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上馬敷コース周回(2012年11月28日) → 写真集


 飯塚市側から三郡山へ登るコースは内住峡、小河内、茜屋などから幾つかのコースがあるが、もうひとつマイナーなコースとして上馬敷からのコースがある。その存在は以前から知っていたが、まだ歩いたことはない。それ以前に、どこを通っているのか知らなかった。国土地理院の地形図を見ると上馬敷の奥にある池へ向かう林道の途中から西南西方向へ破線が延びている。おそらく、上馬敷コースはこの破線のルートを通っているものと思われるが、この破線は途中で消えている。おそらく、そのまま三郡山山頂のアンテナ群のところまで尾根を辿っているのだろう。

先日、林道の終点にある池(湖畔に昭和池の碑がある)を訪ねた時に気づいたのだが、最近作られている九州電力の送電ルート(北九州幹線)は上馬敷あたりも通っていて付近には送電鉄塔がいくつかある。上馬敷コースの登山口となる貯木場(?)の少し手前でこの送電鉄塔へ向かう作業道が分岐していて、その途中から87号鉄塔への点検路と、終点から88号鉄塔への点検路が作られている。もしかすると、この点検路は尾根上にある89号鉄塔を通り、尾根を越えて反対側の小河内の梨園の近くにある鉄塔(おそらく90号)へと続いているのかもしれない。地図上で89号鉄塔が建っている尾根を三郡山山頂方向へ辿ると標高620m付近で上馬敷コースが通っていると思われる尾根と合流する。そこで、今回は89号鉄塔まで点検路が続いていることを前提に、89号鉄塔の建つ尾根を辿って三郡山へ登り、降りに上馬敷コースを辿る周回コースを計画してみた。


登山コース

登り
一般道終点ゲート(11:40) − (11:53)点検路入口 − (11:58)88号鉄塔立ち寄り(12:05) − (12:12)89号鉄塔(12:20) − (12:33)点検路分岐 − (13:45)上馬敷コース分岐(13:55) − (15:00)三郡山山頂

降り
三郡山山頂(15:05) − (16:05)上馬敷コース分岐 − (17:13)貯木場 − (17:20)一般道終点ゲート

MAP

点検路を89号鉄塔まで
一般道終点ゲート → 送電鉄塔作業道分岐 → 点検路入口(作業道終点) → 88号鉄塔点検路分岐 → (88号鉄塔往復) → 89号鉄塔

 初めてのコースなので余裕を持って出かけたかったが、今日も出発が遅くなってしまい上馬敷の一般道終点付近に着いた時には11時半を過ぎていた。道路脇の石置き場に駐車して、多少焦りながら一般道終点のゲートへと向かう。ゲートの近くには民家が3軒あるが、そのうちの一軒の番犬が実に仕事熱心で、私の姿が見えなくなるまで吠えまくっていた。

ゲートを抜けるとコンクリート舗装された道路が続いている。道路脇に立っている県営林の標柱には「オサコ谷県営林」や「ヲサコ谷県営林」の表示があったので、この林道が通っている谷の名前は「ヲサコ谷」というようだ。左側に川が沿うようになると、放置された廃車の先で林道は川を渡って左へ大きくカーブして行く。しかし、今日はその手前で林道と別れて右へ分岐している送電鉄塔の作業道へ入って行く。作業道の入口には「北九州幹線87号(以降○○号鉄塔と表記する)」を示す標柱が立っている。

作業道へ入ると右上に送電鉄塔が見えてくる。この鉄塔は87号鉄塔で、作業道の途中から点検路が分岐している。正面のヒノキ林の上には88号鉄塔の頭も覗いている。87号鉄塔へ向かう点検路を見送って先へ進むと作業道は終点になる。終点付近にはヒノキの幼木が植林してあって、88号鉄塔へ向かう点検路はその左端を通って林の中へ入って行く。点検路を示す黒い階段は右へ少し登るとヒノキ林の中の谷に沿って緩やかに登って行く。5分程で88号鉄塔へ向かう点検路が右へ分岐しているが、道は谷沿いにさらに先へと続いている。分岐に立っている「北九州幹線」の標柱には登って来た方へ87号の表示が、先の方へは89号の表示がある。予想通り点検路は尾根の上の鉄塔(89号)まで続いているようだ。

88号鉄塔へ立ち寄ってこれから歩く尾根の様子を観察する。整然と立ち並ぶヒノキ林の上に三郡山のどっしりとした山体が見えている。今日歩く尾根は右の方に見えていて、最初は緩やかに最後の方で急激に登っているのが分かる。上馬敷コースの尾根はその上部から急に降ると後は緩やかにこちらへ向かっていて、その右側の尾根の斜面には紅葉している木が沢山見える。

点検路へ戻ると89号鉄塔を目指してヒノキ林の中を登って行く。点検路の通っている谷は浅くて水は流れていないので谷底までヒノキが植林されている。ヒノキ林は手入れされていて割と明るい。この谷の西側にはヒノキ林を一直線に切り分けた空間が延びている。おそらく送電線の架線工事のために切り分けたのであろう。ちょっと覗いてみたが下草が生えてちょっと歩ける状態ではなかった。最後は黒い階段を登って開けた尾根の上に出るとすぐ左側に送電鉄塔が聳えている。89号鉄塔である。89号鉄塔からは北側の小河内へ送電線が延びていて、その先にはおそらく90号鉄塔であろう送電鉄塔が見えている。どうやら、あの鉄塔は小河内鉄塔コースの登山口に立っている鉄塔のようだ。

早くも昼時になってしまったが、ゆっくり食事している時間はない。鉄塔の台座に腰掛けて餡パンとパックコーヒーで簡単に済ませて林の中へと向かう。

(写真:ヒノキ林の中の点検路)


89号鉄塔から三郡山山頂
89号鉄塔 → 点検路分岐 → 上馬敷コース分岐 → 巨岩の下 → アンテナ群 → 三郡山山頂

 89号鉄塔の敷地から出るところに立っている標柱には、これから進む尾根の方へ「北九州幹線90号」の表示がある。点検路はここからさらに北側の90号鉄塔まで続いているようだ。この尾根は北側が自然林で南側が植林帯になっているようで、点検路はその境目辺りを進んで行く。途中のコブを巻きながら傾斜があるところには例の黒い階段が現れる道を、時々巨樹を眺めながら10分程で点検路分岐に着く。点検路はここから北側へ降っているが、三郡山へ向かう尾根は南西方向へ降っている。ボーッと歩いていると点検路をそのまま降ってしまいそうだ。

点検路分岐を過ぎると今までのように明瞭な道ではなく微かな踏み跡が尾根上についている。椎か樫の木であろうか結構大きな木も見られる。南西から北西へ方向を変えると細長い尾根の突き当たりは鬱蒼とした林になっていて、その中に細い標石がポツンと立っている。左側は急斜面になっているが、どうやら目指す尾根はそちらへ降っているようで赤テープが付けてある。斜面は傾斜が急で滑りやすく歩きにくい。右側には大きな木が何本も枝を張り出して立ち並んでいるが、それとは対照的に左側は痩せて細いヒノキ林になっている。鞍部に降り着くと南側へ降る谷が見える。たぶん、この谷はこの下にある「昭和池」へ流れ込んでいるのであろう。

鞍部から反対側へ登りあげる道は最後の所で左から回り込んで尾根へ上る。逆コースを歩くときは尾根からの降り口と進行方向が違うので悩むところだ。次の登りは朽ちた木の破片や露岩なども少し現れるが大きな支障はない。途中で紅葉したカエデがまばらに散りばめたように高い所まで残っていて綺麗だった。ここを登りあげるとまた傾斜は緩やかになるが、登りあげた所で左へ90度折れているので、やはり逆コースを歩くときには要注意である。降り口には一応赤テープが付けてある。

次第に松の木が目立つようになり、中には朽ちかけたものやクネッた姿のものもある。倒木の残骸が散らかった辺りからの登りはシダが映えて踏み跡が分かりにくい。右手に崩壊地を見ながら登りあげた所には赤テープが2本巻いてある。このあたりは北から東へかけて幾つもの枝尾根が降っていて逆コースの場合は降り口が分かりにくいが、この2本の赤テープの方へ降って行けばよい。赤テープを2本巻いているということは、もしかするとここで別のルートが合流しているのかもしれない。このあたりで標高は490mくらい。なかなか高度があがらない。

松の木の向こうに露岩が並ぶ痩せ尾根辺りも右側の谷が崩壊している。少しずつ露岩が増え、踏み跡が分かりにくくなってきた。標高560m付近には露岩の手前の落ち葉の中から2個の標石が頭を出している。帰ってから写真を見たらもう一個苔に覆われた角ばった岩らしきものが写っていたが、もしかするとこれも標石なのかもしれない。このあたりは若干荒れた感じがする。

だらだらと登って行くと標高620m辺りの尾根の真ん中に松の木がどんと立っているところで左から上馬敷コースが合流する。一応テープが何本か付けてあるが、この分岐点は非常に分かりにくい。特に降ってきた時は、目印に気づかないで直進してしまいそうだ。この先に行く手を遮るように立ちはだかる露岩があるので、それをひとつの目安にすればよいだろう。この露岩は左から回り込んで露岩の上から続く尾根へ上る。露岩の上へ行ってみたい衝動を抑えて先へ進むと、標高670m付近の尾根の中央の細い木に赤テープが3本付けてある。ここでもどこからか合流しているようだ。国土地理院の地形図に上馬敷コースの途中まで記載されている破線は標高450m付近で消えているが、このあたりには崩壊地があって、上馬敷コースはそこから尾根上を進んでいる。後日その崩壊地を突っ切ってみたら斜面をトラバースして踏み跡がさらに続き、南側の谷を渡って隣の尾根へ上っていた。その尾根を辿るとちょうどこの3本テープの所へ出てくるようだ。

露岩が増えてシャクナゲの木を見かけるようになると両側から谷の源頭部が近づいてくる。谷の源頭部は両方とも苔むした岩で埋め尽くされていて、尾根上にも苔むした岩が散らかっている。そして正面には巨岩の塊が立ちはだかった。どう見てもこの岩尾根は登れそうもなく、赤テープは岩の下を左へ横切って谷を渡り、左隣の尾根へ上って行く。それにしても三郡山の山頂付近にこれほどの巨岩の塊があるとは知らなかった。ゆっくりと辺りの様子を探りたいところであるが時刻は14時半を回っている。とりあえず山頂まで行こうと思い、隣の尾根へ上り、滑りやすい急坂を登ってアンテナ群の所へ出る。途中で赤テープ2本があり、北北東へ降る尾根を赤テープが降っていたが見ぬふりをして先へ進んだ。

アンテナ群は三郡山山頂の北側にあって各テレビ局のアンテナや反射板などが立ち並んでいる。このアンテナ群の間を通って小河内コース(小河内農道終点コース)が降っている。上馬敷コースはTVQのアンテナの東側(降って行く時はアンテナの右側)から降っていて、小河内コースは西側(降って行く時はアンテナの左側)から降っている。小河内コースとの分岐点には「飯塚六四会」の標識が取り付けてある。

アンテナ群から砥石山方面からの登山道へ出て左折するとひと登りで三郡山山頂に到着だ。時刻は15時。山頂には誰もいない。空はどんよりとして陽は大分傾き夕暮れ時の風景である。それに風も強い。5分程景色を眺めたり写真を撮ったりして下山にかかる。

(写真:枝を張り出した巨樹)


上馬敷コースを下山
三郡山山頂 → 上馬敷コース分岐 → 崩壊地 → 3本赤テープ → 植林帯境界 → 3本赤テープ → 古い作業道 → 貯木場 → 一般道終点ゲート

 山頂を後にして下山にかかる。下山は上馬敷コースを降ることにするが、分岐までに注意する点は、傾斜が急なので滑らないように注意することと、分岐点を見逃さないことである。特に巨岩の下を横切ってから降るところは落ち葉の下に斜めになった岩が隠れていて滑りやすい。また、次第に薄暗くなってきたので上馬敷への分岐を見逃さないように注意しなければならない。地図を見ても分かる通り三郡山の北東側へは波状に幾つもの尾根が降っている。一本尾根を間違えれば全く違う場所へ降ってしまうのだ。

しかし、やはり分岐を見逃してしまった。露岩の右側を巻いて降ってから少し行った所で右へ入るのだが、そのまま直進してしまったのである。露岩に気を取られすぎたのが原因だろうと思う。少し降ってから気づいたので引き返して上馬敷コースへと入って行く。しばらくは急な降りが続くが10分程降ると傾斜はやや緩やかになる。途中赤テープ2本の所で右へ降ると尾根の南側をトラバースして元の尾根へ帰る。トラバースが終わったところで振り返ると尾根通しに登る踏み跡が付いている。なぜトラバースしているのか理由は分からない。

少し進んだところの右側が開けていて、多分竹の尾山あたりだと思うが、遠くの尾根に鉄塔が見える。開けている理由はこの下が崩壊しているからであるが、尾根の上にも倒木や枝が散らかって荒れている。ここは実に分かりにくくて、尾根を直進してしまいそうになるが、赤テープは崩壊地の少し先から右の林を降っている。それに従って降るとすぐに斜面を横切る踏み跡に出る。これを右へ行ったところはさっきの崩壊地に突き当たっているようだ。ここを左へ進むのかと思ったら赤テープはさらに下へ降っている。そちらの方へは赤テープだけでなく白い布切れやビニールひもなども付けられている。それに従ってさらに降ると、また斜面を横切る踏み跡に出る。右側はやはり崩壊地に突き当たっているようだ。今度はここを左へ進むとそちら側にも崩壊地があって、踏み跡はその上縁を通っている。崩れて狭くなった踏み跡を通って崩壊地を抜ける。左上へ赤テープが付いているのはこの上を横切っていた踏み跡に続くのであろう。結局、このあたりには崩壊地が3か所あるようだ。地形図の破線がこのあたりで終わりになっているのはこの崩壊地のせいかもしれない。(後日、崩壊地の先に踏み跡が続いていることを確認した。)

崩壊地を過ぎると頭上には綺麗に紅葉したカエデが見えるが、足元は若干荒れていてイノシシのヌタ場などもある。松の木が目立つ辺りを過ぎると微かな踏み跡が左へ分岐しているように見える。この辺りは地図では分かりにくいが尾根が幾つか分岐していて、左へ進む踏み跡は尾根を通っていて直進する踏み跡(地形図上の破線と一致する)は極浅い谷を通っているのである。ところどころに朽ちた倒木が横たわっているが広くて平坦で歩きやすい。しかし少し行くと3本赤テープがあり、赤テープの目印は右の林へ入って行く。地形図の破線はまっすぐ降っているのでなぜここで右へそれる必要があるのか疑問だったが、時間的に冒険するゆとりがないので赤テープに従って右の林の中へ入って行く。

林の中を赤テープを追ってうろつき、やがて広いヒノキの植林帯へ入って行く。辺りは薄暗くなりテープは見えにくい。そしてついに見失ってしまった。このコースの最初の方は南側にある谷に沿っているはずなのでやや右方向へ上って行くと偶然赤テープに出くわした。再びテープを追って行くと平坦な尾根上でまた赤テープ3本に出くわす。ここからまた右へ降って行くようだ。この時は分からなかったのだが、実はこの赤テープ辺りで地形図の破線と再び合流しているのである。薄暗い杉林の中を横切って川との境辺りを降って行く。右の林の向こうが白く見えるのは堰堤の上に溜まった砂利のようだ。地図ではこのあたりに堰堤が2箇所あるが、おそらく上流の堰堤であろう。これで大体の現在地を把握できたので後は川に沿って杉林の中を進んで行く。最後に右へ少し降ると広い道の跡に出る。おそらく堰堤工事のための道だったのであろうが右側は藪にぶつかっているように見える。これを左へ進むとすぐに笹藪に突き当たる。この笹藪を抜けると上馬敷コース登山口の貯木場に出るはずだ。しかし、この笹藪が意外と手ごわい。距離は短いのだが踏み跡は完全に消えていて笹の高さも肩ぐらいまである。しかも笹の中を張っている蔓が邪魔をしてなかなか先へ進ませてくれないのだ。それでもなんとか強引に突っ切って貯木場へ出た時には向かいの尾根の上に丸い月が昇っていた。

時刻は17時12分。もう少しでライトが必要になるところであった。後は林道を降ってゲートへたどり着いたが、またまた番犬に吠えたてられながら今日の山歩きは終了である。

(写真:崩壊地の上から竹の尾山付近の鉄塔)


後日、気になる所の調査
小河内からの点検路 → 地形図の破線追跡 → 崩壊地付近探索 → 巨岩の尾根探索

 その後、12月1日に今度は小河内から点検路を伝って89号鉄塔へ登り、そこから上馬敷の林道へ降って上馬敷コースを辿ってみた。目的は小河内からの点検路を確認することと、地形図に記載されている上馬敷コースの破線、そしてこの破線が消える崩壊地辺りの調査、および山頂のアンテナ群へ登る手前にある巨岩の尾根である。

梨園の下の川を渡るところに車を停めて準備をしている間、梨園の犬が吠えっぱなしであった。上馬敷から登っても、小河内から登っても、結局犬に吠えられる結果となった。いつも梨園のスピーカーから流れていたラジオは、なぜかこの日は聞こえなかった。

(小河内からの点検路)
小河内から89号鉄塔へ向かう点検路は、梨園の周辺を通る道路が梨園の下を通って右(南)へ曲がるところから分岐している作業道へ入る。点検路はすぐに右の谷へ入り、左へ斜面を登って尾根に出ると後は尾根を辿って約10分で点検路分岐に着く。点検路には傾斜があるところには黒い階段が並んでいるので迷うことは無い。点検路分岐から89号鉄塔へは正面へ黒い階段が降っている。

(地形図の破線追跡)
上馬敷コースの登山口がある貯木場はいつも木材があるわけではないようで、先日まで積んであった木材は綺麗に無くなっていた。もしかすると、工事のための作業場跡を一時的に貯木場として使用しているだけかもしれない。最初の笹藪を回避しようと思って貯木場の左奥から杉林へ直接登ったがやはり藪が邪魔をしてあまり効果は無かった。赤テープに従うと最初の3本テープまでは、杉林の中を通り最後に自然林の尾根へ上るが、途中で右へ白テープが分岐していたのでそちらへ行ってみると杉林の中に窪んだ細い踏み跡が続いている。これが本来の道ではないだろうか。しかし、結局忠実に辿ることができずに赤テープの所から3本テープのある尾根へ上る結果となった。地形図の破線はもう少し手前からこの尾根に上っているようだ。

3本テープから先は、赤テープは尾根を辿ってヒノキ林へ入って行くが、3本テープのすぐ先の地面から岩が覗いている辺りで右へトラバースする踏み跡が付いている。この踏み跡は多少荒れているが割と明瞭で尾根を回り込んで行く。途中で左から極浅く細いガレ谷が降ってきていてこのあたりはちょっと荒れている。次第に左へカーブしながらヒノキの植林帯へ入って行くと植林帯の一番低い所を明瞭な窪みがまっすぐに登っている。窪みに倒木が横たわっているところもあるので左右どちらかに上って歩いたほうがよさそうだ。若干荒れているところもあるが大きな問題ではない。ここは浅い谷になっていてやがて右の尾根に合流する。この尾根の方へも踏み跡が付いているように見える。すぐに左側に3本テープが見えてくる。赤テープのルートは左側からここへ出てきている。さらに少し進んだところでも右から尾根が合流しているが、ほぼ平坦なので分かりにくい。当初の目的だった地形図の破線の追跡は結局3本テープ間だけしか忠実に辿れなかったが、こちらの方が断然分かりやすいということが分かった。

(崩壊地付近探索)
さて、次は崩壊地であるが、崩壊地は全部で3か所ある。ヌタ場を過ぎるとひとつ目の崩壊地から遠くの尾根に鉄塔が2つ見える。この崩壊地は特に歩くのには支障がなく、注意していなければその存在に気づかないほどである。このあたりから尾根は登り始めているが踏み跡は斜面をほぼ水平に横切って行く。ふたつ目は踏み跡のすぐ横から崩れているが踏み跡はかろうじて残っていて何とか通ることができる。この崩壊地の少し手前で右上へ踏み跡が分岐しているのはこの崩壊地を回避するためだろうか。ふたつ目の崩壊地の上を横切ると次の崩壊地との間で赤テープは右上へ登って行く。これはすぐ上の踏み跡のさらに上へと向かって尾根の上に出る。これを無視して最後の崩壊地へ進むとそこは上の方から崩れている。ここが、先日上馬敷コースを降った時に尾根の上から見えていた崩壊地だ。そこを突っ切って先の方を覗いてみると踏み跡はさらに続いている。

踏み跡がどこまで続いているのか辿ってみるとガレ谷に突き当たった。倒木や岩が散乱した谷で水は流れていない。ここで終わりかと思ったら、さらに谷を渡った所から斜面に踏み跡が続いていて隣の尾根へ登って行く。地図を見るとその尾根を辿ると3本テープの辺りへ登りあげることが分かったのでそのまま尾根を登ることにした。しかし、少し登ったところで、また、左へ斜面を横切る踏み跡が分岐していてそちらへ足が向いてしまった。この踏み跡も谷へ降っていて岩がごろごろした沢に辿り着く。この沢は結構水が流れていて、頭上も開けて明るい。木の間から上部に電柱が見えている。この谷の対岸の尾根を登ると茜屋電柱コースに合流するようだ。これ以上冒険している時間は無いので引き返して尾根を登って行く。

(巨岩の尾根探索)
最後に山頂近くのアンテナ群の下にある巨岩の尾根であるが、まず、巨岩の壁の手前で右側の尾根へ上り上へ辿ってみる。傾斜はかなり急でふくらはぎが攣りそうになる。正面に岩が迫ってくると右側には崩れ落ちたものだろうか、苔むした大きな岩がゴロゴロしている。登っている尾根の右手にも巨岩の壁が広がっていてその下は急斜面になっている。右から回り込んで巨岩の下に着くと右上の岩から亀の頭のような岩が覗いている。もっと詳しく調べてみたいがとにかく足元が危ない。岩尾根の上には登れそうもないので岩と岩の間から巨岩の下へ戻り、本来のコースを登って行く。途中で花芽をいっぱいつけたシャクナゲの木があった。来年の花の季節にもう一回来てみよう。

この近くにはもう一箇所気になるところがある。それはアンテナ群の近くで赤テープ2本を見かけたことだ。そこは北東へ尾根が降っている辺りで、もしかするとこの尾根にルートがあるのかもしれない。2本テープの所から尾根を降ってみると細い木の幹に太い赤テープが巻いてある。赤テープはどうやらこの尾根を降っているようだ。この尾根は下の方でさらに幾つもの枝尾根に分かれているので地図を見てもどのあたりへ降って行くのか見当がつかない。今日はこの尾根を赤テープが降っているのを確認するだけでやめにして、例の亀の頭のような岩を探そうと思い、この尾根の西側に張り出している尾根へ降ってみた。こちら側へは2本の尾根が張り出しているようで、さっきうろついた巨岩の上あたりになる。おそらく右側の尾根は今日登ってきた尾根の突き当たりの巨岩の上であろうから、左側の尾根が亀の首辺りだろうと見当をつけてそちらへ降ると、苔むした岩の上からそれらしき岩が突き出しているのが見えた。まさに亀の頭でこちら側からみると口まで付いている。恐るおそる岩の上を伝って行くと突端は切れ落ちていて前方の景色が開ける。左側には採石場が火口のように見える竜王山から久保白ダムなど、右側には竹の尾山や古処山方面の景色が見える。また、眼下には小河内や上馬敷の送電鉄塔も見えていて林の中には昭和池も見える。岩の上は左右へ切れ落ちていて、左側はやや斜めになっていてふかふかした苔で覆われている。その苔の上に錆びた鎖を見つけた。人を支えるのにはちょっと細すぎるようだが何に使ったものだろうか。。。

これで今日の目的はほぼ達成できた。しかし、新たに巨岩の辺りをもう少し探索して見たいという気持ちと、崩壊地から先へ踏み跡を辿った時に行き着いた水の流れる谷を遡ってみたいという気持ちがわいて来た。来年の春はこのあたりを集中的に歩いてみようか。。。

(写真:表:亀の頭のような岩 裏:その上だと思われる場所)


あとがき

 まず最初に、今回歩いたルートは確立された登山道ではないということを記しておかなければならない。尾根上についているのは人のものか動物のものか分からないような微かな踏み跡だけである。今回歩いたルートがある三郡山の北東側は地図を見ても分かる通り波状に尾根が派生しているので、どの尾根を降るべきか判断に迷うような箇所が幾つかある。先人達が辿ったルートには赤テープをはじめとする目印が付けてあるが、その赤テープが自分が目指しているところへ導いてくれるとは限らない。

今回登りに使ったコースは、点検路と分かれるところまでは歩きやすく何の問題もなかった。また、点検路と別れてからも上馬敷コースと合流する所までは、ルートを見極めなければならない所が数か所あるものの特に問題なく歩けた。しかし、この尾根を降りに使う場合は進行方向を充分に見極める必要がある。特に尾根を直接降らずに斜面を巻いて降るところは迷いやすいので注意が必要だ。要所要所に赤テープが付けてあるがその数は上馬敷コースに比べると極端に少ない。それと、なかなか標高が上がらず、後半部に急坂が控えているので結構大変だった。上馬敷コースと合流してからは標高がグングン上がって行く。巨岩の尾根にぶつかる辺りは傾斜も急で足元が滑りやすい。特に落ち葉や薄い腐葉土に隠れた岩に注意だ。

降りは、上馬敷コース分岐までと分岐からしばらくは急坂なので滑らないように注意が必要である。また、分岐点は分かりにくいので見逃さないようにしなければならない。露岩の東側を巻いて少し行った所が分岐点になっているので、それを目安にするとよいだろう。また、尾根の南側を巻く所や崩壊地辺りは分かりにくいので注意が必要である。それと最後の方で地形図の破線とずれていく辺りは非常に分かりにくいし、確かなルートではなさそうなので赤テープを見失わないように細心の注意が必要である。特に、ヒノキや杉の植林帯は広い上に薄暗くて見えにくい。後日このコースを登りに使ってみたが、最初の3本テープまではやや強引な感じがする。次の3本テープまでは地形図の破線通りに古い踏み跡があるのでそちらを通った方が分かりやすいだろう。

そしてこのコースの最大の難関はゲート近くの民家の番犬だ。申年生まれの私にとっては最も苦手な相手である。。。

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