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屋久島放浪記 (2005年9月12日〜9月25日) → 写真集


 今回は9月13日から9月23日まで屋久島に滞在。宮之浦岳、永田岳、縄文杉などを歩いた。愛車RAV4で寝泊りしながら、登山をしたり、ドライブをしたり、屋久島の自然を満喫できた。



行動日程
2005年9月12日(月)出発。鹿児島へ
2005年9月13日(火)鹿児島から屋久島へ(屋久杉自然館、ヤクスギランド)
2005年9月14日(水)宮之浦岳登山
2005年9月15日(木)ドライブ(時計回りで一周)
2005年9月16日(金)縄文杉登山(白谷雲水峡から高塚小屋)
2005年9月17日(土)縄文杉登山(高塚小屋から白谷雲水峡)
2005年9月18日(日)ドライブ(反時計回りで一周)
2005年9月19日(月)縦走計画、準備
2005年9月20日(火)縦走(荒川分れから投石岩屋)
2005年9月21日(水)縦走(投石岩屋から新高塚小屋)
2005年9月22日(木)縦走(新高塚小屋から荒川分れ)
2005年9月23日(金)屋久島からえびの高原へ
2005年9月24日(土)えびの高原から阿蘇へ
2005年9月25日(日)阿蘇から福岡へ

屋久島全図
登山MAP

第1日目 2005年9月12日(月)晴れ

20:30 福岡を出発。屋久島行きのフェリーが鹿児島を8:35に出るので、その前には鹿児島港に着いていないといけない。いつものように山道は通っていられないのでR3をひた走る。それでも水俣から大口、宮之城と山越えのルートを走ってしまった。。。




第2日目 2005年9月13日(火)晴れ

3:00 鹿児島港着。フェリー乗り場の駐車場で仮眠する。
8:35 フェリー屋久島2(折田汽船)で屋久島へ向かう。このフェリーは1日1往復し、料金は私の車(愛車RAV4:4m未満)だと往復28,000円である。しかし、この料金表示に引っかかって往復40,000円払う羽目になってしまった。(詳細は後述。)

客室で寝ようかとも思ったが、船から見える景色も見逃せない。甲板へ出て海を眺める。桜島は雲がかかっていて頂上部は見えない。開聞岳は頂上付近から雲がたなびいているが、秀麗な姿を見せている。

屋久島まで約4時間の船旅だが錦江湾から出るのにかなり時間がかかった。右手に海から飛び出した高い島と、平べったい島が見えている。高い島は硫黄島で平べったい島は竹島だ。硫黄島は、以前、開聞岳に登ったとき頂上から見えた。硫黄岳の頂上から雲をたなびかせ、まるでガボテン島(古いか。。。)のような島だ。海上には時折、イルカや、トビウオが見られる。11:30頃、屋久島が見えてきたが、山の方は雲がかかっていて見えない。

12:30 宮之浦港に到着。屋久島と言えば縄文杉と宮之浦岳だが、私にとっては宮之浦岳の方が先だ。とりあえず淀川登山口の様子を見に行く。

宮之浦から西へ走り、安房から安房林道へ入る。目印はヤクスギランドの表示だ。まずは、屋久杉自然館を見学する。屋久杉と屋久島の歴史に関する展示物があり、入館料600円である。予備知識がないのであまり為にならなかった。次はヤクスギランドへ向かう。林道の途中からは北東の海上に細長い島が見えている。種子島だ。

14:30 ヤクスギランド。ヤクスギランドでは受付で入園料300円を支払い80分コースを巡る。30分、50分、80分、150分の4種類のコースが設定されていて、杉の切株や、千年杉、仏陀杉などの屋久杉を巡る。案内板で「切株上更新」や「倒木上更新」、「着生」などの言葉を知る。苔むした森の中はまるで宮崎駿のアニメの世界だ。古い杉はいろんな植物が着生していて、もはや何の木だか分からないような状態だ。多雨の島だけあって水は豊富だ。ここでの一番は仏陀杉(樹齢1800年)であった。

15:30 ヤクスギランドを出発。途中で縄文杉見物のメイン登山口である荒川登山口へ向かう道路が右へ分岐している。分岐点は「荒川分れ」というらしい。

荒川分れから安房林道を進み、紀元杉、川上杉などを見物しながら淀川登山口へ向かう。

16:00 淀川登山口着。ここには立派な案内板がありトイレも設置してある。水場の水も豊富だ。登山口には車が数台止まっていて、ちょうど日帰組みが下山してくる時間帯であった。最後に、バイクで来ていた若者が下山してきて、今夜もここで幕営するという。彼が使っているコンロがスベア123Rで、私が使っているものと同じだったので、会話するきっかけが出来た。夕食を済ませて車の中で寝る。今日は月夜だ。

(写真:鹿児島港にて屋久島行きのフェリー)


第3日目 2005年9月14日(水)小雨のち晴れ

 今日は淀川登山口から宮之浦岳まで往復する。朝方から小雨がぱらついていてチョッと不安だ。

4:30 淀川登山口発。まだ夜が明けておらず、ヘッドライトを着用する。40分程歩いたところに「世界自然遺産登録地域」の標識が立っている。屋久島全体が世界遺産というわけではないのだ。しばらく行くと淀川小屋に着く。

5:10 淀川小屋。5:17発。淀川小屋は木造のロッジ風の山小屋である。近くを淀川が流れていて、水には事欠かないようだ。小屋の前にはテント場もある。雨が降ってきたので上だけ雨具を着用する。この時下も着用すべきだったと後で後悔する。

淀川小屋から橋を渡り、花之江河へ向かう。花之江河は日本最南端の高層湿原だそうで、このコースの見所のひとつである。花之江河へ向かう途中に高盤岳展望台という所があるそうだが、どこだか分からないまま通り過ぎたようだ。

6:32 小花之江河。小花之江河は花之江河の手前にあり、規模は小さいが雰囲気の良い湿原だ。今日はガスがかかっていていい雰囲気だが、上の方が見えないのが残念だ。湿原の中を横切っている木道の上を歩いて行く。

6:41 花之江河。6:48発。花之江河は小花之江河よりは広い湿原だ。淀川方面から来ると左右に木道が延びている。左が栗生方面へ向かう道、右が石塚小屋を経てヤクスギランド方面へ向かう道で、すぐに左へ宮之浦岳への道が分岐している。晴れていれば湿原の上に黒味岳が望めるはずだが。。。

7:02 黒味岳分岐。「黒味岳からの展望はすばらしかった!」と昨日会った若者が言っていたが、この天気では展望も得られない。帰りまでに晴れることを祈って先へ進む。

7:24 投石湿原。ロープが設置してある岩場を登ると左側に「投石湿原」と書いた標識がある。標識があるので湿原があるのかと思うが、花之江河や小花之江河のように顕著ではない。また、ロープが張ってあって中へ入ることも出来ない。

登山道は水の通り道になっている。投石湿原の少し手前の岩の下に水があるが、これは登山道を流れてきているので呑まない方が良い。もう少し戻って脇のほうから流れてくる水の方が良い。

7:35 投石平、投石岩屋。投石平は投石岳の南側にあり、大きな岩が散らばっているところだ。岩の上は割りと平坦で、晴れていれば休憩するのに適している。

投石平の岩から降ると、斜めに倒れた標識があり「投石岩屋」と書いてある。標識の左後には大きな岩があり、その岩の下が岩屋になっている。ブルーのシートが置いてあり、数人は寝られそうだ。

投石平からは投石岳、安房岳の西側斜面を横切って行くはずだが、あいにくガスっていてどこら辺を通っているのか良く分からない。1ヵ所、少し深い綺麗な水溜りがあるところがあった。おそらく小楊子川の源流付近で、この辺りが宮之浦岳への最後の水場になるようだ。

翁岳分岐を過ぎるといよいよ宮之浦岳への最後の登りになる。登山道の右手には笹原の中に特徴のある岩が幾つか見られる。ゲンコツ岩というのがあるそうだがどれなのか分からない。後で知ったが、栗生岳と翁岳の鞍部の北東の谷間にあるロボットのような岩がそれだったらしい。先の台風でゲンコツの部分が崩れてしまったらしく、もはやゲンコツ岩ではなくなっていた。正面には栗生岳の大きな岩がガスに見え隠れしている。宮之浦岳山頂はその岩のさらに奥の方にある。

8:46 栗生岳。栗生岳は宮之浦岳へ登る途中の大きな岩の塊で山頂という雰囲気はないが、登山道脇に「くりお岳」と書いた大きな標識がある。標識の右隅には岳参りの説明書きが載っている。右側の岩の間を覗いてみると祠が祀ってある。

9:00 宮之浦岳。9:10発。宮之浦岳は一等三角点の山で360度の展望が得られるはずであったが、ガスっていて何も見えない。それでも山頂で記念撮影をして、ガスが晴れるのを期待しながら永田岳まで足を延ばすことにする。宮之浦岳山頂から北へ降ると15分程で焼野三叉路に着く。

9:27 焼野三叉路。焼野三叉路で登山道は永田岳方面と新高塚小屋方面へ分岐している。分岐から永田岳へ向かうとすぐに広い笹野原がある。笹野原の間に露岩があり、晴れていれば休憩するのにちょうど良い場所だ。登山道は笹の下に隠れ、木の根や窪みで転びそうになったり、足をしこたまぶつけたりしながら進んで行く。濡れた笹でズボンも靴の中もびっしょりだ。途中で靴下を絞り、堪らずカッパの下も着用する。

10:27 永田岳。10:37発。永田岳の山頂付近は岩場で、ロープを伝って山頂へ登って行く。山頂には標柱が立っている。ガスって何も見えないので記念写真だけ撮って退散する。

11:27 焼野三叉路。

11:52 宮之浦岳。12:15発。永田岳まで往復して時間稼ぎをしたが、ガスはまだ晴れない。風が強くなってきたが山頂で昼飯にして、さらに時間稼ぎをすることにしたが、待ちきれずに下山を開始する。

宮之浦岳を降り始めてガスが少し晴れてきた。栗生岳を過ぎると正面に翁岳が姿を現した。笹に覆われた斜面の上には特徴のある岩の塊が乗っかっている。翁岳の下の空き地で5、6人のグループが休憩していた。これから宮之浦岳に向かうようだ。

13:00 翁岳分岐。14:10発。翁岳の下で休憩していたグループが山頂へつく頃にはガスは晴れ上がっているのだろう。チョッと悔しいので翁岳に登ることにした。翁岳への登路は笹の原にくっきりと見えているが、実際は笹に覆われて足元が見えない。窪みが多いので足で探りながら慎重に登る。

翁岳山頂には大きな岩の塊が2ヶ所あって南側の方がやや高い。南側の岩の間を上ってみたが、テッペンへ行くのはチョッと危なそうなので、岩の間で写真を撮ってから降る。ガスは完全に晴れ上がって宮之浦岳山頂がはっきりと見えている。翁岳分岐まで戻って降り始める。雨の心配がなくなったので、途中でカッパを脱ぐ。

15:08 投石岩平。投石平からは黒味岳が眼前に迫って見える。また、背後の投石岳の斜面も迫力がある。

15:32 黒味岳分岐。時間的にどうかと思ったが、宮之浦岳山頂からの展望が得られなかったので、せめて黒味岳からの展望でもと思い、登ってみることにした。黒味岳の山頂は結構奥の方にあり、稜線の南側をトラバースしてどんどん進んで行く。

15:57 黒味岳山頂。16:13発。黒味岳山頂にも大きな岩があり、岩の上には割りと楽に登ることが出来る。岩の上に登ると北側に永田岳、宮之浦岳、栗生岳、翁岳、安房岳、投石岳と続く奥岳の山々が一望できる。なるほど、若者が言っていたとおり素晴らしい展望だ。今見えている山々が九州の標高の上位を占める山々である。

南側には花之江河、その向こうには特徴のある岩を頭に乗せた高盤岳が見えている。南の方に見える大きな岩峰は七五岳だろう。出来れば夕日を見たいものだが、そうもいかない。

16:36 黒味岳分岐。

16:47 花之江河。16:55発。今朝とは違って光が当たり、明るい湿原になっている。奥の方で鹿が草を食べている。こちらに気付いても逃げようとしない。ひとしきり写真を撮って出発する。

17:02 小花之江河。ここは少し影っていたが、やはりいい雰囲気だ。

17:47 淀川小屋。17:57発。小屋泊まりの人も何人か居るようで、食事の準備をしている。水場は淀川へ流れ込む枝沢にある。陽が影ってきたが、河原に下りて顔を洗う。淀川の水は限りなく澄んでいる。

淀川小屋を後にして、薄暗くなった森の中をひたすら降る。

18:30 淀川登山口。下山時刻が大分遅くなってしまったが、永田岳、翁岳、黒味岳を付け加えたのでよしとしよう。前半はガスで展望が得られなかったが、後半は素晴らしい景色を堪能できた。しかし、宮之浦岳山頂からの展望が得られなかったのが心残りだ。

この日は遅くなったので淀川登山口で泊まることにした。私一人で他には誰も居ない。

(写真:黒味岳から宮之浦岳と永田岳を望む)


第4日目 2005年9月15日(木)晴れ

 今日は縄文杉へ登るつもりだったが、昨日かなり歩いたので、休養日にすることにした。島を観光しながら時計回りに一週ドライブした。

5:00 起床。登山者の車が数台登ってくる。さすがに皆早い。最後は7時ごろにテンションの高いおばちゃんが2人登って行った。このおばちゃん達には、次の日、縄文杉へ登ったときにすれ違ったので小屋泊まりの縦走をしたのだろう。

7:45 淀川登山口発。

9:10〜9:35 荒川登山口視察。明日縄文杉へ登る予定なので荒川登山口の様子を見に行った。登山口の駐車場は満杯で、林道までずらっと車が並んでいた。

登山口にはトイレがあり、立派なコース案内も設置してある。案内板の向こう側には軌道敷が見えている。案内板には縄文杉まで往復約9時間10分かかると書いてある。距離的に見ると7割方が軌道敷歩きになるようだ。これが一般観光客の縄文杉登山を可能にしているのだろう。

登山口のところから軌道敷が始まり、橋のところで分岐している。右から来ているのが本線で登山口の方は引込み線になっているようだ。縄文杉へは左の橋を渡って行く。チョッと散策がてら歩いてみる。橋を渡ったところにトンネルがあり、そのトンネルを抜けて軌道敷は延々と続いている。

「これは足の裏に堪えそうだ」と思いながら引き返して登山口へ戻ると、しばらくして若い男の子が軌道敷を歩いて来た。声を掛けてみると、昨日、高塚小屋に泊まって、今朝降ってきたらしい。しかし、どう見ても軽装で小屋泊りの準備をしていったとは思えない。実はこういう若者が結構多いようだ。短パンにスニーカー、デイパック姿で小屋泊まりをする。暖かいときは平気であろうが、この季節は微妙で気温が下がるときもある。油断は禁物だ!!

とにかく、駐車場の広さに比べて車の多さと軌道敷歩きの長さが気を重くさせる。荒川登山口からの縄文杉訪問をチョッと躊躇しながら引き返す。

今日はドライブしながら島を散策する予定にして、とりあえずは温泉へ向かう。平内海中温泉と湯泊温泉がターゲットだ。途中で「千尋の滝」を見物する。この滝は展望所から見るだけで残念ながら滝壺までは行けないようだ。展望所へ向かう途中にモッチョム岳登山口があった。チョッと気を引かれたが、今日は休養日だ。。。

11:00〜12:00 温泉。平内海中温泉は海岸の磯にある温泉で干潮時にだけ入れる温泉だ。周りは開放的で隠すものが何も無い。水着着用不可なので昼間入るのはチョッと勇気が要る。男性が一人入っていたが、その周りを女の子達がうろついている。さすがに入る気がしなくて、もうひとつの湯泊温泉へ向かう。

湯泊温泉は堤防があるのと湯船の間に垣根があるのがなんとなく心を落ち着かせる。協力金100円を箱に入れて入浴する。垣根の向こうにはおばあさんが一人入っており、そばの足湯のところにおっちゃんが2人だべっている。あとは誰も居ないのでゆっくりと入っていたら女の子が2人海から上がってきた。おっちゃんらの連れらしく、シュノーケリングをしていたようだ。彼女らは奥の方へ入りに行った。奥にも湯船があるようだ。

12:36〜13:40 大川の滝(おおこのたき)。温泉で汗を流してから西へ向かう。大川の滝の手前に「大川湧水」という湧き水がある。名水百選と書いてある。道路脇の岩から水が流れ落ちていて、結構な水量だ。ポリタンを満たして大川の滝へ向かう。

大川の滝は滝壺の近くまで行くことが出来てすごい迫力である。大川の滝から海まで遊歩道がついていて、この海もまた綺麗なのだがこの日は海までは行かなかった。

大川の滝からさらに西へ向かい、西部林道へと入る。この路は途中で通行できなくなっているようなことを聞いたが、何とか通れるようになっていた。西部林道には家が一軒も無く、静かでサルや鹿がのんびりと過ごしている。そういえば屋久島に来て森に入ると、いたるところで獣の匂いがする。こんなに獣の臭いが濃いところは初めてだ。

14:40 屋久島灯台。西部林道を抜ける辺りに屋久島灯台への入口がある。灯台にあまり興味は無いがせっかくなので行って見る。やはり灯台があるだけだ。島育ちの私にとって灯台は珍しいものではないが、あれば必ず立ち寄ってしまう。。。

西部林道を抜けると永田の集落に出る。この辺りにはウミガメの産卵で有名な「いなか浜」があるそうだ。道路の右側に「布引の滝公園」と言うところもあったが、パスした。

さらに周って宮之浦港へ戻り、白谷雲水峡へ向かう。宮之浦から見ると山の急斜面を一直線に横切っている道路が見えるが、それが白谷雲水峡へ向かう路である。急な斜面を横切って作られているので崩壊が多いのかあちこちで工事中で、景色を見ている余裕はない。

白谷雲水峡は屋久島の観光スポットのひとつで観光客が多い。この日も大勢の人が訪れていた。遊歩道を巡るコースと、少し足を延ばして辻峠近くの太鼓岩まで訪れるのが一般的なようだが、辻峠を越えて縄文杉へ向かうことも出来るようだ。地図を見ると楠川から登ってくる楠川歩道という登山道があって、白谷雲水峡の遊歩道の途中で合流しているようだ。

こちら側から行けば、荒川登山口から登ってくる軌道敷のほぼ中間辺りで合流する。軌道敷歩きをかなり短縮できる。しかし、峠越えなのでこちらの方が片道1時間半程余計にかかる。往復で3時間だ。荒川登山口の案内板に書いてあったコースタイムが9時間10分だったので、白谷雲水峡からは12時間程かかることになる。歩くだけなら何とかなるが、縄文杉を見物するにはちょっと余裕がなさすぎる。

検討した結果、一泊二日の小屋泊まりで登ることにした。明日の準備をして、今日は白谷雲水峡の駐車場で泊まることにした。

(写真:大川の滝)


第5日目 2005年9月16日(金)晴れ

 今日は縄文杉を訪れる。荒川登山口から登るのが一般的だが、今日はあえて白谷雲水峡から一泊二日で登ることにした。長い軌道敷歩きを敬遠したのと、観光客がいない静かな時間帯に縄文杉と対面してみたいからだ。それに白谷雲水峡からのコースには「もののけ姫の森」と呼ばれているところもあり、森の雰囲気がよさそうだ。

5:25 白谷雲水峡発。まだ夜は明けていない。ヘッドライトをつけて出発する。日帰り以外の山行は久しぶりだ。霧立越で扇山の山小屋に泊まったとき以来だ。あの時は万が一に備えてテントを持っていったが、今日は完全に小屋を当てにして、テントは置いて行くことにした。白谷雲水峡にはいろんな見所があるらしいが暗くてよく分からない。「飛流落し」はすごそうだったが、明るくなるのを待つ余裕はなく、先を急ぐ。「さつき吊橋」を渡ってしばらくで楠川歩道と合流する。

5:44 楠川歩道合流。楠川歩道は楠川から宮之浦岳へ登る登山道で、辻峠を越えて小杉谷の軌道敷に合流する。登山道はその昔、山から平木を運ぶのに利用した道で、自然石を敷き詰めた石畳の道である。苔むして鬱蒼とした森の中を歩いて「くぐり杉」を過ぎると、やがて右の方に白谷山荘が見えてくる。

6:12 白谷山荘。6:25発。白谷山荘は森の中に建っている無人の山小屋である。他の山小屋が「××小屋」なのにここだけが「山荘」なのは何でだろう? しかし、無人小屋にしては綺麗な建物で、水場も水量が豊富である。この日は外にテントが一張り、小屋には男性宿泊者が一人だけだった。この小屋に一人で泊まるのはチョッと勇気が要りそうだ。

外のテーブルで朝飯を食べて出発する。白谷山荘から辻峠までは鬱蒼とした苔むした森で、まさに「もののけ姫の森」だ。古い切り株や杉の木は別の植物が着生してもはや何の木なのか分からない。それだけでひとつの森を作っているかのようだ。

6:51 辻峠。6:55発。辻峠は森の中の峠である。近くには「太鼓岩」という展望の良い岩場があり、辻峠から15分程で登ることが出来る。辻峠を越えて南へ降ると「辻の岩屋」がある。大きな岩の下の空間は割と平坦で数人は泊まることが出来そうだ。薄暗い森を降って、傾斜が緩やかになると、畑の跡だろうか、登山道脇に石垣のようなものが現れる。やがて軌道敷へ飛び出す。

7:25 楠川分れ。軌道敷は荒川登山口から縄文杉へ向かうコースになっていて、脇に「楠川分れ」と書かれた標柱が立っている。左へ行くと荒川登山口へ、右へ行くと縄文杉へ向かう。レールの間の枕木の上には板が敷かれていて歩きやすくなっている。荒川登山口から縄文杉へ向かう登山者(?)がひっきりなしに通って行く。ガイド付きのグループが結構多い。また、若者が多いのも意外だ。荒川登山口から楠川分れまで1時間チョッとかかるが、平坦な道だからであろうか、皆元気だ。こっちは一山越えてきたのでちょっとバテ気味だ。

楠川分れから5分ほど進むと「三代杉」がある。切り株の上に三代に渡って杉が育っているそうで、近くに案内板がある。軌道敷はあまり勾配は無いが、足の裏に負担がかかる。楠川分れから約1時間で大株歩道入口に着く。

8:21 大株歩道。8:32発。大株歩道入口は軌道敷が橋を渡るところの手前にあり、ここから本格的な登りが始まる。橋を渡ると突き当たりには立派なトイレがある。最近まで故障していたらしくロープを張ってあったが、ガイドらしい人が中を覗き、使用可能ということでロープを開放した。

10分ほど休憩してから登りにかかる。大株歩道はきちんと整備されており、大半が木道を歩くようになっている。それにしてもいろんな人達が登ってくる。きちんとした登山スタイルの人やハイキングスタイルの人、ガイド付きのグループもいれば個人のグループ、単独の若者も多い。荒川登山口からだと往復で9時間以上かかるのだが、とにかく若者はパワーで登りきるようだ。それとも、帰りのことは考えていないのか。。。

大株歩道に入ると、最初は「翁杉」が現れる。幹は木の根と苔に覆われ、いろんな植物が着生して、この木ももはや何の木か分からなくなっている。翁杉から約5分で彼の有名な「ウィルソン株」が現れる。

8:53 ウィルソン株。9:00発。ウィルソン株は大きな切り株で、正面に穴が開いていて中に入ることが出来る。中は結構広くて、左側には小さな祠があり、奥のほうには水が流れている。上はぽっかりと開いている。切り株の前では、みんな入れ代り立ち代り記念撮影を撮っている。

ウィルソン株から40分程で「大王杉」が、さらにその先には「夫婦杉」がある。夫婦杉は二本の杉の枝同士がぶつかって一体化しているようだ。小沢を幾つか渡り、小さなアップダウンを繰り返して、約25分で縄文杉のテラスが見えてくる。

10:19 縄文杉。10:22発。階段を登ってテラスの上に出ると目の前に縄文杉が現れる。テラスの上は記念撮影する人達でごった返し、後からも次々と登ってくる。後でゆっくり見物することにして、写真を数枚撮ってから高塚小屋へ向かう。

縄文杉からすぐのところに屋根付きの休憩舎がある。そこから5分ほどでブロック作りの高塚小屋が見えてくる。高塚小屋はかなり古くて、小屋の中は少しかび臭い。小屋の周りでは何人か休憩して昼飯を食べていた。私もここで昼飯にする。縄文杉からトイレを使いにやってきた若い女の子らがトイレの臭いに大騒ぎしている。後で使ってみたが山小屋では当たり前のぽっとん便所で古いが綺麗にしてある方である。しかし、臭いは確かに強烈だ。

小屋の中は上下2段になっていてそれぞれ6、7人ずつぐらい寝れそうな広さしかない。宿泊者が少ないことを願っていると、宮崎大学のWGがやってきた。12名のパーティーで新人の夏山合宿だそうだ。このパーティーがここに泊まると、あと数人で満杯になってしまう。しかし、新高塚小屋まで進むということだったのでホッとした。

午後3時ごろ縄文杉へ行って見ると、誰も居なくなっていてゆっくりと縄文杉と対面することができた。あらためて眺めていると、今まで見たどの屋久杉よりも風格があり威厳が感じられる。ゴツゴツとした太い幹は上のほうで何本にも分かれてさらに上へと伸びている。枝に茂っている葉は、明らかに杉の葉ではなく、着生した植物のものだ。

そういえば、最近、縄文杉の皮を剥いだ奴がいるとニュースで言っていた。町で壁に落書きをしたり、ゴミを平気で捨てる。それと同じ感覚なのかも知れない。やはり、これだけの人がやってくると、中にはそういう奴もいるのかもしれない。それが日本人なのだ。

明日の朝また訪れることにして小屋へ引き返す。

この日は、男性パーティーが二組と単独の若者が一人やってきて、結局9名が宿泊することになった。スペースには余裕があったが、いびきがすごくて、結局、朝方まで眠れなかった。明け方の3時ごろに小屋を抜け出して縄文杉の近くの休憩舎で2時間ほど眠ることになった。

(写真:辻峠の太鼓岩から奥岳を望む)


第6日目 2005年9月17日(土)晴れ

 休憩舎で5時過ぎに起きて、朝飯を食べてから縄文杉へ行って見る。朝陽を浴びた縄文杉を見るためだ。陽が昇ると縄文杉の木肌は昨日見たときより幾分赤みが差してくる。

6:45 縄文杉発。30分程縄文杉を眺めて下山にかかる。夫婦杉、大王杉と通過して途中から自然観察路へ入る。自然観察路は大株歩道の北側を巡る道であるが、特にこれといって見るべきものは無かった。この道はウィルソン株の近くで大株歩道と合流している。

7:43 ウィルソン株。7:55発。まだ、人の姿は見えないので、ゆっくりとウィルソン株の中を見物する。ウィルソン株を出発すると、チラホラと今日の早い組が登ってくる。

8:10 大株歩道入口。8:20発。大株歩道入口でトイレ休憩にする。ここからは軌道敷歩きになる。ガイド付きのグループが次から次へとすれ違う。軌道敷内ではすれ違えないので、こちらが軌道敷の外へ出て道を譲る。ほとんどの人たちは、除けてくれたことに対して礼を言ったり、挨拶をしたりして過ぎて行くが、なかには何の挨拶も無く通り過ぎていく人もいる。それにしても、いろんな人達が登ってくる。

途中で軌道敷きの横に展望が利く岩があり、翁岳だろうか、遠くに特徴のある岩峰が見える。また、下の方には岩の間を流れる急流が見える。軌道敷をひたすら歩いていると、所々でガイドが説明をしている。ガイドも年配から若者までいろいろいるようだ。

9:05 三代杉。この時間になるとすれ違う人もほとんどなくなってきた。

9:12 楠川分れ。9:20発。ここでしばらく休憩してから辻峠目指して登って行く。

10:07 辻峠。10:49発。辻峠にザックを置いて太鼓岩を往復することにする。林の中を15分程の登りで太鼓岩に出る。丸みを帯びた岩の上には4、5人先客がいてくつろいでいた。この時間だと白谷雲水峡から足を延ばして来た人たちだろう。岩の上からは、右から宮之浦岳、栗生岳、翁岳、安房岳、投石岳と続く山並みが一望できる。また、眼下には小杉谷が見えている。

辻峠へ戻って白谷雲水峡へ向けて降り始める。この辺りの森はやはり素晴らしい。苔むした倒木や切り株が、あちこちで複雑な景色を作り出している。七本杉を過ぎると白谷山荘に着く。

11:11 白谷山荘。11:40発。白谷山荘で昼飯を食って降りにかかると、白谷雲水峡散策組みとあちこちですれ違う。白谷雲水峡のコースに入ってからは原生林歩道を歩いてみることにした。この歩道では「二代くぐり杉」、「奉行杉」、「三本槍杉」、「びびんこ杉」、「三本足杉」、「二代大杉」などの巨杉が見られる。さつき吊橋を渡り、楠川歩道に出て白谷林道へと降る。林道を5分程歩くと白谷雲水峡の駐車場に着く。

13:24 白谷雲水峡駐車場。

下山後、楠川温泉に入り、コインランドリーで洗濯をしたが、古くて狭い楠川温泉の入浴料300円は高い! この日は島を反時計回りに周って一奏海水浴場の近くの矢筈公園で泊まった。この公園は無料のキャンプ場になっているそうで、この日もテントが二張り張ってあった。しかし、この公園へ向かう道は落石が多く、公園も荒れた感じがする。

(写真:朝陽に染まる縄文杉)


第7日目 2005年9月18日(日)晴れ

 今日は島を反時計回りにドライブしながら観光した。

5:00 起床。
6:30 永田のいなか浜の公園で朝飯にパスタを食べる。
永田から西部林道を反時計回りにドライブして大川の滝へ向かう。この道はサルとシカが普通に見かけられる。車が通るのも気にせずノミ取をしているサルもいる。この日は小猿を何匹か見かけた。この林道を歩いて散策している人も何人か見かける。

8:20 大川の滝は相変わらずすごい迫力である。今日は川沿いの歩道を降って海に出てみた。大川の滝から降ってきた川の出口付近は綺麗な浜になっている。右奥の方に荷物を片付けている家族がいた。旦那は日本人で奥さんは外国人だ。子供が二人いる。昨夜はこの浜でキャンプをしたようだ。大川湧水で水を汲んで栗生へ向かう。

9:50 栗生の青少年旅行村で海岸を散策する。岩場を歩いていると潮溜まりに大きな青い魚が取り残されていた。岩に着いた藻を食べようと岩に頭をぶつけている。潮が満ちるまではこの狭い潮溜まりで辛抱するしかない。

11:30 栗生から林道へ入り、小楊子橋を渡ったところのトイレがあるところで車を止めて小楊子川に降ってみる。水浴びをするつもりで海水パンツに着替えて河原に下りる。あちこちに大きな岩がゴロゴロしている。

上の方で岩から飛び込んだりして遊んでいる若者のグループがいる。近くへ行ってみると5、6人のグループで沢登をしているらしい。少し上までついて行ってみると大きな滝にぶつかった。何段あるのだろうか上の方から段々に激しい流れが落ちている。下は広い滝壺が広がっている。後で調べたら「お谷ヶ滝」と言うらしい。とにかくすごい迫力の美しい滝だ。しばらく岩の上で眺めていると、沢登のグループの女の子からおにぎりをもらった。地元の人だと思ったらしい。ありがたく頂いて邪魔をしないように先に川を下る。

14:00 中間川の林道を周回する。途中に屋久島フルーツガーデンがあるがあまり興味が無いのでパスする。

南部林道という立派な林道があったので入ってみたが、まだ完成していないようで、工事中で行き止まりになっていた。

15:00 尾之間温泉に入る。入浴料は200円で楠川温泉よりは湯船が広い。それにしても暑くて、温泉から上がるとすぐに汗ぐっしょりになってしまった。

この日は宮之浦川を少し遡ったところにある屋久島総合自然公園の駐車場で泊まる。

(写真:大川の滝近くの海岸)


第8日目 2005年9月19日(月)晴れ 暑い

7:00 屋久島総合自然公園の川辺で朝飯。

9:30 宮之浦港入口の公園で今後の計画を立てる。やはり宮之浦岳からの展望が得られなかったのが悔やまれるので、屋久島での仕上げとして宮之浦岳から縄文杉への縦走を計画する。最初はバスを利用して登山口と下山口を繋ぐ計画を検討したが、バス賃が高いので、何とか車利用の周回コースが出来ないか検討してみた。結果として、安房林道の荒川分れを基点として 荒川分れ−ヤクスギランド−安房歩道−石塚小屋(泊)−花之江河−宮之浦岳−新高塚小屋(泊)−縄文杉−荒川登山口−荒川分れ の二泊三日の周回コースが実現出来ると判断した。

宮之浦を散歩しながら、ナカガワスポーツでガスボンベとアルファ米を買って、わいわいランド(スーパー)で食料を買い込む。

14:00 駐車ポイントを探しながら安房林道を走り、紀元杉手前の「幸福の水」近くで昼飯を食べて、明日の準備をする。駐車ポイントは荒川分れから荒川登山口方面へ少し入ったところのスペースに決めて、この日はヤクスギランドの駐車場で泊まる。

(写真:屋久島総合自然公園)


第9日目 2005年9月20日(火)晴れ

 今日は宮之浦岳から縄文杉への縦走に出発する。コースは 荒川分れ−ヤクスギランド−(安房歩道)−石塚小屋(泊)−花之江河−宮之浦岳−新高塚小屋(or高塚小屋)(泊)−縄文杉−荒川登山口−荒川分れ の周回コースとする。

4:30 ヤクスギランドにザックを置いて車を置きに荒川分れに向かう。

4:57 荒川分れ出発。空身で荒川分れから安房林道をヤクスギランドまで歩く。月が出ているが木の枝で遮られて暗いのでヘッドライトを着用する。

5:24 ヤクスギランド着。5:42発。トイレを済ませ、身支度を整えて出発する。ヤクスギランドの出口の方から遊歩道へ入って行く。清涼橋を渡り、くぐり杉を通って仏陀杉に着く。

6:00 仏陀杉。6:05発。薄暗い中で仏陀杉を撮って、沢津橋へと向かう。途中でヤクスギランド散策の50分コースが右へ分岐している。沢津橋までは先日歩いているので迷うことは無い。沢津橋を渡って80分コースを右に分ける。この分岐には案内板が立っている。花之江河へ向かう道は「花之江河歩道」と呼ばれているようだ。分岐を左(花之江河方面)へ進むと5分ほどで「三根杉」に着く。

6:30 三根杉。三根杉の手前で左へ登る木の階段があり、花之江河へはこの階段を登って行く。三根杉の方へ進むとヤクスギランド散策の150分コースとなる。このコースには何本かの屋久杉があり、途中から太忠岳登山道が分岐している。

木の階段を登って花之江河を目指す。久々に重い荷を背負って足がはかどらない。登山道は整備された道ではなく、普通の山道が続く。途中2度、10分程度の休憩をはさみ、やっと大和杉に着く。

8:20 大和杉。8:30発。大和杉は登山道から少し左へ降ったところにある。入口には標識が立っている。大和杉は離れてみるとスラッと背が高いが、近くに寄ってみると幹はやはりゴツゴツとしていて年輪を感じさせる。樹齢は3000〜4000年で屋久杉第2の巨木といわれているらしい。

このコースの一つ目のポイントである大和杉にたどり着いたことでなんとなくペースがつかめてきた。気合を入れなおして、次のポイントである渡渉地点を目指す。大和杉から渡渉地点までは倒木などもあるが、まあ問題なく歩くことが出来た。

9:05 渡渉地点。9:30発。小沢を渡ってしばらくで渡渉地点に着く。地図やガイドブックには「増水時は危険」と書いてあるが、確かに増水したら渡れなさそうなところだ。今日は水量も少なく、苔むした岩の上を楽に歩くことが出来た。岩の所々に見られる甌穴が、増水時の流れのすごさを想像させる。少し永めの休憩を取り、ロープで対岸を登る。奇怪な形をした老木、巨木たちを眺めながら歩いて、途中休憩を1回挟み、見晴台に着く。

11:21 見晴台。11:43発。大きな岩の下に「見晴台」の標識がある。ロープを伝って岩の上に登ると翁岳、安房岳、投石岳、黒味岳などが一望できる。宮之浦岳は翁岳の横から僅かに見えているようだ。今日初めての展望を満喫して石塚小屋を目指す。見晴台から10分ほど降った沢で水を補給して、さらに40分程で石塚小屋の横に出る。

12:46 石塚小屋。13:30発。石塚小屋はブロック作りの小屋で20人ほど泊まれるようだ。小屋の横にはベンチが二つあり、裏側にトイレがある。小屋の周りのスペースはそれほど広くない。

当初の予定ではここで一泊するつもりだったが、少し時間が早い。とりあえず昼飯にして、どうするか考える。実は、最初から頭の隅にもうひとつの宿泊場所がちらついていた。先日、淀川登山口から宮之浦岳を往復したとき見た投石岩屋である。投石岩屋で泊まれば翌日の行動にも余裕が出来るし、山の夕暮れと日の出を満喫できる。本来、岩屋は非常用であるが、この際目を瞑ってもらうとして。。。

昼飯を終え、花之江河を目指して出発する。石塚小屋から6、7分行ったところに水場がある。水量は充分だ。丸太橋を渡り、石壁が残った花之江河小屋跡を過ぎると花之江河に着く。

14:15 花之江河。14:35発。花之江河には木道が敷いてあり、栗生、淀川登山口、宮之浦岳方面へ木道が延びている。石塚小屋方面から来ると右へ宮之浦岳への道が分岐し、直進が栗生方面、その途中から左へ淀川登山口方面の道が分岐している。

作業服を着た若い男性2人が写真を撮っていたので声を掛けてみる。千葉大学の学生で一ヶ月近く先輩の手伝いで植物の調査をしていて、今日は最後に花之江河まで散策に来たらしい。出身が熊本の芦北だということで私の出身地の近くなので、少し打ち解けて話ができた。

今日の花之江河は明るくて黒味岳も良く見えている。時折、サルが顔を見せる。花之江河を出発して、黒味岳分岐を過ぎ、ロープの岩場を登ると投石湿原、投石平と続く。

15:06 投石平、投石岩屋。投石平からは南西に黒味岳が横たわり、北東には投石岳の斜面が迫っている。投石平の広い岩の上から少し降ったところに投石岩屋がある。大きな岩の下に5、6人は並んで寝れる空間があり、ブルーシートが石で押さえて置いてある。前回(9月14日)、登ったときもブルーシートは同じ位置に同じようにあったので、あの後誰も使っていないようだ。ブルーシートを広げ、その上に自分のシートを広げて寝場所を作り、近くの岩の上で汗で濡れたシャツや靴下を乾かす。

17:30 夕食を済ませて投石平で夕暮れの景色を眺める。黒味岳の山頂の岩が夕日に染まり、やがて雲を真っ赤に染めて「中島の頭」の左側に夕日が沈んで行く。暗くなる前に岩屋に戻り、シュラフを広げて寝る準備をする。幸い、ガスは立ち込めなかったが、明け方はやはり寒かった。

(写真:花之江河)


第10日目 2005年9月21日(水)晴れ

 今日は宮之浦歩道を新高塚小屋か、高塚小屋まで行く。時間的には余裕がある。

5:00 起床。6:12発。昨夜は寒くてよく眠れなかった。やはり、壁があるのと無いのとでは大分違うようだ。朝飯は翁岳の下で食べることにして、岩屋から少し登ったところで朝の景色を堪能する。黒味岳が朝陽に染まり、夜が明けていく。

投石岳、安房岳の西側を巻いて小楊子川の源流帯に出る。この辺りは水が豊富で、宮之浦岳への最後の水場にもなっている。ここで水を汲んで翁岳直下の広場で朝飯にする。

7:05 翁岳直下の広場。7:47発。登山者の姿はまだ見えない。独り占めの時間帯だ。翁岳の山頂の岩の横からまさに太陽が昇ろうとしている。今日はいい天気だ。前回は、宮之浦岳山頂はガスで展望が得られなかったが、今日は大丈夫そうだ。

朝食を終えて宮之浦岳への最後の登りにかかる。登山道からはあちこちに特徴のある岩が見える。右の谷間には崩壊したゲンコツ岩がロボットのような姿で立っている。正面には栗生岳の岩が次第に大きくなってくる

8:05 栗生岳。8:20発。登山道脇の大きな岩の下に「くりお岳」の標識がある。この標識には「岳参り」の説明が書いてあり、近くの岩の間に岳参りの祠が祀ってある。登山道を少し戻って岩の上に登ってみる。一番大きな岩には登れないが隣の岩には登ることが出来た。宮之浦岳をバックに記念写真を撮る。今日は三脚を持ってきているので記念写真が撮りやすい。栗生岳を出発すると10分少々で宮之浦岳山頂に着く。

8:33 宮之浦岳。9:10発。今日は360度のパノラマが展開している。辺りの山は全て見えている。前回は目にすることが出来なかった永田岳の姿も今日はバッチリだ。永田岳の左側には雲の間に口永良部島も覗いている。

しばらくすると男性の登山者が一人登ってきた。新高塚小屋から来たようだ。彼が淀川登山口方面へ降ってからしばらくして、若い男性が登ってきた。淀川登山口から登ってきたそうで、かなりのハイペースで登ってきたようだ。360度写真をパチパチ撮って感動していた。時間が早いので九州第2の高峰永田岳を教えて、良かったら往復してはどうかと勧めたら勢いよく出かけて行った。

永田岳への登山道は一部笹に覆われて足元が見えないところがある。注意するようにとは言っておいたが、あまり山慣れしていないようだったので心配になり、私も後を追って永田岳に寄ってから新高塚小屋を目指すことにした。しかし、心配は危惧に終わり、若者はいいペースで永田岳を登り終えて降ってきた。すれ違うときに話をしたら、やはり笹の道で転んだらしい。しかし、問題なさそうだったので安心して永田岳へ向かう。

10:16 永田岳。10:36発。永田岳は岩の山頂だ。前回はガスっていて何も見えずかろうじて山頂表示を確認しただけだったが、今日は、山頂からゆっくりと展望を楽しむ。南東には宮之浦岳がでんと座っており、今日これから歩く尾根が北東へ延びている。

永田岳の山頂から北東へはネマチ、小障子と続く岩の尾根が連なり、北側には障子岳の岩峰が聳えている。西側には永田歩道のある稜線とその向こうには富士山のような形をした国割岳が見えている。国割岳の右側には口永良部島が雲の間に浮いて見える。

山頂からの景色を堪能して下山にかかる。ザックは焼野にデポしてきたので足取りは軽い。鞍部の沢で水を補充して笹の道へと進んで行く。この道は笹の下で窪んでいたり、木の根があったりでかなり歩きづらい。注意していてもすねを打ったり、足を引っ掛けて転んだりしてしまう。

11:27 焼野、焼野三叉路。11:40発。再びザックを背負って新高塚小屋方面へ向かう。この頃になって永田岳にガスがかかってきた。15分程で平坦な広場に着く。標識があり、「平石」の表記があるが、地図上の平石より大分手前のようだ。さらに15分程で今度は「平石岩屋」の標識がある。ここが地図上の平石地点になる。

12:10 平石岩屋。12:55発。辺りはガスって展望は利かないが、近くの岩の上で昼飯にする。これから向かう尾根はガスに隠れて見えなくなってしまった。ここからは第2展望台、第1展望台と辿るが展望は期待できないようだ。

昼食を終えて出発する。一旦降り、その後、小さなアップダウンを繰り返しながら進んで行く。坊主岩もガスに隠れてはっきりとは分からない。

13:25 第2展望台。第2展望台には標識があり、岩の上から、今来た方角の展望が得られそうだが、ガスっていて全く何も見えない。

13:40 第1展望台。第1展望台にも標識があるが、どこが展望台なのかさえ分からなかった。第1展望台からは降りになり、所々、木の階段なども設置してある。ヒメシャラの木が目立つ登山道を進んで行くと広い木道に出て左のほうにトイレがある。右奥には山小屋が見える。新高塚小屋だ。

13:57 新高塚小屋。(泊)新高塚小屋は高いコンクリートの土台の上に建った木造の小屋で、小屋の手前には広いデッキがある。小屋の入口へはデッキから階段を上がっていく。入口の前にはテーブルとベンチがあり、軒にロープが張ってあって濡れた衣類を干せるようになっている。水場は小屋の手前と奥の2ヶ所あるが、奥のほうが水量も水質もいいようだ。

時間的に高塚小屋までいけそうだったが、こちらの方が環境がいいので今日はここで泊まることにした。小屋の中に入ると入口の左手に2階とあわせて6人ほど寝られそうなスペースがあり、奥のほうには左右両側にそれぞれ2階付きの広いスペースがある。明日は、早立ちする予定なので入口の近くに寝ることにした。今日は20人程泊まるようだが場所的には余裕である。

夕食にはまだ早いのでうろうろしていると、大声で声を掛けながら登ってきたグループがある。男だけのグループで結構年配の人が混じっている。同じ型のザックを背負って、手には工事のときに見かける赤白のポールを杖代わりに持っている。何事かと思って話しかけてみると、宮之浦岳近くの登山道に木道を敷く工事を行うので、今日はその下調べにやってきたそうだ。小屋の前で休憩してから、工事現場に向けて出発していった。今日は上の方で幕営するらしい。山は余りなれていないようだが、仕事のためならどこへでも行くパワーが感じられる。

夕飯を食べてから、腹ごなしに第1展望台まで散歩に行ってみた。ガスっていてどこが展望台なのか分からなかったのと、ガスが晴れていれば展望が得られるのではないかと思ったからだ。「第1展望台」の表示の左前方の岩の上が展望台らしく、奥岳の山々が一望できる。夕日に染まる山々を何時までも眺めていたいが、暗くなる前に小屋へ引き返す。

(写真:焼野三叉路からの永田岳)


第11日目 2005年9月22日(木)晴れ

 今日は縄文杉から大株歩道を通って、荒川登山口へ向かう。高塚小屋から楠川分れまでは先日歩いたが、それから先は初めてだ。小杉谷の集落跡がどんなところか興味がある。

4:00 起床。4:25出発。縄文杉の休憩舎で朝食をとることにして出発する。小高塚岳を越えて小さなアップダウンを繰り返すと高塚小屋に着く。

5:20 高塚小屋。宿泊者がいると思うので静かに通り過ぎる。

5:24 縄文杉休憩舎。6:45縄文杉発。休憩舎で朝飯にしようと思っていたが、先客が居て、なんと休憩舎の中にテントを張っている。たまに、東屋などでテントを張っているのを見かけるが、あまり感心しない。床が板張りのところだとテントのポールで床を傷めて、穴が開いたりしているのを見かける。テントは外で張るものだ!!

仕方なく、木道の側で朝飯を食べ、縄文杉へ向かう。ちょうど日が昇ってきて縄文杉の幹が赤みを帯びてくる。この先、いつ来れるか分からないのでよく目に焼き付けておく。

縄文杉に別れを告げて、下山にかかる。夫婦杉、大王杉と過ぎ、急な木の階段を降るとウィルソン株に着く。

7:42 ウィルソン株。7:50発。今日は三脚を持ってきているのでウィルソン株の前で記念写真を撮る。時間が早いので縄文杉見物組はまだ登ってこない。翁杉を過ぎた辺りで第一陣がやってきた。

8:07 大株歩道入口。8:10発。大株歩道入口付近には何組か休憩している。橋を渡ったところにはホースを引いて水場が作られていたが、ほとんど出なくなっている。そういえば、私が屋久島に来てから雨らしい雨は降っていない。多雨の島にしては晴天が続いている。

大株歩道入口からは軌道敷を歩いて行く。前回は気付かなかったが一箇所だけショートカットできるところがある。今日はこの前より、すれ違う登山者は少ない。この前は土曜日だったので多かったようだ。明日から3連休が始まるのでさぞごった返すことだろう。すれ違う登山者もほとんど居なくなったので、軌道敷の上を歩く後姿をセルフタイマーで撮影したりしながら進んで行くと三代杉に着く。

8:57 三代杉。9:13発。この前はゆっくり見れなかったので今日は説明書きもじっくり読む。一代目が約2000年で倒れ、倒木上更新で二代目が生まれる。二代目は約1000年で伐採されるが、その切株の上に切株上更新で三代目が育ち、現在数百年たっているそうだ。空洞部分が一代目だということだ。なんとも気の遠くなるような話である。三代杉からしばらくで楠川分れに着く。

9:21 楠川分れ。右手に「楠川分れ」と書いた標柱が立っている。左へ道が登っていて、これは、辻峠を経て白谷雲水峡、さらには楠川へ通じる楠川歩道である。先日はこの道を通って縄文杉を訪れたので、ここから荒川登山口までは今日初めて歩く。「小杉谷育成複層林自然観察路」なるところをチョッとだけ歩いたり、河原に下りてみたりしながら、軌道敷を30分程進むと小杉谷休憩舎に着いた。

9:50 小杉谷休憩舎。10:10発。小杉谷にはかつて原生林伐採の前線基地として栄えた集落があったそうだ。今は小杉谷小学校・中学校跡や案内板の写真で当時の様子を知ることが出来る。この辺りは広い平坦地が多いのでキャンプに適しているが、残念ながらキャンプ禁止地域になっている。

小杉谷小学校・中学校跡から綺麗な木造の橋で小杉谷を渡る。橋を渡った所からは軌道敷の枕木の上には板が敷いていなくて歩きづらい。また、橋を渡ったところから右へ小杉谷の右岸沿いに軌道が延びている。おそらく、こちらの軌道は現在も使用されているのだろう。所々に待避場所が設けてある。

歩きづらい軌道敷を約30分でトンネルを潜る。先日、荒川登山口から様子を見に来たときに潜ったトンネルで、そのときは気付かなかったが、センサーで照明が点くようになっているらしい。トンネルを抜けると橋を渡り、左へ本線を分けて右の引込み線側へ進むとすぐに荒川登山口に着く。

10:50 荒川登山口。11:10発。登山口のトイレの前に若者が3人いる。バイクでやってきて、これから縄文杉を往復するという。明るいうちに降りてくるのは無理だろう。ライトは持っているようだが、無理なようだったら躊躇せず引き返すように言っておいたが、どうなったことやら。。。

荒川登山口から荒川分れまでは林道歩きとなる。林道脇には駐車場からはみ出した車がずらりと並んでいる。

11:23 尾立ダム。途中には尾立ダム(荒川ダム?)がある。柵がしてあってダムには入れないが、外から見る限りダム湖の水はかなり低くなっている。

11:29 天忠水。11:40発。林道の途中に、「天忠水」と名づけられた水場がある。水筒を満たし、顔を洗って歩き始める。長い林道歩きを約1時間20分、サルがうろうろし始めた頃、愛車RAV4の特徴のある後姿が見えてきた。

12:29 荒川分れ。久しぶりに充実した山歩きだった。車の側で昼飯の準備をしているとサルが数匹近付いてきた。こちらの様子を伺いながらかなり近くまでやってくる。私は申年生まれだが、中学校の修学旅行で高崎山のサルに太腿をかまれて以来、サルは嫌いだ。近付くサルを牽制しながら昼飯を食って退散する。


林道を降って尾之間温泉に入り、「トローキの滝」を見物した。
この日は宮之浦港の近くの公園の駐車場で泊まる。途中でガソリンを20Lだけ入れた。とにかくガソリンが高いのだ。全国的にガソリンは値上がりしているが、それでも福岡ではセルフであればリッター辺り130円以下である。屋久島ではリッター148円もする。

(写真:小杉谷小学校跡)


第12日目 2005年9月23日(金)晴れ

 今日も朝から強烈な暑さである。車の窓にシュラフを干しながら朝飯を食べ、公園のトイレが開くのを待つ。ここの公園のトイレは靴を脱いで上がるようになっていて綺麗ではあるが、夜7時から朝までは閉まっている。トイレが開いてから歯磨きと洗顔を済ませ、フェリーの受付が始まる10:00まで時間をつぶす。

フェリーの受付は港の観光案内所の建物にある。受付が始まると同時に乗船券を買ったが、この時、かすかに懸念していたことが的中してしまった。フェリーの時刻表には往路20,000円、復路8,000円、合計28,000円と書いてあるので8,000円で帰れると思っていたのだが、これは往復で買ったときの料金らしい。どこにも往復割引などの表示が無いし、鹿児島では「帰りの予定は何日頃ですか」と聞かれ、「まだ、はっきりしていません」と答えたら、「じゃ、帰りは向こうで買って下さい」で終わってしまったので、復路は8,000円で買えると思っていたのだ。そのことを言うと、「あの時刻表はよく問題になるんですよね」と澄ましている。まるで詐欺にあったようだが、乗船券を買わなければ帰れないので仕方なく20,000円出して切符を買う。今、考えてもむかつく。ちなみに往復割引の切符は30日間有効らしいが、その説明もなかった!! 12,000円も違うのだから、きちんと説明すべきだし、時刻表の運賃欄にも片道20,000円、往復割引28,000円と明記すべきだ。

せっかく楽しかった屋久島の旅が一瞬でどっかへ吹っ飛んでしまった。

時間があったので、むしゃくしゃする気持ちを静めるために、ドライブして一奏灯台と布引滝を尋ねた。一奏灯台は屋久島の北側の矢筈岬にある灯台で、あたりは矢筈公園になっていてキャンプ場もある。しかし、公園は荒れ果てている。矢筈公園から遊歩道を歩いて行くと岬の突端に一奏灯台がある。白い灯台で屋久島灯台よりは小さいようだ。灯台の下は岩場になっていて何人か釣り人が見えていた。岬の中ほどの西側の洞窟には神社があり、キャンプ場の鳥居のところから歩いていける。また、岬の付け根には一奏海水浴場がある。この日もまだ、若い子らが泳いでいた。

布引滝は一奏海水浴場から少し西へ行った「布引滝公園」にある。水量が少ないせいか、それとも大川の滝などの瀑布を見ていたからか、それともむしゃくしゃしていたからか、あまりいい滝とは思わなかった。

13:20に屋久島を出て17:20に鹿児島に着く。やはり、景色を見ながら甲板で過ごす。海面すれすれを飛んでいくトビウオが珍しくて、ずっと海面を見つめている。大きいのはかなり遠くまで飛んでいく。

フェリーを降りて、霧島へ向かう。途中のコンビニで今夜の晩飯にカップ黒豚ラーメンを買う。

暗くなってから霧島温泉郷の丸尾温泉の近くで、買ってきた黒豚ラーメンを食べていると車が一台やってきてヘッドライトを点けた男性が林の中へ入っていった。しばらくして戻ってきて、また林の中へ入っていこうとしていたので、何をしているのか聞こうと近付いて見ると、なんと素っ裸ではないか。危ない奴だと思いながら、「なにかあるんですか」と尋ねると、すぐそこに温泉があるのだという。なるほど、それで素っ裸なのかと合点しながら、食事を終えてから行って見ることにする。

車を止めたところは、「丸尾自然探勝路」の入口になっていて、遊歩道を少し入ったところに天然の岩風呂がある。岩の隙間からお湯が沸いているようで、上から川の水を流して湯加減を調節する。チョッと水の量が多いのか、温いので男性と一緒に川の水を調節するがなかなかうまくいかない。チョッと熱くなってきた頃、男性は先に帰っていった。鹿児島の人で、たまに入りに来るそうだ。いい湯加減になってきたので暖まってから私も引き揚げる。

この日はえびの高原の不動池の駐車場で泊まった。

(写真:宮之浦港からの景色)


第13日目 2005年9月24日(土)晴れ

6:00 起床。朝飯を食べてから、お池巡りをする。この辺りには不動池、六観音御池、百紫池の三つの池があり、これらの池を巡る遊歩道が整備されている。チョッと足を延ばせば、白鳥山へ立ち寄ることも出来る。足慣らしに、お池と白鳥山を巡るコースを歩いてみた。南側には韓国岳が見える。こちら側から見ると中央が大きく窪んでいる。

白鳥山の山頂は百紫池の北西側の火口壁にある。山頂には方位盤があるだけで、西側はガレ場になっている。白鳥山から降ってから、百紫池の縁まで行ってみる。底が見えるほど澄んでいて綺麗な水だ。

えびの高原から県道30号線(霧島バードライン)を北上する。途中で白鳥温泉上湯に入る。入浴料は300円で、木で作った湯船の内湯と岩で作った露天風呂があり、とてもいい温泉である。ここには蒸し風呂もあり、蒸し風呂の上のほうには地獄がある。地獄へ行ってみたら、山の斜面のあちこちから噴気が噴出していた。せっかく風呂に入ったのに一汗かいてしまった。入る前に行くべきであった。。。

上湯から降ると白鳥温泉下湯がある。ここはキャンプ場が併設されており、あたりは公園になっているようだ。

人吉から五家荘を通っていこうと思ってR445に入ったが、災害のことをすっかり忘れていた。宮園の手前で通行止めになっていたので、迂回路を通って端海野、平沢津と周ってR445に出ると今度は清水橋からチョッと行ったところで道路が崩れていて通行できない。結局、引き返して子別峠からR443へ出てR218に向かう。
登山用品店のシェルパの人も言っていたが、九州山地の中央部へ向かう道路はズタズタになっているようだ。

夕方、吉無田水源で水を汲み、夕食を食べてから俵山を越えて阿蘇登山道路へ向かう。この日は御竈門岳の麓の駐車場で泊まる。ここは阿蘇に来たときによく利用する駐車場で、トイレがあるのがうれしい。たまに、ローリング族がやってきてうるさいときがあるが、この日は静かであった。

(写真:白鳥山から百紫池と韓国岳)


第14日目 2005年9月25日(日)晴れ

いよいよ今回の放浪も今日で終わりだ。

6:00 起床。朝飯を食べてから草千里へ向かう。草千里にはすでに観光客が来ていて、道路上で馬と触れ合っている。観光客を乗せて草千里を巡る馬でかなり大きい馬だ。少し待ったが退きそうに無いので馬の間をすり抜けて先へ進む。

烏帽子岳、米塚、杵島岳、往生岳などを眺めながら阿蘇谷へ降り、大観望を超えて帰途に着く。。。。。

(写真:阿蘇草千里と烏帽子岳)


あとがき

 今回は2週間の屋久島を中心とした旅であった。屋久島はさすがに世界遺産登録地域だけあって、宮之浦岳も花之江河も縄文杉も、どれも素晴らしかった。しかし、一番心に残るのは、小楊子川で全く予期せずに目の前に現れた「お谷ヶ滝」である。あの美しさと豪快さは、今までに見た滝のなかでは一番である。カメラを持っていかなかったのがつくづく残念だ。

しかし、今回の旅では不満が2点だけある。それは、ガソリンの高値とフェリーの運賃表の記述だ。貧乏旅の私にとってはどちらも痛かった。特にフェリーの運賃表の記述は是非改善して欲しいものだ。。。

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