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福智山・尺岳・雲取山縦走 (2007年3月1日) → 写真集


 昨年末に大腸癌の手術をしてから約4ヶ月が経とうとしている。幸い、早期発見だったので、手術で全て取り除くことが出来た。一時は55kgくらいまで減っていた体重も60kg台に戻ったので、そろそろ、山歩きを始めようかと思い、先日、竈門神社から宝満山と三郡山を歩いてみた。登りはさすがに息があがるが、ある程度の距離を歩くことは出来そうだ。

もうすぐ51歳の誕生日なので、次は50歳最後の山歩きになる。何処にしようかと考えていたら、先週ドライブに行った時、直方の福智山ダムからみた気持ちよさそうな稜線が思い浮かんだ。福智山へは過去に2度登ったことがある。一度目は採銅所から牛斬山、福智山と縦走し、二度目は内ヶ磯から上野越経由で登った。

先週撮って来た内ヶ磯の案内板の写真と地図を見ながら歩くコースを検討していると、福智山→尺岳→雲取山と周回するコースが浮んできた。雲取山へは一度登ったことがあるし、福智山から尺岳へは九州自然歩道が通っているので大丈夫そうだ。問題は尺岳と雲取山の間であるが、途中に頓野林道が通っているのでいざという時はこの林道をエスケープルートとして使えそうである。このコースを歩くことに決めて、1日の早朝、犬鳴峠を越えて直方方面へと車を走らせる。


登山コース

福智山ダム(ダム湖左岸駐車場) −(20分)− 大塔分れ −(35分)− 上野越 −(40分)− 福智山 −(95分)− 尺岳 −(30分)− 雲取分れ −(35分)− 雲取山 −(30分)− 福智山ダム(雲取山登山口)

MAP

福智山ダムから福智山まで
 ダム湖左岸駐車場 → 大塔分れ → 薙野休憩舎 → 上野越 → 福智山山頂

 午前8時過ぎに福智山ダム湖の駐車場に着いた。福智山ダムは内ヶ磯ダムの上流に建設され、2004年3月に完成した。ダム湖の周りを周回道路が通っているが、この道路は時計回りの一方通行になっている。また、ダムの上は車は通行できない。

ダム湖畔には4箇所の駐車場がある。2箇所はダムの左右にあり、あと2箇所はダム湖周回道路の途中の右岸と左岸にある。ダム湖の最奥からは林道が延びているがゲートが設けられていて、一般車両は通行止めとなっている。今日はダム湖の左岸の駐車場に車を停めて出発する。

福智山の登山口はダム湖左岸の駐車場からダム湖の奥へ向かって進み、橋を渡る手前の右側のガードレールの所で、電柱の側に標識が立っている。ガードレールを越えて登山道へ入るとすぐに渓流を渡る。杉林の道を登って行くと林道に出て、カーブの所で、また、山道へ入る。林道へ出ては山道へ入る事を数回繰り返すと大塔分れに着く。

大塔分れには九州自然歩道の案内板と標識が立っていて、ここでコースが2つに別れる。ひとつは林道を横切って進む大塔ノ滝コースで、からす落経由で福智山山頂に至る。もうひとつは右へ林道を辿り、薙野休憩舎、上野越経由で福智山山頂へ向かう。もうひとつ、大塔橋の手前で左へ入って行く道があるが、これは「筑豊新道」であろう。筑豊新道も大塔ノ滝コースも上部で一度林道を横切るので、薙野休憩舎へ向かう林道を歩いて行ってもよい。

今日は上野越経由で山頂へ向かう。大塔分れから林道を右へ進み、大塔橋を渡ってしばらく行くと、また、山道へ入る。最後(たぶん5回目)に林道へ出たところから右前方の山道へ入ると薙野休憩舎に着く。薙野休憩舎からヒノキ林に入り、上野越へと向かう。道は岩が多いが良く踏まれてしっかりしている。薙野休憩舎から約30分、クマザサが目立ってくるとやがて上野越に着く。

上野越にはベンチと九州自然歩道の案内板(下のほうに大きく「上野越」と書いてある)が設置してある。ここでは、反対側から上野峡からの登山道が、右側からは鷹取山からの登山道が合流する。上野越から左へ林の中を登って行く。樹林帯を抜け、上が明るくなってくると後に展望が開けてくる。鷹取山から内ヶ磯へ降る尾根の向うに直方平野が広がり、六ツ岳の向うには犬鳴山系の山々が連なっている。鷹取山山頂付近は樹木が無く地肌が剥き出しになっていて展望がよさそうだ。

福智山の山頂が見えてくる辺りで左から登山道が合流する。これは、おそらく「筑豊新道」であろう。少し手前には「歩行者安全のため車の通行は出来ません。」と書いた山には似合わない看板が立っている。近くには水場もあるが、今は枯れて水は出ていない。筑豊新道が合流してしばらくで登山道は左右へ分岐する。どちらを通っても福智山山頂へいけるようだ。左へは「トイレ5分」の表示があるので、荒宿荘へ抜けることが出来るのだろう。山頂近くは道が入り組んでいるので注意が必要だ。とりあえずクマザサの中を右へ向かって登り、八丁ノ辻からの道に合流して登って行くと福智山山頂(900.6m)に着く。

福智山山頂には環境庁の大きな山頂標識と石積みで囲まれた三角点がある。また、山頂付近には石の祠が2つある。小笠原藩が祀った「福智神社と黒田藩が祀った「福智社」だそうだ。福智山が山岳信仰の山だったことが分かる。山頂からの展望は抜群でまさに360度の大展望が広がる。南には牛斬山へ続くなだらかなカヤトの尾根とそのはるか向うに馬見山から英彦山、犬ヶ岳と続く山並みが見える。さらに向うには九重連山や由布岳も見えている。東には貫山と平尾台、それと大きく削り取られた採掘場の右側には竜ヶ鼻が見えている。北側には眼下に荒宿荘の赤い屋根が覗き、そこから北へ向かって縦走路が通っている尾根が続いている。山頂部に建造物が見えるのは皿倉山であろう。尺岳はどの辺りであろうかはっきりしない。西側には八丁の丸みを帯びた気持ちよさそうな尾根が盛り上がっている。

風が無ければ何時までも眺めていたい景色であるが、あいにく風が強くて山頂に長居は出来なさそうだ。また、後の予定もあるので山頂を後にして荒宿荘へ降ることにする。

(写真:福智山ダムから福智山を望む)


福智山から尺岳まで
 福智山山頂 → 荒宿荘 → からす落 → 豊前越 → 山瀬越 → 頓野林道 → 尺岳

 福智山からの降りは方向が分かりにくい。荒宿荘へは西の祠の側から降って行く。途中で上野越方面へ向かう道が左へ分岐してすぐに荒宿荘の前に出る。荒宿荘は良く整備された山小屋で水場(たぬき水)もしっかりしている。また、最近はバイオトイレ(山ぼうし庵)が設置されて話題を呼んでいる。祖母山九合目小屋でもそうであったが、ここのトイレも全く臭いがしない。これがバイオの力か、と感心しながら用を足す。

荒宿荘から尺岳へ向かう縦走路は九州自然歩道の案内板の前を降って行く。しばらく降ると小広い開けた場所を通る。ここは「からす落」と呼ばれるところで西から大塔ノ滝コースが東からホッテ谷コースが登って来ている。縦走路は福智山山頂の南側とは一変して照葉樹林帯の中を快適に進んで行く。ピークを巻いて行くのでアップダウンは少なく快適に歩ける。豊前越、雲取分れ、山瀬越と過ぎると頓野林道へ出る。林道への出口には車止めの杭が何本も立っている。

縦走路は林道を横切って進んで行く。緩やかに登って行くと登山道が左へ直角に折れ曲がる所に道標が立っていて、手書きで「赤松台」の表示がある。尺岳へは道標にしたがって左へ直角に折れて進む。辺りには確かに赤松が多く、登山道には松葉が敷き詰めている。しばらくすると右へ折れて、すぐに竜王越で、左へ竜王峡へ降る道が分岐している。さらに5、6分で尺岳平に着く。尺岳平は尺岳山頂の南側ある広場で休憩舎やベンチ、テーブルが設置してある。九州自然歩道はここから東側へ降っている。菅生の滝へ向かう登山道も途中までは自然歩道を歩くようだ。尺岳平から尺岳山頂までは3、4分で着く。

尺岳山頂(608m)には大きな松の木があり、尺岳権現の祠と方位盤、それに山頂標識の柱が立っている。山頂の北西側に露岩があって皿倉山や金剛山、六ヶ岳、西山などを望むことが出来る。また、方位盤の近くからは平尾台が見えている。山頂の休憩出来そうなところは先客がいたので尺岳平で昼飯にすることにして山頂を後にする。

尺岳平では2組のグループと単独の登山者が1人昼飯を食べながらくつろいでいた。休日は多くのハイカーで賑わいそうな所だ。私もテーブルをひとつ占領して昼飯にする。ちょっと風があるが、空気は澄んでいる。上空をジェット機が飛行機雲を描きながら飛んでいる。

(写真:尺岳山頂)


尺岳から雲取山を経て福智山ダムまで
 尺岳 → 頓野林道 → 雲取分れ → 頓野林道 → 雲取山 → 福智山ダム

 尺岳平を出発して雲取分れへ向かう。途中、「赤松台」で林の中の踏み跡を覗いてみる。踏み跡はヒノキ林の方へ向かっていてヒノキ林の手前で右へ進んでいるようだ。小さな板切れに「赤松尾根」の表示があった。ヒノキ林の中へ作業道が登って来ているのが見えた。

頓野林道に出た所で、林道を行くか、雲取分れまで引き返して登山道を行くか悩んだが、雲取分れからの道を確認したかったので、登山道へと入って行く。山瀬越を過ぎてしばらくで雲取分れに着く。雲取山への道は右の林の中へ登って行く。道はあまり踏まれていなくて荒れている。登りきったところで右へ方向を変えながら緩やかに降って行き、最後に土止めの階段を降ると頓野林道へ出る。登山道は林道を横切って林の中へ入って行くようだ。入口には青と白の道標が立っているが、距離を示す数字がやけに細かく、m台まで数字が書いてある。雲取山までは716mの表示がある。

頓野林道から8分程で福智山ダムからの登山道が左から合流する。これは、福智山ダムの登山口から雲取山へ登る登山道が途中で分岐したもので、ここからさらに3分ほど行ったところでもうひとつの登山道が左から登って来ている。雲取山の山頂直下はかなりの急登でロープが張ってある。

雲取山山頂(607m)には北側に露岩があり、その後は木立で視界が遮られている。南側は開けていて、東側に福智山から鷹取山、内ヶ磯へと降る尾根が見えている。雲取山山頂からは今日登ってきた方とは反対側へも登山道が降っている。これは福智山ダムの下の駐車スペースの所にある登山口へ降る道である。鳥野神社からのコースを登って今日の周回コースを歩く場合は、この道を降った方が便利だ。

今日はダム湖の駐車場に車を停めてあるので、来た道を引き返して山頂直下から南へ降る登山道へ入る。この登山道はハイキングコースとして整備されているようで、所々に番号を振った柱が立っている。「14」の柱のところにはベンチがあり、ベンチを挟んで反対側にも黄色の「1」の柱が立っていて、そちらの方へ登山道が分岐している。これが、頓野林道から雲取山へ行く途中で最初に合流した登山道である。

さらに降って行くと真新しい炭焼き窯の小屋と休憩舎らしき東屋が立っている。炭焼き窯の上を覆う赤土はどうするのだろうと思っていたら、どうやら日干し煉瓦を溶かして土に戻して使っているようだ。炭焼き窯から5、6分の降りでダム湖の周回道路にある登山口に着く。雲取山山頂から約30分のかかった。ここから、ダム湖の周回道路を反時計回りに周り、ダムの上を通って駐車場へ向かう。今朝はまだ陽が充分にあたらず逆光になっていた福智山も、ダム湖の向うにはっきりと見えている。山頂付近をヘリコプターが旋回しているが、何かあったのだろうか。。。

(写真:雲取山山頂から福智山を望む)


あとがき

 今日は天気も良く、この時期にしては暖かかったので気持ち良い山歩きが出来た。ただ、風が強かったので福智山山頂でのんびり出来なかったのが残念だ。福智山から尺岳への縦走路は九州自然歩道なので良く踏まれていて快適であった。病み上がりで体力的にどうかと思ったが、やはり山歩きが一番のリハビリになるようだ。

今日歩いたコースは、全体的に登山道も明確で、道標も良く整備されていて迷うようなところはなったが、雲取分れからピークを越えて頓野林道へ行く道だけが若干荒れていた。

今回歩いた周回コースは、鳥野神社の下の駐車場を基点に、鷹取山、上野越経由で福智山へ登り、雲取山からはダムの下の駐車場へ降るコースも設定できる。福智山への登山道は他に何コースもあるので機会を見て歩いてみたいと思う。



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