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司書の湖周回(新鉄塔コース)(2011年11月16日) → 写真集


 最近は、三郡山地の谷間歩きばかりで他の山域を歩いていない。そこで、今日は久しぶりに犬鳴山系を縦走することにした。犬鳴山系の縦走路は照葉樹林のコースで紅葉は期待できないが、三郡山地に比べると自然が深くて静かな山歩きができる。しかし、最近この辺りには新しい送電鉄塔がいくつも作られて工事用の作業道路が出来ているため、自然が失われつつある。特に、司書の湖(犬鳴ダムのダム湖の愛称)の東側の尾根は縦走路に沿って作業用の道路が作られているので、なんとも味気なくなってしまった。しかし、今日はこれらの送電鉄塔を繋ぐ点検路を登り降りに利用してみようと思う。司書の湖の西側の点検路は大体把握できているが、東側は送電鉄塔が完成してからは歩いたことがないので点検路が何処を通っているのか分からない。ちょっと不安は残るが、まあ、何とかなるだろう。。。


登山コース

犬鳴ダム(7:55) − (8:10)新鉄塔1 − (9:15)犬鳴山(9:25) − (10:10)猪野岐れ − (11:24)椿峠 − (11:35)鹿見岐れ(11:40) − (11:45)旧鉄塔1(昼飯)(13:30) − (12:50)番兵跡 − (13:30)こもの峠 − (12:55)西山(山頂はパス) − (14:10)旧鉄塔2 − (14:25)辰のヘラ − (14:32)新鉄塔2 − (14:45)新鉄塔3(草場岳) − (15:10)新鉄塔4(御別館岳)(15:15) − (15:33)林道三叉路 − (15:40)新鉄塔5 − (16:00)新鉄塔6(16:10) − (16:30)犬鳴ダム周回道路 − (16:55)犬鳴ダム

MAP

犬鳴ダムから犬鳴山山頂まで
犬鳴ダム → 新送電鉄塔1 → ダムコース分岐 → 犬鳴旧道分岐 → 犬鳴山山頂(583.7m)

 今日は久々のロングコースなので、いつもより少し早めに出発した。犬鳴ダムの駐車場に車を停めて、周回道路の入口付近から左の小谷に作られている送電鉄塔の点検路を登って行く。この小谷は以前は荒れたガレ谷だったのだが、この上の尾根に新しい送電鉄塔が出来てから点検路として階段が作られた。工事が終わって階段は取り除かれたが、鎖の手すりが設置されていて以前よりはずいぶん歩きやすい。途中で右へ折れると、黒い階段が薄暗い植林帯の斜面をジグザグに登って行く。途中、右側に司書の湖を展望できるところがあるのでチョッと立ち寄って、これから歩く尾根を見渡す。林が切れて、前方が明るくなると目の前に送電鉄塔が現れる。

鉄塔の周りは伐採されて明るくなっているが、伐採した森林を復元する為に植林が行われている。送電線はこの鉄塔から北へ向かい、司書の湖の西側に作られた鉄塔を経由すると、湖の上を横切って東側の尾根へと延びている。反対方向の南側へは県道が通っている谷を越えてどんどんの山頂付近へと向かっている。この新しい送電線は、国土地理院の地形図にはまだ載っていないようだ。

送電鉄塔から一段上の尾根へ上がって、右の林の中へ入って行く。このコースは正式な登山道ではないので標識等は見当たらない。右の植林帯と左の自然林の間を登って行くと、右側の植林帯へピンクのリボンが降っている。これはダムコースの登山道を示す目印で、このコースの登山口はダムの入口から周回道路を少し進んだところにある。ダムコースの分岐を過ぎると小ピークを越えるが、このピークは地図にも記載されている380m地点である。このピークからは左側(南)へ割りと広い尾根が降っているので、そちらへ迷い込まないように注意しなければならない。登山道はピークからやや右前方へ降っている。

小ピークから鞍部へ降ると、その後は急登が続く。時々、平坦な尾根も現れるが全体的にはかなりの急坂を登って行く。あちこちで鹿の鳴き声が聞こえ、時折、白いお尻を見せながら林の中を飛び跳ねていく姿も見られる。途中で、登山道から背丈の低い茶色の動物が数匹左右へ散らばっていった。一瞬、猿かと思ったが、どうやらイノシシの群れだったようだ。朝食中だったのを邪魔してしまったようだ。次に登り上げたところからも南へ尾根が延びていて、この尾根を伝って登山道が降っている。この登山道は、途中で谷へ降ると籐七谷コースと合流して犬鳴旧道の登山口(犬鳴口)へと降って行く。犬鳴山山頂へ向かう登山道はやや右へ折れて、急坂をひと登りで犬鳴山山頂(583.7m)に着く。

犬鳴山山頂の様子は以前来たときと少し違っている。三角点の近くにあった山頂標識がなくなり、山頂広場の周辺に山頂標識が何本か立っている。広場の片隅に三角点だけがポツンと取り残された感じがして、なんだか殺風景な感じがする。やはり三角点のそばに山頂表示がほしいところだ。山頂からは北東側の景色が開けていて、今日歩く尾根が一望できる。また、東側の林にも切れ間があって、眼下には犬鳴大橋が見えている。

(写真:司書の湖と犬鳴山山頂)


犬鳴山から鹿見岐れまで
犬鳴山山頂 → 籐七谷分岐 → 林道犬鳴線 → 犬鳴尾根分岐 → 巻き道分岐 → 猪野岐れ(猪野越) → 椿峠 → 鹿見岐れ

 犬鳴山山頂からは北西側(登ってきた方向から見て左前方)へ登山道が降っている。この登山道が今日歩くコースで、山頂からロープの急坂を降ると、途中で籐七谷コースが分岐している。山頂から15分くらい降ると林道を横切る。この林道は林道犬鳴線で、旧犬鳴トンネルの近くから登ってきていてここで尾根を越えると北の方へと延びている。以前はここから400mくらいのところで終点になっていたが、今はさらに北の方まで延びている。

林道を横切って急坂を登り、その後は幾つかピークの右側を巻いて行く。巻き道は崩れやすいところや倒木で荒れているところもあるので要注意だ。最初にピークを巻くところでは左の尾根へ踏み跡が付いているが、これは犬鳴尾根(犬鳴北尾根)へ上がる踏み跡である。犬鳴尾根は近年、地元の有志によって開かれたルートで古犬鳴峠を経由して猫峠方面へと続いている。犬鳴尾根への入口はピークを巻いた反対側の鞍部にもあって、そちらが本来の入口である。

次のピークを巻いた鞍部では、登山道の下からもう一本の道が合流する。この道は林道犬鳴線の昔の終点だったところから尾根の北側を巻いてきた道で、登山道上の標識等には「巻き道」の表示がある。この道は林道と接してからさらに尾根を巻いて、もう一度林道に出るが、そこから尾根沿いに犬鳴ダムの周回道路へ降ることができる(P378と新送電鉄塔7を通る)。また、この鞍部から左の植林帯を降り、林構作業道を経由して轟林道の終点へ出ることもできる。

登山道はさらに連続したピークの北側を巻いて行くが、途中で一箇所倒木と崩壊で荒れているところがある。この巻き道が始まるところで尾根へ踏み跡が付いているように見えるが、もしかしたら尾根にも道が付いているのかもしれない。巻き終えたところの鞍部が猪野岐れ(標識には猪野越の表示あり)だ。猪野岐れからは、南へ尾根の西側を通って道が延び、轟林道終点から西へ延びる作業道へ降っている。また、北東の谷へも道が降っていて、これは日原炭焼口コースであるが、現在は荒れていて通行は困難だということだ。日原炭焼口コースは途中で林道犬鳴線の延長された部分を横切っている。

猪野岐れからは基本的にはピークの東側を巻いて行くが、最近はピークを越える尾根にも踏み跡が付いている。最初のうちはアップダウンの少ない気持ちの良い道が続く。P492.8も右を巻いて行くが、尾根の左側へも踏み跡が付いていて、分岐点の手前の木の幹には赤いペンキで「右へ」と書いてある。この縦走路は迷いやすいところには木の幹に進行方向を示す「右へ」や「左へ」の文字や通行止めの「×」などが赤ペンキで書いてあるので気をつけながら歩くと良い。ここで分岐する二つの踏み跡はピークの反対側で合流するのでどちらを通っても良いのだが、なるべく本来の登山道である右の踏み跡を辿った方が良いだろう。ピークを巻き終わって反対側へ出ると、もう一方の踏み跡のほうへは木の枝を積んで通行止めの目印がしてある。この山域は枝尾根が多くて迷いやすい地形をしているのでなるべく枝道は造らないほうが良いだろう。

次もまた尾根道と右側の巻き道に分かれている。こちらの方は尾根の方へもはっきりとした踏み跡が付いていて、登山道を示す標識が尾根道側に付け替えられている。ここの巻き道は距離が長くて3箇所ほど迷いやすいところがある。一方、尾根道の方は最後にピークへ登りあげるが、そこからの降りがチョッと歩きにくい。また、ピークへ登り始める辺りで巻き道との連絡道が付いているが、巻き道のほうの迷いやすい箇所はその先にある。

今日は巻き道のほうを歩くことにする。左側の尾根が一旦低くなった辺りで左手前へ尾根への連絡道が登っている。巻き道はそのすぐ先で二俣になっていて、斜面を横切る道が上下に分かれている。右の緩やかな谷を気持ちよさそうな道が横切っているが、分岐点に置いてある青いコーンには左方向へ矢印がしてあって「左西山」の文字が見える。ここが迷いやすい1箇所目である。右側の道は緩やかな谷を横切って尾根へ上がるのだが、そこから左へ尾根を辿って登山道へ戻ることもできる。

左側の本来の登山道を進み、右へ分岐する尾根へ上がったところがその合流地点で、ここが迷いやすい地点の2番目だ。登山道は尾根を越えて左へ折れている。登山道が尾根の方へ向かって登り上げているので、進行方向に注意しなけらばならない。辺りの木の幹を良く見ると今日歩いて来た側には「左へ」の文字が、反対側には「右へ」の文字が赤ペンキで書いてある。また、迷いやすい尾根のほうには「×」が書いてあり、近くには白い標識も下がっている。赤ペンキは古くて見えにくいので良く注意して辺りを観察することが大事だ。

尾根を越えて左へ進み、斜面をトラバースすると、次の枝尾根に上がる。ここが迷いやすい3箇所目である。ここも、登山道が尾根が降る方向へ登りあげているのでそのまま尾根を降って行きそうになるのである。ここも、先ほどと同じく登山道は尾根を越えて左へ折れている。この辺りの木の幹にも「左へ」や「右へ」、「×←ダメ」など赤ペンキで書かれた古い表示がある。

登山道はさらに斜面をトラバースして、今度こそ本来の尾根へと合流する。最初に分岐した尾根道を辿ると左側からここへ降ってくるのだが、尾根道への入口はあまり明瞭ではない。登山道はここから右へ尾根を登って行く。松葉が多くて滑りやすい尾根を登って行くと、ピークを越えてやや右方向へ降りぎみに進んで行くが、このピークから左へ延びる尾根に少し入ると犬鳴山が見える場所がある。以前より木が高くなったのか、今日は山頂付近が少し見えるだけになっていた。

登山道は右へ回り込みながらP560へと登って行く。このピーク付近は登山道が左、右と折れていて迷いやすいので注意が必要である。また、北西側に送電鉄塔があって、そこへ向かう点検路が付いているので、益々分かりにくくなっているようだ。P560のピークは北西から南東へ長くて登山道は南東方向へ向かって登りあげ、そこから左へ鋭角に折れている。この辺りにも例の赤ペンキの表示や小さな標識がある。山頂部を北西側へ進むと、すぐに右へ折れて降って行く。ここには尾根をそのまま直進する踏み跡が付いているが、これは送電鉄塔の点検路なので迷い込まないように注意だ。登山道はここから尾根を越えて点検路をジグザグに降って行く。降り着いたところが椿峠だ。椿峠からは谷沿いに畑林道へ降る道が分岐している。

椿峠から鹿見岐れへ向かって点検路が登っているので、これを辿ると、登り上げたピークが鹿見岐れである。鹿見岐れからは西へ白木越へ向かう道が分岐している。このピークは樹林帯の気持ち良い空間で、登山道脇の巨木の下にはコンクリート製の道標が立っている。この道標はこれから先、ポイントポイントに設置してある。

(写真:鹿見岐れ)


鹿見岐れからこもの峠まで
鹿見岐れ → 旧送電鉄塔1(昼飯) → 御別館跡分岐 → 番兵跡 → 仮設中央コース分岐 → 清滝分岐 → こもの峠

 鹿見岐れから少し進んだところには送電鉄塔がある。ずっと林の中の道を歩いて来たので、久々に明るいところへ出た感じがする。お昼も近いのでここで昼飯休憩にする。確か、初めて西山から犬鳴山まで縦走した時もここで昼飯にしたのだった。11年前のことだ。辺りを飛び回るスズメバチを目で追いながら、いつもと変わらないメニューの食事を済ませる。

送電鉄塔から再び林の中へ入るとかなり薄暗く感じる。ここからこもの峠まではアップダウンが続く。次の鞍部には水道用のパイプで作ったT字型の道標がある。ここから南東へ谷を降る道がついていて、このコースの登山口は司書口コースの登山口と同じである。

辺りは植林帯に変わり、登山道はP529辺りで左へ折れて行く。ここも、反対方向から来た場合は進行方向に注意しなければならない。P529を越えて降った鞍部が番兵跡で、植林帯に例のコンクリート製の道標が立っているが、そのほかには何もない。番兵跡からは一直線に尾根を登る踏み跡がついているが、これは本来の登山道ではない。本来の登山道は、一旦、左へ斜面を横切ってから右上へ折れてジグザグに登っている。この右上へ折れるところで斜面を横切ってそのまま直進する道が分かれているが、これは清滝へ向かう道である。この分岐にも例のコンクリート製の道標が立っている。

次のピークは降り口に注意である。ここは、尾根を真っ直ぐ降らずに左から回り込むように降っている。降った鞍部からは北側へ急な谷が降っている。その次のピークでは仮設中央コースが分岐している。仮設中央コースは雪害で荒れ果てた司書口コースの変わりに作られた登山道で、司書口コースの登山口から少し入ったところで左へ分岐し、送電鉄塔を経由してこのピークへ登り上げている。

次のピークは右へ大きく曲がりながら進むが、ピークの西端から北へ清滝へ降る道が分岐している。分岐点には透明のアクリル板のような標識と赤いコーンがある。この道は尾根を降るとこもの峠の近くから尾根を巻いてきた道と合流して、その後、番兵跡からの道とも合流している。ここコースも過ぎの植林帯が雪害で荒れて通行困難になっているようだ。

ピークの東の端から急坂を降るとこもの峠であるが、この少し手前からも北側へ踏み跡が分岐している。これが前述した尾根を巻いて清滝へ降る道で、以前イノニタコースと呼ばれていた登山道だ。下の方でこの手前で分岐していた清滝へ降る2本の道と合流しているが、斜面をトラバースする道なので大分荒れてしまったのか、今は標識等も見られなくなってしまった。以前、ここにあった「イノニタコース」と書いた赤いコーンもこの手前のピークの分岐に移動されている。

こもの峠は古くから歩かれていた峠で、犬鳴山と西山を結ぶ縦走路と犬鳴ダム方面から清滝方面へ越える道が交差している。ここにも道標が幾つか立っているが、なかでも、「清水道」と彫られた古い石の道標が目を引く。薦野からこもの峠、辰のヘラを経由して清水まで古い道が通っていたのであろう。ここから犬鳴ダム方面へ降る登山道は若宮側から西山へ登るメイン登山道であったが、雪害で植林帯が荒れてしまい、現在は通れなくなっている。

(写真:こもの峠の古い道標)


こもの峠から犬鳴ダムまで
こもの峠 → 西山(山頂はパス) → 馬口谷分岐 → 犬鳴ダム分岐 → 旧送電鉄塔2 → 辰のヘラ → 新送電鉄塔2 → 往来岳 → 作業道路終点 → 新送電鉄塔3(草場岳) → 御別館新ルート分岐 → 御別館岳(元乙野岳) → 新送電鉄塔4(御別館岳展望台) → 脇田岳 → 三叉路 → 新送電鉄塔5(作業道終点) → 新送電鉄塔6 → 司書の湖周回道路 → 犬鳴ダム

 こもの峠から西山山頂までは急登が続く。登山道にはロープが設置してあって特に危険箇所はないが、かなりの急坂である。孟宗竹が疎らに生えている辺りで傾斜が緩やかになり、登山道脇にアカガシの巨木を見ると前方にコンクリートの壁が見えてくる。この壁の上には西山山頂から降っている自衛隊の専用道路が通っている。西山山頂へはこの壁に沿って右から回り込んで、最後は階段を上がって道路へ出るのだが、道路へ出るところはグルグルの鉄条網で封鎖されていた。その両側には草や木の葉でカモフラージュした自衛隊のトラックが停めてあり、上の方で人が動き回っている気配がする。おそらく、自衛隊が演習をしているのであろう。西山山頂付近は防衛省の用地になっていて、立ち入り禁止になっているのだが、自衛隊がいないときは山頂へ登らせてもらっている。今日は残念だが山頂をあきらめて、辰のヘラ方面へ向かう。

防衛省の立ち入り禁止の看板を過ぎてしばらく行くと左へ馬口谷へ降る分岐がある。以前は小さな杭があったようだが、今は標識等はなく、赤いリボンが幾つか付けてあるだけだ。登山道に折れた木が覆いかぶさっているので、それに気をとられて見落としそうになる分岐である。辺りを良く見ると上が欠けた標石が地面から覗いていて、欠けた上の部分らしい物が近くの木に立てかけてある。二つの標石を重ねてみるとひとつの面には「右山口道」と彫ってある。もう一面には建立した年か建立した人の名前らしきもの、そしてもう一面には「犬鳴」と「こもの」らしき文字が並んでいてその上に「〜方」、下に「道」の文字が彫ってある。ここから分岐している道も昔からある由緒正しい道のようだ。

さらに進むと今度は右へ分岐がある。分岐の近くには送電鉄塔の点検路を示す杭が立っている。この分岐から降る道は途中で送電鉄塔を経由して「犬鳴川源流の碑」の少し上へで司書口コースに合流するが、最後の方は谷を通るので、このコースもおそらく荒れているだろう。それに司書口コース自体が荒れてしまっているので、このコースは使用しないほうがよさそうである。分岐を見送って縦走路を進むと、送電鉄塔があり一瞬明るくなるが、再び鬱蒼とした林の中へ入って行く。

次のポイントは辰のヘラである。縦走路はここで右へ折れて行くが、左前方へも清水へ向かう登山道が降っている。この道が古くから歩かれている「清水道」である。辰のヘラの分岐には幾つかの標識と、「清水」と彫られた標石と「こもの」と彫られた標石のかけらが見られる。辰のヘラで右へ折れて黄色い落ち葉の道を気分良く進むと左へ折れる辺りで鬱蒼とした荒れた感じの杉林へ入る。しかし、鬱蒼としているのは入口付近だけで、植林帯の中に入ると間伐されているので割と明るい。特に左側が明るくなっているのは最近出来た巨大な送電鉄塔が立っているからである。左側の杉の木に標識が取り付けてあってルート図が書いてある。それによれば、この辺りからも清水へ降る道が分岐しているのと、反対側から杉林の中を回り込んできた道が合流していることになっている。どちらも以前歩いたことがあるが特に必要性は感じなかったし、杉林の中を回りこんでくる道は間伐材などで分かりにくくなっている。

登山道をそれて新しい送電鉄塔の下まで行ってみる。この山域で頭上が開けるのはこういった人工物があるところだけだ。新しい送電線は清水の方から登ってきて、これから歩く縦走路に沿って南下すると、途中から西の尾根を降って司書の湖の上を横切り、対岸を南下して、今日登り始めに通った送電鉄塔からどんどんの方へと渡っている。これらの送電鉄塔はかなり巨大で稜線上に立つものは遠くからでも目視できる。再び登山道へ戻り、杉林から降って行くと開けたところへ出る。右の林の木に付けられた標識は「往来岳」の山頂表示であるが、何処が山頂なのか分からないくらいノッペリとした林で、所々に孟宗竹が混じっている。

往来岳の表示から左下の開けたところへ降ると、右下へ植林したばかりの緩やかな斜面が広がっている。ここは送電鉄塔の工事の為に使用していた広場があったところだが、作業が終了したので森林を復元しているのであろう。この広場の反対側まで舗装された作業道路が延びてきている。登山道はこの広場の上を横切ると林の中を回り込んで作業道路の終点へ出る。作業道路を挟んだ反対側にも送電鉄塔が立っていて、そこへ向かって点検路の階段が登っている。点検路を上りきったところは伐採された小ピークで左側に送電鉄塔が建っている。ここは「草場岳」と名付けられていたところであるが、今は山頂表示などは見当たらない。送電線はさらに南側へ延びていて、その先にも巨大な鉄塔が見える。

登山道は登って来た方とは反対側の林へ入って行き、作業道路の土手の上を作業道路に沿って進んで行く。登山道は右の自然林と左の杉林の境を通っていて、作用道路は杉林の斜面を縫うように作られている。途中で、一旦、作業道路へ降って、すぐに杉林の中を登って行くと右へ御別館新ルートが降っている。このルートは近年作られたルートで急な尾根を降って、御別館跡から登ってきた道の一番奥まったところへ降っている。縦走路は作業道路に沿ってさらに進みピークへ登り上げて行く。このピークは地図上の616mのピークで以前は乙野岳と呼ばれていたが、なぜか「御別館岳(元乙野岳)」の表示がある。どうやら名前を変えてしまったようだ。山頂は右へ少し入ったところにあり、石で囲った三角点(?)がある。

御別館岳から少し降ったところにも送電鉄塔が作られていて、ここには「御別館岳展望台」の表示がある。ここからは狭い舗装路が降っていてすぐ下で作業道路に合流している。ここの送電鉄塔は金網のフェンスで囲まれていて縦走路はフェンスを左から回り込んだ対角側から林の中へ入って行く。途中には「脇田温泉西山ルート」の表記がある。登山道は作業道路に接しながらかろうじて道路脇をかすめると土手の上へと登って行く。右側へ緩やかな植林帯の谷が降っているところには右下の林の中に作業小屋が見える。この先で尾根は右へ曲がっているが、登山道はそのまま直進して林道へ降る。ちなみに、尾根を右へ曲がったピークには脇田岳の表示がある。

降りついた所は三叉路になっていて、大平林道から分岐した林道が東から登ってきて西へ延びている。そこへ北から、今日歩いてきた縦走路に沿って通っていた作業道路が合流している。登山道はここから林道を横切って反対側の林の中へ入って行き、脇田、およびタタラ谷方面へと向かうのだが、今日はそちらへは行かずに林道を右へ進み、送電鉄塔の点検路(多分、司書の湖の周回道路まで降っていると思うのだが。。。)を利用してみようと思う。

林道は、以前は三叉路から200mほど進んだところで左折して、南側の尾根へ少し入ったところで終点になっていたのだが、送電鉄塔の工事が始まってから、南側の尾根の入口から斜め右へ新しい作業道路が出来て、もうひとつ西側の尾根の反対側へ回り込んで終点となっている。作業道路の終点には新しい送電鉄塔が作られている。北側には御別館岳展望台の巨大な送電鉄塔が見えていて、そこからこちらへ向かって送電線が降ってきている。送電線は、ここからさらに南西へ降る尾根に沿って延びている。鉄塔の下を潜り抜けると点検路の黒い階段が尾根を降って林の中へ入っていくのが見える。やはり、この尾根を降って点検路が作られているようだ。

階段を降って林の中へ入って行くと、黒い階段は落ち葉に埋もれて分かりにくくなる。たまに「北九州幹線」の白い杭が立っていて、尾根の上の方へ「134号」、下の方へ「133号」の表示がある。この先にもうひとつ送電鉄塔があるはずだ。途中で一箇所伐採されて明るくなったところがあるが、これはおそらく、送電線を張るための作業場所だったのだろう。左下の林越しにガードレールが見えているのは大平林道の終点付近である。さらに点検路は尾根を降って行くが、木の根元にヌタ場があるところで進行方向が分からなくなってしまった。ここで尾根が分岐しているようなのだが、どの方向へも降れそうな地形をしているのだ。上を見上げて送電線を探すが木の葉が邪魔をしてなかなか見つからない。木の葉の隙間からやっと送電線を見つけてどちらへ進んでいるか確認し、その方角(ヌタ場のやや右前方)へ向けて尾根を降り始めると落ち葉の下に点検路が覗いている。ほっとして降って行くと鞍部から左上へ少し上がったところに送電鉄塔が建っていた。これが「133号」なのだろう。

送電線はここから司書の湖を越えて対岸へと延びている。その上には犬鳴山山頂が見えていて、そこから右へ延びる稜線の上では夕陽が雲に隠れようとしている。左上には大平林道の終点付近が見え、その右奥から右へ延びる尾根の中腹には茶色い葉の固まりが見える。おそらく同じ種類の木が生えているのだろうが、一箇所に固まっているので不思議な感じがする。景色を眺めながら10分ほど休憩して、また、林の中を降り始める。

ほぼ一直線に尾根を降って行き、もう少しで司書の湖の周回道路に着くという所で立ち止まる。このまま進むと法面の崖の上に出てしまうのだ。後を振り返ると点検路の黒い階段は途中で途切れている。階段が途切れているところまで戻ると、傍らには放置されたテレビアンテナがあるだけで階段が見つからない。落ち葉で隠れてしまっているが、よく見ると階段はどうやら尾根の先端に向かって左側へ降っているようだ。尾根から斜面を降り始めるとすぐに階段が見えてきた。途中で右へトラバースして左へ降ると周回道路へ到着する。降りついた所はタタラ谷コースの登山口があるところで、黒い「庚申尊天」の碑の横であった。ここからダムの駐車場までは約1キロの車道歩きである。

車で帰る途中で道路脇の空き地をイノシシの群れが横切っていくのが見えた。これから人里へ降って夕食タイムなのかもしれない。。。

(写真:辰のヘラ近くの新しい送電鉄塔)


あとがき

 久しぶりに三郡山以外の山域へ出かけた。犬鳴山系は本当にひと気がなくて、今日出会ったのは、猪野岐れ近くですれ違った5、6人のおじさんグループだけだった。他には沢山の鹿と、1グループのイノシシに出会ったが、私の気配を察知すると早々に林の中へ消えていった。

今日縦走路への登り降りに使用した送電鉄塔の点検路は思った以上に歩きやすかった。特に司書の湖の東側の点検路は自然林の尾根をほぼ一直線に登っているのでルートが分かり易い。それに、送電鉄塔の所で展望も得られるので変化に富んでよいかもしれない。いつか、登りを試してみようと思う。

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