ほっつき歩記山記録 (英彦山系)No.4 籠水峠・英彦山
山行一覧に戻ります 裏英彦山道再訪

登山日 : 2004年11月9日 (快晴)
コース : 豊前坊→薬師峠→裏英彦山道登山口→籠水峠→英彦山南岳登山道→南岳迂回路→中岳→北岳→豊前坊
登山口 : 裏英彦山道登山口
 豊前坊からR500を野峠方面へ500m程行くと左へ油木ダム方面へ車道が降っている。 さらに、野峠方面へ進むとすぐに右へ薬師峠への林道が分岐している。 この林道に入り、荒れた薬師峠を越えて少し降ると左に白いアンテナの設備がある。そこからさらに林道を少し下ったところの右側に「鳥獣保護区」の看板があり、杉林の入口に赤や黄色のテープが巻いてある。 登山口の表示はないが、ここが「裏英彦山道」の入口である。
所要時間: 約5時間50分(休憩は含まず) → 詳細

下の図をクリックするとコース図が表示されます。
(注)この鳥瞰図は「国土地理院のウォッちずで提供されている2万5千分の1地形図」を使用してカシミール3Dで作成したものです。

豊前坊から登山口まで  写真
 昨日の鷹ノ巣山縦走の疲れが残っていたのか目が覚めたのは午前5時半を回っていた。今日は薬師峠から裏英彦山道を歩き、英彦山を越えて豊前坊へと周回する。このコースは今年の5月に歩いたことがある。そのときは天気が今一で裏英彦山道は薄暗い印象を受けた。今日は天気もいいし、また、違った雰囲気を期待できそうだ。

 朝食もそこそこに午前7時に豊前坊を出発する。豊前坊の紅葉も少しづつ散り始めている。薬師峠を越えて「山崩れ発生予知設備」の白いアンテナの横を過ぎると右の杉林に裏英彦山道の入口を示す赤と黄色のテープが見えてくる。前回はここを見逃して少し先から取り付いたが今日は大丈夫だ。

登山口から籠水峠まで     写真
 登山道は杉林の中の急登から始まる。まるで枝打をしたかのように杉の葉が敷き詰められている。10分ほどで左から登ってくる尾根に出るとやがてスズタケの間の道へと変わる。鷹ノ巣山が見えないかと思い、途中ちょっと北側の尾根に寄り道してみた。鷹ノ巣山は陰になっていたが北岳の北側の尾根に岩峰が連なっているのが見えた。登山道へ戻り、スズタケの間を登って行くと突然スズタケの向こうが開けて明るくなる。北岳の肩から東へと延びる尾根上で、正面は崖になっている。尾根上を左右へ踏み跡が付いているが、ここは右へ尾根を登って行く。ブナの木が3、4本立ち並ぶところを過ぎると、すぐに、尾根から離れて左へ降り気味に進む。尾根上をそのまま進むと北岳の肩へ行けそうだが、岩尾根なので道が付いているかどうか分からない。前回は北岳の肩から直接ここへ降れずに、少し先の涸れ沢を降ってきた。

 尾根から少し降り、北岳の東の斜面をトラバースして行くが、この辺りの雰囲気は実にいい。ブナは葉を落としてしまっていたがカエデやその他、まだ紅葉は残っており、苔むした岩と調和して本当に美しい。特に今日は天気がいいので前回とは違って明るくて気分が良い。苔むした岩の上を浮石に注意しながら進むと小谷が現れる。涸れ沢になっており、水は流れていない。小谷を渡って少し行くと右上へ尾根に向かって登って行く。この辺りは踏み跡が落ち葉に隠れて分かりづらい。赤いテープを探しながら慎重に進む。登りあげた尾根は北岳山頂から南東へ降っている尾根で登山道はこの尾根を乗り越して行く。尾根の上は落ち葉が敷き詰められていて気持ちいいところだ。休憩していると辺りを小鳥が飛び交っている。ジッとしているとかなり近くまでやってきて餌を探している。撮影にチャレンジしたがブレタリ、お尻だけ写っていたりでうまく取れなかった。

 15分程休憩して尾根を離れ、北岳南面の岩がゴロゴロした道を横切っていく。北岳から南へ延びる尾根を越えた辺りでスズタケの間の涸れ沢に出ると、やや前方に南岳の岸壁が見えてくる。ここから倒木を越えて、ガレた谷を降り、大きなモミの倒木を越えると「ケルンの谷」に着く。この谷には倒木が数本横たわっており、谷のあちこちにケルンが積んである。前回来た時は水が豊富であったが、今日はまったく流れていない。どうやら水場としては期待してはいけないようだ。

 登山道は「ケルンの谷」の左上へ登っている。スズタケの中の道になると岩壁の基部に幾つか窪みが見られる。一番大きな窪みは「垂水の壷」と呼ばれており、窪みの中に標識が取り付けられている。「垂水の壷」の少し手前には登山道の左下に岩場があり、北岳を仰ぎ見ることができる。
「垂水の壷」を過ぎるとスズタケの濃いところや涸れ谷を数箇所渡り、南岳の南東のP1071の東から南へと回っていく。途中、涸れ谷を渡ったところや、倒木があるところは道が分かりづらい。道がやや広くなってくるとやがて「籠水峠」に到着する。

 「籠水峠」はP1071の南側の鞍部にありスズタケに囲まれている。峠の東側はちょっとした広場になっており休憩するのに良い。峠から南へ「猫の丸尾」を通って「岳滅鬼峠」へと向かう尾根上に登山道があり、「県境尾根コース」と呼ばれている。スズタケの濃い難路である。
「籠水峠」の醍醐味はなんと言ってもP1071南面の大岩壁である。「籠水峠」は3回目だがいつも変わらず聳えているこの岩壁には圧倒されてしまう。今日は岩と紅葉の絵を期待してきたが、残念ながら葉は散ってしまっていた。


籠水峠から英彦山中岳まで   写真
 30分程、写真を撮りまくり籠水峠を越えて苔むした岩の道を降って行く。籠水峠から英彦山南岳登山道まではアップダウンの少ない樹林帯の道で、峠からしばらくは右手に岩壁が続いている。途中、崩壊した沢を渡り、杉の大木が現れてくると南岳登山道に飛び出す。ここは十字路になっており、真直ぐ行くと大南神社、奉幣殿方面、右が英彦山南岳、左が鬼杉へ向かう道であるが、鬼杉へ向かう道はロープが張ってあり通行止めになっていた。ロープに「通行不能 大南神社経由で鬼杉に行ける」と書かれた札が下がっていた。多分、台風による倒木で道が塞がれているのであろう。

 右へ南岳の登山道を登って行く。材木石までは大分磨り減った石段の急登が続く。途中に倒木で迂回路が作られている箇所があった。道標がある辺りからは岳滅鬼山から籠水峠へと続く尾根が一望できる。小さな鎖場と大きな鎖場を過ぎるとやがて「迂回路」の入口に着く。今日は南岳の山頂はパスして迂回路を通って中岳へ行くことにする。迂回路は南岳の東側をほぼ水平に回りこんで南岳と中岳の鞍部に出る。良く整備された歩きやすい道で、10分程で中岳との鞍部に出る。

 中岳中宮に着くと奉幣殿のほうから作務衣のようなものを着た風流な格好の老人と女性が登って来て社の中でお経をあげ始めた。「南無妙法蓮華経・・・・」と唱えていたので日蓮宗であろうか。。。神社でお経??と思っているとなにやら小さな薄い太鼓のような物を叩きだし、本格的にお経をあげ始め、お参りするのを10分ほど待たされた。
神社の人が修復用の板を運んでいたので少し話をした。この社は作られてから160年ほど立っているそうで、今回の台風で大分壊れたそうだ。先日、奉幣殿を修理に来ている職人さんがここまで上がってきて、山の上にこんな立派な社があるのを見てびっくりしていたらしい。また、文化財に指定されていないのにも驚いて、現在、彼らの協力で文化財指定の申請を準備しているようなことを話してくれた。基礎の部分も壊れかけていたので早く文化財に指定されればいいのだが。。。

 中宮にお参りして、「彦山ガラガラ」という土鈴を500円で買って中岳の山頂広場へ向かう。ここは来るたびに子供たちに占領されていたが、今日は子供らは居なくて静かだ。それでも10数人の登山者がくつろいでいた。英彦山山頂と書かれた大きな柱の前で記念写真を撮って、軽く食事をした後北岳へ向かう。

英彦山中岳から豊前坊まで   写真
 中岳と北岳の鞍部の南斜面はブナ林になっているが枯れ木が目立つようになってきた。木々の間はクマザサに覆われている。北岳は中岳や南岳に比べてひっそりとしていて人気が無い。北岳からの降りでは鷹ノ巣山と犬ヶ岳方面の展望が得られる。北岳の肩から豊前坊へ降る道は立派な木の階段から始まり、岩だらけの道が続く。途中には「溶岩壁」や「シオジ林」などがある。途中でご老人を含む団体さんの後を歩くことになったので、ペースダウンして写真を撮りながらのんびりと降っていく。

 「望雲台」への分岐の入口には水場があり、清らかな水が岩の隙間から湧き出している。「望雲台」まで0.1Kの表示があるが立ち寄ろうとは思わない。「望雲台」はR500から見るとまさに断崖絶壁の上にあるのが分かる。一度だけ立ち寄ったことがあるが、上に立った瞬間腰砕けになりそうだった。鎖が取り付けられた断崖を登って行くと、人がやっと立てるくらいの奥行きしかなく、その向こう側は一気に切れ落ちている。崖に沿って鉄柱が並び鎖が張ってあるが、身を任せる気にもならなかった。長時間歩いた後には寄りたくないところだ。

 水場から降ると、道の両側には岩峰が立ち並び、「逆鉾岩」「屏風岩」「筆立岩」などの名前が付けられている。黄葉を眺めながら降っていくと高住神社を経て豊前坊に着く。豊前坊には今日も紅葉見物の人が大勢いた。ここの紅葉もあとしばらくで散ってしまいそうだ。

今日も「英彦山温泉しゃくなげ荘」で汗を流して帰途に着いた


その他
  • 今回のコースは今年の5月に一度歩いたことがある。そのときは、新緑の季節にもかかわらず、天気がぐずついていたせいか薄暗い印象を受けた。今回は木々の葉もかなり落ちて明るくとてもいい雰囲気であった。特に、英彦山北岳の東側の斜面は苔むした岩と自然林の佇まいが美しい風景を作り出している。
  • 「ケルンの谷」は5月に来た時は水が豊富に流れていたが、今回はまったく流れていなかった。水場としては期待しない方がいいようだ。
  • これからの季節は落ち葉や雪で踏み跡が隠れてしまうところが多いと思うが、テープを辿れば迷うことは無いだろう。
  • 所要時間は、写真を撮りながらゆっくりと歩いた時間である。
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