ほっつき歩記山記録 (英彦山系)No.1 岳滅鬼峠・猫の丸尾・籠水峠
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登山日 : 2004年5月11日 (晴れ)
コース : 英彦山大権現→岳滅鬼峠→猫の丸尾→籠水峠→英彦山南岳登山道→大南神社→鬼杉→大南林道→英彦山大権現
登山口 : 多門峡登山口
 英彦山大権現の鳥居の前から大南林道を鬼杉方面へ進むと左に玉屋神社への入口がある。玉屋神社入口と道路を挟んで反対側に多門峡の入口がある。入口のすぐ上流には朽ちかけた木橋が架かっている。
所要時間: 約5時間45分(休憩は含まず)
※主要区間・・・・岳滅鬼峠まで    1:10(1:10)
       猫の丸尾まで    2:00(3:10)
       籠水峠まで     0:30(3:40)
       英彦山登山道まで  1:10(4:50) ←途中道を外し、ロスあり!
       英彦山大権現まで  0:55(5:45) 括弧内は累積時間

多門峡入口から大南林道合流点までのルートは正確ではありません。
(注)この鳥瞰図は「国土地理院のウォッちずで提供されている2万5千分の1地形図」を使用してカシミール3Dで作成したものです。

岳滅鬼峠まで  写真
 午前6時25分、英彦山大権現の駐車場に着く。この先にも駐車スペースはあるが、狭いのでここから歩くことにした。準備をしている間に大南林道を車が一台登っていった。

 杉林の中の林道を5、6分で玉屋神社入り口に着く。岳滅鬼山へ向かう登山道はここから川を渡って林の中へ入って行く。すぐ上流には朽ちた木橋が架かっている。途中、黒岩山への登山道が左へ分岐している。杉の木の間に朝陽がさして美しい景色を作り出している。
多門峡入口から20分ほどで再び大南林道に出る。この林道は深倉峡まで続いている。岳滅鬼山へはここから南東へ分岐している林道を10分程行くと、岳滅鬼山登山口の看板があり、右の杉林へ入っていく。杉林と自然林の境の薄暗い尾根道を登る。約10分で杉林が終わり、明るい場所に出る。辺りには新緑が溢れている。少し行ったところから尾根の西側をトラバース気味に登って行くと岳滅鬼峠に着く。
岳滅鬼峠には古い石柱が何本かあり、横倒しになったり、岩に立てかけてあったりするが、岳滅鬼山への登り口に一本だけしっかりと立てられている。「従是北豊前国小倉領」と刻まれている。国境の碑である。


猫の丸尾まで     写真
 木の道標に「籠水峠・難、荒路」と書いてある。余程の難路らしいと気合を入れなおして岳滅鬼峠を出発する。すぐにスズタケが現れる。朝早いので、まだ、露にぬれている。カッパを着ようかどうしようか迷ったが、今日の天気だと濡れてもすぐ乾きそうなのでやめにして、最初のポコから降ったところでザックカバーだけつけることにした。地図の破線はここを越えており、最初ここが岳滅鬼峠かと思っていた。地図の間違いなのか、昔はここを越えていたのか・・・・
南西方向に台形状の黒岩山と三角形の障子ヶ岳が見える。障子ヶ岳の東側には岩壁が見える。
とにかくやせ尾根とスズタケの連続だ。所々、スズタケが切れたところは新緑が美しい。上塚山へ続く尾根の一部が霧に霞んでいる。岳滅鬼峠を出てからずっと日田側はガスっていた。今日はガスが晴れるのが遅い。

 岳滅鬼峠を出発して約40分、最難関の岩場に着く。岩場の手前は左側が絶壁になっており、西の展望が良い。ここから東側の岩場を登って行く。ロープが付いているが緊張する。幸い滑らかな岩ではなく、所々に石が食い込んだようになっているので足の置き場は確保できるが、落ちれば終わりだ。岩の上で写真を撮るが、長居は無用早々に退散する。すぐにスズタケの道へと変わり、岩場から約10分でジャンクションピークに着く。ここから南東へ上塚山への尾根が延びている。三角点の補点と書かれた石柱があり、南東へ踏み跡が分岐している。

 ジャンクションピークからの降りでずいぶん明るくなってきた。右後ろには上塚山への稜線がきれいに見えている。降りきった鞍部は岩のやせ尾根で一瞬緊張するがすぐにスズタケの中へと登って行く。P1020(「石楠花の頭」と呼ばれているらしいが、新しい地図には標高が記載されていない)辺りは特に笹が密生しており、格闘状態になってきた。所々、笹の切れ目で見える新緑が慰めだ。P1020から降り、最低鞍部の手前で道が左(西側)へそれていく。鞍部は右前方にあるので強引にそちらへ進む。最低鞍部は明るい場所で、なにやら英語で書かれた標識がたっている。「Refug Trail」と書かれている。こんなところに外人さんが来るのかと裏を見てみるとちゃんと日本語で「避難路」と書かれてあった。ここから鬼杉下の林道まで約30分で降れるらしい。帰ってから辞書で調べてみると「Refuge」とは「避難」の意味らしい。標識は最後の「e」が抜けている。外人さんには通じてほしい。来ればの話だが・・・

 最低鞍部から猫の丸尾の右側のやはり伐採地跡の笹の斜面を持つピークを目指す。東へ張り出した尾根の上まで急登を上り、左へ尾根沿いに進む。この辺りはスズタケもなく、気持ちのいい尾根路だ。目の前には猫の丸尾の笹の斜面が迫っている。一旦降り、右のピークへ笹原と林の境界辺りを登って行く。スズタケとの格闘も忘れてしまいそうなくらい明るく気持ちのいい景色だ。右のピークはヒノキと自然林が混じったような場所で、真ん中に石柱があり、やはり「補点」と刻まれていた。木立の間に岳滅鬼山の尖ったピークが見える。
猫の丸尾ヘは少し降ってから笹の斜面の踏み跡をたどる。木の生えた右側と笹の原の左側が対照的である。天気がいいので、なんだか平尾台を歩いているような錯覚に陥る。猫の丸尾の山頂は白い杭が立っているだけで山頂表示も何もない。南西側に気持ちのよさそうな尾根があったので、そこまで降りて昼飯にした。最初からずっとそうであったが、ハエが多い。帽子もシャツも笹の葉の汚れがついたのか真っ黒になっている。
南の方には遠く雲の上に九重連山が見えている。左にもちょこっと覗いている山がある。形からして由布岳のようだ。


籠水峠まで   写真
 猫の丸尾からヒノキの植林の中を北へ向かう。すぐに明るい緑溢れる広い尾根に出る。どこかの公園にでもいるようだ。北東に犬ヶ岳の稜線が見える。尾根の突端から少し右に折れて降っていく。左の谷は新緑で埋まっている。次の登りでまた、スズタケのトンネルが現れた。乾いた笹からは蜘蛛やらダニやらいろんなものが飛び散る。襟元をタオルで固めて、腰をかがめるようにして突破する。

 降りに掛かると大岩壁が目に飛び込んできた。登山道の左側に倒木の跡で開けているところがあったので、そこに降りて写真を撮りまくる。HPなどで知ってはいたが、実際に目にするとかなりの迫力だ。地図ではこの辺りは岩のマークが連なっている。降りきったところが籠水峠だ。峠は笹に覆われており、露岩が少し覗いているだけで何もない。近くの竹に「篭水峠」と書かれた小さな板がぶら下がっていた。峠から左と正面に道がついていた。峠を越える道は正面へ少し行ったところから右へ降っている。()正面の道を岩壁の下まで行ってみた。突き当たりは岩壁の少し右側で大岩壁は見えない。左へ少し登るとわずかに岩壁が見える。写真を撮って峠へ引き返す。峠から降ると右手に大岩壁が聳え手前の木の新緑とのコントラストが美しい。

※現在、籠水峠を越えている道は「裏英彦山道」と呼ばれ、英彦山の東南面を横切って薬師峠まで続いている。 地図上の破線の道は現在歩けるかどうか分からない。

英彦山登山道まで   写真
 籠水峠から降る道は苔むした岩がゴロゴロした薄暗い道である。大きな倒木の下を潜り、谷沿いに降ると山旅人さんのHPに書いてあったオオキツネノカミソリらしい群落が現れた。この辺りから道は岩壁の下の方をトラバースして行く。途中、巨木に見とれていて道を見失いそうになる。ガレタ山腹を横切るように進んで行き、もう少しで英彦山の登山道に合流するところでついに道をはずしてしまった。地図を確認しながら英彦山登山道方面に進んでいくと、岩の上に出た。両側は谷になっているが周りの地形は確認できない。西のほうには別の岩場が見えている。この辺りはこのような岩場があちこちにある。岩場から引き返し西へ向かうとまた、別の岩場に出る。菱形の大きな岩が乗っかっており、その右側に杉の巨木が2本真直ぐに聳えている。岩場の付け根にはキツツキの穴が開いた枯れ木が立っていた。辺りを見回しても降り口はなさそうだ。再び引き返して山側を見ると上の方がかすかに明るい。道かもしれないと思い登って行くと、やはり道が横切っていた。どうやら少し南へずれて歩いていたらしい。ほっとして、歩いていくとすぐに英彦山の登山道に出た。一安心である。合流地点に木の標識があり、「籠水峠−裏英彦山道・県境尾根※藪こぎ,ガレ場,倒木の多い難路 初心者のみの入山は危険!」と書いてある。仰るとおりでした!


英彦山大権現まで   写真
 ほこりを払い下山する準備をしていると、老年の夫婦が降りてきた。ちょっと言葉を交わし、奉幣殿へ降るのだろう、右の道へ入っていった。大南神社へ行ったことがなかったので私も右の道から行くことにした。すぐに右へ奉幣殿への道を分け、左の道を行くと桟道と鎖場がある。鎖場から降ると正面に大南神社の案内板が立っている。神社の社殿は右手の岩窟にある。
大南神社から降り再び英彦山登山道に出る。水場があったので顔を洗い、鬼杉まで降る。鬼杉は真直ぐ天に向かっている姿が良い。若杉山にも大きな杉の木はあるがここまで真直ぐなのは見たこことがない。ここから玉屋神社経由の道もあるが、山道はもう腹いっぱいなので林道へ降ることにした。水量の豊富な沢沿いの道を降り、鹿よけのネットを潜ると大南林道に出る。大南林道を約20分歩いて英彦山大権現の駐車場に着いた。

帰りにしゃくなげ荘の温泉に入ってさっぱりして帰った。こんなに温泉がありがたかったのは久しぶりである。


その他
  • 岳滅鬼峠から最低鞍部までは岩場と上塚山分岐ぐらいしか印象がない。あとは笹の記憶だけだ。実際、そうだったのかもしれない。
  • 最低鞍部から籠水峠までは一部藪こぎがあるものの、明るい猫の丸尾や、籠水峠の大岩壁が見れ、なかなかいい雰囲気だった。
  • 籠水峠から英彦山登山道までは道を忠実に辿っているうちはそうでもなかったが、一旦、道をはずすと似たような地形でどこにいるのか分からなくなる。
  • 全体的にハエが多かった。やはり、このコースは冬枯れの季節がいいのかもしれない。
  • 所要時間は休憩時間を除いた実質歩行時間であるが、「年齢48歳、最近膝の調子が悪く、登りも降りも大して時間が変わらないような状況」なので参考程度にしていただきたい。また、写真を撮りながら歩いているので普通より時間が掛かっていると思う。
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