水の広がり具合と光の加減で綺麗な景色を見せてくれる。

谷の左岸についた踏み跡を登り気味に辿ると左側に堰堤が見える。この堰堤を過ぎて少し行ったところで左の沢を覗くと綺麗なナメ滝がある。以前は無かったので最近巻かれたものだろう、入り口付近の木に黄色いテープが2本巻いてある。このナメ滝は岩に開いた丸いポットホールの滝壺を持っている。滝の流れや、岩に張り付いた苔を木漏れ日が照らして、いい雰囲気を醸し出してくれる。私が思うに、この谷で一番きれいな滝であろう。

ナメ滝を過ぎて右側に炭焼き窯の跡を見ると、また堰堤が現れる。堰堤の右端を越えると右の斜面が崩れている。堰堤の上は土砂で埋まって木が生えている。以前、5月頃に来たときはエゴノキの花だろうか、白い花が水面に散らばって綺麗だったのだが、そのときよりちょっと荒れた感じがする。堰堤を過ぎて杉の木の道を登って行くと次第に道は荒れてきて岩と藪の中へ入って行く。左側から谷が合流しているようだが、谷の出合いは岩で埋め尽くされ、その上にイバラや木が生え、さらにさまざまな蔓植物で覆われている。見通しは利かないが上は開けているので明るい。木の下を潜ったり、岩の段差を越えたりして、何とか薮を抜けると右側に大きな岩の塊が見えてくる。この岩は尾根に繋がっていて、この上から河原谷へ続く踏み跡が延びている。岩を過ぎると右から谷が合流しているが、出合は木が茂っていてよく見通せない。左側をこの谷の本流が流れていて、多分、尾根への分岐を示す目印であろう、木の幹に赤テープが2本巻いてあるのが見える。ここは、私の定番の休憩場所だ。今日もここで昼飯にする。

(写真:木漏れ日の林道とナメ滝)


谷を詰めて頭巾山山頂へ
尾根分岐 → 斜滝 → 赤い岩 → 岸壁通り → 樋の滝 → 巨木達 → 二俣1 → 二俣2 → 大滝 → 最後の二俣 → 崩壊地 → 頭巾山山頂 → (頭巾山コース) → 正楽寺跡 → 草ヶ谷ダム → 猫石バンガロー駐車場

 尾根分岐からは右岸にかつての道らしい跡がついている。今日はこれを辿ってみようと思ったが、すぐに木の枝に阻まれてしまった。仕方がないので左岸へ渡ろうかと思ったが、出来るだけ沢の様子を見ながら登りたい。行けるところは流れの中を岩伝いに登ってみることにする。岩がゴロゴロしていて歩きにくそうに見えるが結構歩けるものである。しかし、一般の登山道とは違い、足の置き場をさがし、体重をかける前にそこが安全かどうか確認してから移動するので結構時間がかかる。幸いこの谷の岩は滑りにくいので助かる。それでも、椿の花が一輪ぽつんと乗った広い滑らかな岩の上はさすがに歩くのを躊躇する。

斜滝(仮称)はゴツゴツとした岩の溝をナナメに流れ落ちている。滝の下には滝壺と言うほど深くはないが、それなりの水の広がりもある。どっしりとして印象深い滝だ。斜滝を右から巻いて行くと杉の葉に埋め尽くされた中にかすかな踏み跡が続いている。一瞬これを辿りそうになるが今日は流れに沿って登ると決めていたので、すぐに沢へ戻って上流を目指す。斜滝の上には広い岩があり、上部の岩から流れ落ちた水でぬれた部分が赤茶けた色になっている。その上にも小さな滝があり、さらに上へ行くと、また、岩がゴロゴロしてくる。右側には岩の壁が連なり、途中には板状の岩が斜めに寄りかかっているところがある。そこを過ぎると、滝というには傾斜が緩やかな岩の上の溝を水が流れている。仮に「樋の滝」としておく。

「樋の滝」の上はまた岩がゴロゴロしていて、左岸には急な岩の谷が降ってきている。反対側の右岸には大きな岩の上に巨木(多分ぶなだと思う)が太い枝を広げている。近くで見ると本当に大きくて、太い根が岩を抱え込むように下へ延びている。巨木から右岸を少し進み左の岩の上を見上げると、そこにも太い幹を持つ巨木が枝を広げている。岩の上に上がってみると太い幹は低い位置から枝分かれして、それに負けないくらい太い根が岩を抱えるように這っている。幹に巻きついた蔦の若葉が日に透けて実に綺麗だ。おそらく左岸を歩いていたらこれらの巨木には気づかないだろう。

巨木から右岸をそのまま進むとすぐに崩壊地に突き当たってイバラの洗礼を受ける。崩壊地を避けてイバラの中を沢へ降りる。右側から谷が合流しているようだが、谷の入り口には大きな岩が幾つか立ちはだかり、その上に背の高い木が生えていて
谷の様子は伺えない。太い根を持った巨木も何本か見受けられる。地図を見ると右側から合流している谷は二つあるようだ。

さらに、その先でも二俣になっているが、ここは要注意である。左の谷の方が広く感じるが、そちらの入り口付近は岩と流木で荒れていて、その上はブッシュ化している。この谷は頭巾山コースを山頂から昭和の森方面へ降った所の鞍部から降って来ている谷である。本流は右側の谷なので間違わないように気をつける。本流を進むと、また二俣が現れる。ここも要注意だ。ここは左へ進むのだが、谷の合流地点には横へ広い岩があり、その上を見ると左の谷には杉の倒木が横たわっていて、その後に滝の流れが覗いている。この滝は目指す大滝の一番下の滝である。その上にあの大絶壁の滝が隠れているのだ。先日、雪が降った後に大滝を目指したときはここで間違えて右の谷へ進んでしまった。そのときは狭い急な谷を登って、尾根の上の大きな松の木の下で難所ヶ滝コースに合流した。

杉の倒木を潜ると岩に出来た細い溝を水が流れ落ちていて、倒木の手前で覗いたときよりも高さを感じる。右から巻いて滝の上に上がると、傾斜が緩やかな中断部分が奥へ延びて上段部分に突き当たっている。上段部分はまさに絶壁で、岩に出来た溝に沿って水が流れ落ちている。前回来た時よりは少し水量が多いようだ。正確な高さを書きたいところだが計る術は無く、距離感が鈍い私のも目測は当てにならないし。。。

大滝を右側から高巻いて滝の上に出て、さらに上流を目指す。大滝から少し登ったところにも滝があり、この前は大滝の感動を引きずっていたのでそれほどに感じなかったが、結構高さがある滝だ。さらに二俣か三俣かよく分からないようなところを水流の多い方へ進み、最後の二俣に辿り着く。右はなだらかで、左はえぐれて険しそうな谷が見える。前回はここから中央の尾根を登って縦走路へ出たが、今日は左の谷を辿って頭巾山山頂を目指す。谷底の岩屑は丸みが無く角が鋭い。右から岩が迫り、険しそうな様相を見せていたが、やがて上も明るく開けてくると、緩やかな傾斜の谷には葉を落とした木々が立ち並び明るい空へ枝を広げている。宝満山から三郡山への縦走路を歩くときに、頭巾山分岐の手前辺りで左の谷を覗くとぶなの木が多いことに気付くだろう。それがこの谷の源頭部なのだ。

右の尾根には空に向かって曲がりくねった枝を伸ばしているぶなの巨木が見える。足元には枯葉の間からショウジョウバカマも可憐な花を覗かせている。しかし、時期的にまだ早いので茎は伸びきらず、背丈は低い。谷はまっすぐに延びているが、この谷を詰めると頭巾山山頂から縦走路方面へ降った辺りへ出るはずで、その辺りはブッシュ状態になっていたような気がする。そこで、左の尾根へ取り付こうとしたが、少し先に崩壊地が見えていたのでそれを辿ることにした。崩壊地の上には枝を広げた大きな松の木が見える。その松の木を目指して登り、林の中を少し進むとピタリと頭巾山山頂に到着だ。

頭巾山山頂にはこの前来たときには無かった立派な標識が立っていた。標識の下の方に「宇美町体育協会山の会」の表記がある。三郡山地では地味な存在で翁的な雰囲気を持っていた頭巾山も最近賑やかになってきたようでちょっと残念だ。。。

頭巾山山頂からは頭巾山コースを降り、最後は正楽寺遺跡から谷へ降って草ヶ谷ダム近くの車道へ出た。この時刻になると昭和の森は、地元の人たちが散歩やウォーキング、また、犬の散歩などをしている姿があちこちで見受けられる。そんな中を目的を達成した充実感に浸りながら帰路に着く。。。

(写真:谷の源頭に広がる冬枯れの景色とショウジョウバカマ)


あとがき

草ヶ谷へ入るのは今回で6回目になるが、最後まで谷を辿って頭巾山山頂まで辿り着いたのは今回が初めてだ。この谷は割りと明るくて、沢登の技術を要しなくても何とか辿ることができる。序盤の大釜とナメ滝、中盤の斜滝やぶなの巨木、そして大滝を経て源頭に広がる樹林帯へと変化に富んだ谷歩きが出来る。しかし、谷が合流しているところでは進むべき谷をしっかりと見極める必要がある。そうしなければこれらの景色には出会えないし、見当はずれの場所へ登りあげてしまうのだ。
これからも少しづつ、気持ちよさそうな谷を探しに出かけてみよう。

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