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司書口コースの惨状(2010年3月5日) → 写真集


 今日は犬鳴きダムからこもの峠へ登るコース(司書口コース)の様子を見に行こうと思う。このコースは2008年の雪害で通れなくなっているのだが、どんな状況なのか実際に見たことがない。あれから2年経っているが、今後復旧される望みがあるのかどうか気になっているところだ。また、このコースの代わりに仮設コースが作られている。まだ、一度も歩いたことがないので、この機会にトレースしてみようと思う。


登山コース

司書口登山口(12:58) − (13:05)仮設中央コース登り口分岐 − (13:48)犬鳴川源流の碑 − (14:16)こもの峠 − (14:35)仮設中央コース降り口 − (14:40)送電鉄塔(14:45) − (15:10)仮設中央コース登り口 − (15:15)司書口登山口

MAP

倒木の谷をこもの峠へ
司書口登山口 → 仮設中央コース登り口分岐 → 犬鳴川源流の碑 → こもの峠

 犬鳴きダムのダム湖(司書の湖)の最奥にある司書橋を渡ってすぐに左折する。御別館跡へ向かう道路のゲートは開かれていて入り口に交通整理の作業員が立っていた。御別館跡の上の広場を送電鉄塔工事の作業に使っているようで、以前来た時はヘリポートが出来ていた。ゲートの前を通り過ぎると左へ道が分岐するが、川に架かった橋は壊れてなくなっている。確かこの上の方でも工事を行っていたはずだ。さらに進むと車道の終点に着く。左を流れる川は犬鳴川でここが川の起点になっていて大きな看板が立っている。道路はさらに先の林道へとつながっているが、林道の入り口も崩れてしまっている。

この車道の終点がこもの峠を経て西山へ登る登山道(司書口コース)の登山口になっている。このコースは若宮側から西山へ登る最も一般的なコースであったが、2008年の雪害による倒木で通れなくなってしまった。このコースの代わりに尾根伝いに登る仮設コースが作られたそうだがまだ登ったことが無い。今日は雪害の状況を見るために従来のコースを登り、降りに仮設コースを使おうと思う。

車道終点から左の人工林の中へ踏み跡が入っているが、これは北西の谷伝いに登るコースで番兵跡の南側の鞍部に登り着く。そこにはパイプで作られたT字型の標識が立っている。こもの峠へは、直進して右上に古い墓石の集まりを見たところで崩壊箇所を渡り、林道の入り口から左へ分岐する道へ入る。分岐には標識が立っている。左下に杉かヒノキの林を見ながら尾根を巻いて作られた平坦な道を進んで行くと左側に大きな堰堤があらわれる.。地図を見ると堰堤の上でふたつの谷が合流しているようだが、こもの峠への道は右側の谷の左岸を通っている。杉の倒木が増えてきた辺りで左側の木に黄色い標識が取り付けてあるのが見える。どうやら、ここが仮設コースの入り口のようで標識にはここから左の方へ「仮設中央コース」の案内がある。辺りには杉の倒木が散乱していて、幹が裂けてアーチ状に曲がったものも見られる。

仮設コースの入り口を確認して、そのまま谷沿いに登って行くが、登山道に倒れ掛かった倒木が行く手を阻む。何とか乗り越えて先へ進むが次第に倒木の数も増えてくる。それでも、イノシシの足跡を見つけたり、木の幹に並んだキクラゲを写真に撮ったりしながら登って行く。途中で白い花を沢山つけた木が見えたので近づいてみると梅の花のように見える。昔、この辺りには人が住んでいたか畑があったかしたようで、石垣の跡が見られたりお茶の木が生えていたりする。花の写真を撮っていると男女の二人組みが降って来た。私とは逆に、仮設コースを登ってこちらへ降って来たそうだ。やはり、このコースの状況が気になったらしい。上部の様子を聞くと、途中にかなりひどい所があるそうで、無理そうだったら引き返したほうがよいだろうとのことだった。

二人組みと分かれてとりあえず先へ進むが、これから先が本当に大変なことになっていた。谷底にはびっしりと倒木が並び、越えたり潜ったりしてもきりが無い。たまらず左側の斜面へ逃れて、斜面を横切って行くことにする。斜面から谷底を見るとまるで壊れた木琴の様に倒木が横たわっている。中には幹が裂けてまるで竹のようにアーチを作っているものもある。途中で送電鉄塔の作業道らしい土止めの階段を見つけたのでそれを伝って谷底へ降って見る。倒木を乗り越えて谷底へ降りついた辺りに、倒木に取り囲まれるようにして「犬鳴川源流の碑」が立っていた。標識は柱から外れて下に立て掛けてあったがそれ以外は壊れもせず残っている。ちょっと気分がよくなり、気合を入れなおして先へ進むが、すぐにくじけそうになる。谷には倒木が積み重なってどこを進むべきか分からなってくる。

源流の碑から少し登ったところで右から谷が合流している。この谷から鉄塔のある尾根へ登って、尾根伝いに辰ノヘラと西山の間の登山道へ出れるのだが、こちらの谷もひどい状況のようだ。倒木の上に生えた小さなキノコに励まされながら、倒木を潜ったり、越えたりして、やっと谷の突き当たり付近に辿り着く。谷はここで二俣になっていて左側の谷の上がこもの峠である。確かこの辺りから左へ斜面を登っていたはずだが、杉の幹や枝が散乱して踏み跡が見えない。とりあえず、左側の斜面を少し引き返し気味に上って行くと明瞭な踏み跡に出た。その踏み跡を右へ辿るとすぐにこもの峠に到着する。

こもの峠付近の倒木は処理してあって特に荒れた感じはしない。おそらく、ここに居てあの谷の状況は想像つかないであろう。しかし、絶対に降ってはいけないことだけは確かだ!もっとも、誰かさんのように、そういう状況を想定してそれでもなおと言うのなら別だが。。。

(写真:谷に連なる倒木)


仮設コースを下山
こもの峠 → 仮設中央コース降り口 → 送電鉄塔 → 仮設中央コース登り口 → 司書口登山口

 時間が許せば西山へ寄ろうかと思っていたが、すでにそんな気力はなくなっていた。天気も気になるので仮設コースを通って降ることにする。こもの峠から犬鳴山方面へ向かう登山道はいきなり急登から始まる。登り始めてすぐに右側の林に赤テープが何本か見えるが、これはイノニタコースの分岐である。このコースは、途中でこのすぐ上のピークから降っているコースや番兵跡からのコースと合流して本谷沿いに清滝へ降っているが、途中まで急な斜面を横切って行くので今も通れるのか分からない。

急坂を登り上げたピークから右へ先ほどのイノニタコースへ降る道が分岐している。分岐には標識が立っていて、近くにはこの辺りの登山道でよく見られるコンクリート製の標柱も立っている。また、近くに赤いコーンも置いてある。ピークから一旦瘠せた鞍部へ降り、登り返したピークが仮設コースの降り口になっていて青い標識が取り付けてある。近くには送電線の鉄塔へのルート標識の柱も立っている。

仮設コースは踏み跡も明瞭で快適な尾根道である。ヒノキや杉の人工林と自然林が入り混じった尾根は、緩急を繰り返しながら降って行く。5分ほど降ると林が切れて送電鉄塔の下に飛び出す。この送電線は西側は鹿見岐れ方面の鉄塔へ、東側は辰ノヘラと西山の間にある鉄塔へと延びている。地図にも記載されているので位置確認には便利だ。また、東側の尾根を見るとこの送電線が延びている鉄塔の少し右側に赤白の大きな鉄塔が聳えているのが見える。これは、最近作られている新しい送電ルートの鉄塔で、あちこちの山域で工事が行われている。今日も下の方では資材を運んでいるのかヘリコプターの音が絶え間なく聞こえている。

鉄塔から自然林の中を降って行く。コース上にはピンクのリボンが付けてあって迷うことは無い。尾根の突端の「山」と彫った標石を過ぎると次第に傾斜が急になってきて、最後はロープを張った急斜面を降る。杉林の中を気をつけながら降って行くと、細い杉の間に散らばる倒木の中に降り着く。倒木の枝を避けながら沢を渡って標識のある所へ向かい、従来の登山道を登山口へと向かう。堰堤を過ぎた辺りで左の斜面を斜めに登っている踏み跡があるが、これは墓地へ向かう道である。以前、気になって辿ってみたら以外に大きな墓石が立っていたのでちょっとびっくりしてしまった。また、近くには古い墓も幾つか残っている。この辺りにはダムが出来る前に住んでいた人たちの家の墓地が残っているのだろう。

登山口から帰る途中で、頭上をヘリコプターが行ったり来たりしているので見上げると、何かをぶら提げて御別館跡付近と猫峠辺りを何往復もしている。たぶん送電線の鉄塔工事のヘリであろうが、鹿やイノシシもさぞうるさがっていることだろう。。。

(写真:仮設中央コースの登り口と降り口の標識)


あとがき

 雪害の状況を実際に目にして唖然としてしまった。2年前にあそこで何が起こったのか。。。
谷筋は倒木で埋まり、登山道がどこを通っていたのか、もはや分からない。あの状況では司書口コースが歩けるようになるのはいつになるか分からないだろう。代わりに設けられた「仮設中央コース」は尾根道でしっかりしていて、結構いいコースである。しかし、古くから歩かれていたコースが使えなくなったのは誠に残念である。。。

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